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人工知能キララ397  3

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『卓也様。キララ397です』

 さっきの人工知能か。なんだろう?

『確認する事がありまして、お電話しました』
「なんでしょう?」
『婚姻が成立した方は既婚者名簿に載せることになっていますが、これは本人の希望により本人以外閲覧不可にすることができます。まことに勝手ながら私の判断により、卓也様と香菜様の名簿は閲覧不可としましたが、よろしいでしょうか?』
「はあ、別にあんなの人には見せたくないし」
『実は、あれを閲覧可能するのは非常に危険なのです。香菜様が地下道を通じて行き来可能なシェルターにたどり着いたことを、竜二と景虎に知られることになります』
「それはまずい! 閲覧不可にしてください」
『了解しました。閲覧不可にします。それと竜二と景虎に関して、他の方からも被害の報告がありました』
「それは、真樹さんという方からですか?」
『その方です。ご存じでしたか?』
「香菜ちゃんが逃げ出す時に、世話をしてくれた人です」
『そうでしたか。現在、こちらでは竜二と景虎の処分を検討中です。処分が決定したら、卓也様にお伝えしたいのですが、よろしいでしょうか?』
「はあ。構いませんが……」
『わかりました。では後程』

 その時点で俺は、キララがなぜそんな事を俺に連絡しようとしているのか、理解していなかった。
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