クラーゲン短編集

クラーゲン

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テルミン

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 突然、サイレンが鳴り響いた時、俺は自室に籠ってネットゲームの真最中だった。

 どうやら、このサイレンは全国瞬時警報システムJアラートのようだ。どっかの国が日本に核ミサイルを撃ってきたらしい。

 だが、俺には逃げ込むシェルターなんかない。

 もう、勝手にやってくれ。どうせ俺には家族もいないし、友達もいないし、恋人もいない。

 ミサイルが落ちてくるまで、この部屋に籠ってゲームでもやっているさ。

 なんて自暴自棄な事を考えている時、外から叫び声が聞こえてきた。

「家のシェルターはまだ余裕があります。入りたい人はいますか?」
 
 入れてくれる? どういう事だ? まあ、入れてくれると言うならありがたい。お言葉に甘えるしかない。

 身の回りの物とノートPCと俺の宝物(エロ画像の入ったUSBメモリー)を詰めたバックを持って外へ出ると声は三か所から聞こえてきた。

 声を張り上げていた一人は中年の親父。

 一人は中年のおばさん……そしてもう一人は白いワンピース姿の小学生ぐらいの少女だった。

 俺は迷うことなく、少女のお招きに応じた。だが……

「じ……実は……」

 シェルター内に入った途端、少女は内扉を閉めようとせず、引きつった笑みを浮かべて俺に分厚い本を差し出した。

 何気なく受け取った本のタイトルはシェルター取扱い説明書。

 いったい、なんのつもりだ?

「扉の締め方が分からないのですぅ! なんとかしてください」
「なにいいいい!?」

 ミサイル落ちるまで何分だあ?

 俺は必死でトリセツを捲った。
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