剣の世界のβテスター~異世界に転生し、力をつけて気ままに生きる~

島津穂高

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第54話 剣闘祭 出発

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それから数日が経ち、9月に入った。

俺達剣闘祭出場メンバーは会場へ向かうため、朝早くに馬車の前で集合していた。



「お前ら準備はいいな?」



「おう!!」



「はい!!」



「決闘都市コルセアに向かうぞ!!」



「おー!!」



「おー!!…なのです。」



決闘都市コルセア…ペンシルゴン領の隣に位置するブルーノ王国の都市の1つだ。

ここはコロッセオが有名で、戦闘奴隷を用いた決闘トーナメントが毎月開催されている。

何でも優勝した奴隷は解放されて自由になれるとか。

毎年の恒例で、剣闘祭の舞台はまさにそのコロッセオらしい。



ちなみに都市アインザスはペンシルゴン領に属しており、ペンシルゴン領は完全に独立した国のようなものである。

何でもペンシルゴン領は戦力がずば抜けているため、国に属すと戦争に発展してしまうからとかなんとか。



「到着まで5日だ。着いたらすぐ宿泊先の登録に行くから離れるなよ?」



「分かってるって!!」



「本当にわかってんだが…まあいい。出発するぞ。」



道中はアランが直々に御者をする。

何故なら過去に他校のスパイが御者に紛れ込み、出場する生徒を攻撃したことがあったかららしい。



「なぁアルフレッド!!暇だし何かしよーぜ!!」



「俺は”闘気操術”の訓練をしたいんだが…」



「おいおい小僧…せっかくの遠出なんだから楽しもうぜ!!」



「そうだよ~アルフレッドも一緒に遊もうよ~!!」



ついこの前アランに負けてもっと強くなろうと決意したばかりだが…

ここで1人訓練するのは空気が読めていない…か。



「まぁ…そうだな。遊ぶか。」



「よっしゃあ!!何して遊ぶ?5人でできるのが良いよな!!」



「そうだな~やっぱりトランプとか?あたしの友達は移動中とかお泊り会で遊ぶらしいよ~」



「で、でもトランプを持ってる人はいるのです…?」



「私が持ってきているわ!!」



真面目キャラのアイリスが…?

いや、むしろ真面目だから馬車の中で遊ぶことを予習してきたのか。



「よし、じゃあトランプしよーぜ!!具体的には何する?オレはポーカーがいい!!」



「あたしはババ抜きかな~」



「ボクは七並べを。」



「私はブラックジャックがやりたいです。」



「俺は…どれでもいいかな。」



「じゃあ全部やろーぜ!!どうせ到着まで5日はかかるんだ!!」



「そうね。まずはポーカーから順にやりましょうか。」



どうやら訓練の時間はあまり期待ができなさそうだ。

就寝後に少しやればいいか…



『…待てよ。TPを体内で循環させながら遊べば一石二鳥なのでは…⁉』



マルチタスクが得意なのは俺の長所だというのに、どうして考えが及ばなかったのだろう…

4人には騙しているようで申し訳ないが、並行して訓練させてもらおう。



それから俺達は食事を挟みつつ、楽しくトランプで遊んだ。

食事はアランが”アイテムボックス”の魔道具に10日分の寮の料理を入れてきてくれたので、いちいち馬車を停めて調理する手間を省けた。



「…そろそろ日が暮れてきたな。今日はここで野宿するぞ。」



「はい。」



今は草原地帯を抜け、木々が生い茂った森の中にある街道沿いだ。

ここら辺は魔物や盗賊の目撃情報が滅多にないので安全だろう。



早速テントの準備を始めた。

もちろん男女別で、俺はアランと2人だ。



『魔物征伐の時に同じテントで寝たが…アランはいびきがうるさいんだよなぁ…』



かと言って外で寝るわけにはいかないので、我慢するしかない。

寝不足の日々が続きそうだ。



それから夕食を終え、5人で軽く訓練した後テントで横になった。

アランと2人きりで、寝袋を着て並んでいるのは少し気まずい。



「…小僧、暇だから豆知識を教えてやろう。」



「なんだ?」



「この寝袋は危険度Fのキャタピラーを参考にして作ったらしい。見た目がそっくりだろ?」



「言われてみれば確かに…似てるな。」



キャタピラーは前世でいうところの巨大芋虫だ。

口から糸を吐き出し、獲物を糸で巻き付けて捕食する。



「だろ?1つ賢くなったな。」



「ああ。ありがとう。」



それから知っててもあまり役に立たないような豆知識を大量に教えられ、寝るに寝られなかった。

魔物征伐時のアランは冒険者活動に役立つ豆知識も教えてくれたんだが…

まるで前世の会社の同僚みたいだ。


『もし前世の同僚と同じ性格だとしたら…』



「なぁアラン。」



「なんだ?」



「酒…飲みたいんじゃないか?」



「…よく分かったな。アイリスとイザベルに気付かれたら怒られると思って我慢してたんだ。」



「でも”アイテムボックス”の魔道具に持ってきてるんだろ?」



「…よく分かったな。」



「俺は黙っておくから…飲んでいいぞ。」



「本当か!?」



「明日に影響が出ない程度ならな。」



「小僧…!!」



いやそんなキラキラした目で見られても困るんだが。

晩酌に付き合えということか…



「分かったよ。付き合おう。」



「ありがとう!!」



それから俺はアランによる絡み酒の被害を被った。

最初は冒険者の心得やら野宿のコツやらを教えてくれていたんだが…酔うと同時に愚痴ばかりになっていった。



翌朝



「アルフレッド…目の下にクマができてるけど大丈夫か?」



「ああ…ありがとうクレア。」



3時間ほどしか眠れず、少し眠たい。

当の本人は酒を飲んだ効果か、ピンピンしているのが少し癪だ。



『…はぁ。今夜は晩酌を早めに切り上げてもらうか。』
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