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第79話 剣闘祭 準決勝前夜

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「師範、全て飲み終わりましたよ!!師範!!そろそろ泣き止んでください!!」



「すまないのじゃ…」



「謝罪はもういいですから!!次の稽古は何をするんですか?」



「稽古…そうじゃ!!妾はお主の師範なのじゃ!!」



「…?そうですね。何を今更…」



「師範ならば弟子に何をしても許されるのじゃ!!というわけで許すのじゃ弟子よ!!」



『…おいなんだこのロリババァ。ご都合主義にも程があるだろ…』



「お主また失礼な…」



「何でもないですよ!!もちろん弟子として許します!!」



「そうか…!!なら次の稽古に移るのじゃ!!」



師範は稽古という言葉を誤って使っている気がする。

今までのは稽古と言うよりも、ただの薬漬けなんだが…



「それで次の稽古(?)は?」



「うむ…お主、両手剣以外では何を使って戦うのじゃ?」



「片手剣と槍、弓、盾、体術ですね。」



「妾が教えられそうなのは片手剣、盾、体術の3つじゃな!!まずは片手剣と盾から始めるのじゃ!!」



「はい。」



始めて稽古っぽい稽古が始まりそうだ。



「まずは…そうじゃの。お主、利き手はどっちなのじゃ?」



「右です。」



「なら左手で片手剣を持つのじゃ!!」



「わかりました。」



確かに利き手だけしか武器が扱えなかったら、利き手を骨折した際に全く戦えなくなる。

今までどうして気付かなかったのだろう…



「なんか…変な感じですね。」



「最初は皆同じじゃ。向こうに訓練用の案山子の魔道具があるから…そうじゃの。

妾が辞めと言うまで打ち込みをするのじゃ!!」



「わかりました。」



『案山子の魔道具…これか。”鑑定”によると…おぉ!!自動修復機能が付いてるのか!!』



案山子の耐久力が0にならない限り、永遠に自動修復するらしい。

ちなみに案山子の耐久力は12,000なので、12,000回は打ち込みができる。



「では始めるのじゃ!!」



「はい!!」



早速案山子に打ち込みをしてみた。

右手と同じように打ち込むだけだと思っていたのだが…



『…なかなか難しいな。』



例えるならサッカーで利き足の逆でシュートを打つような、野球で逆のバッターボックスに立って球を打つような、そんな感じだ。



『何回かソードスキルを行使してシステムアシスト軌道を身体で覚えるか。』



それから何十…何百回も打ち込みを続けた。

手には豆ができ、何個かは潰れて剣の柄に血が付いている。



「…辞め!!一旦休憩を挟むのじゃ。」



「はい。」



師範は俺が打ち込みをしている間に1度姿を消したが、どうやら回復薬(E)を取ってきてくれたらしい。

手に回復薬をかけ、豆や豆がつぶれた傷跡を治療した。



「ふむ…流石は妾の弟子じゃの!!なかなか筋が良いのじゃ!!」



「ありがとうございます。」



「明日の剣闘祭に響かせたくはないが…まだまだ余裕じゃな?」



「はい!幼いころから何百回も素振りしてきたので!!」



「うむ!!ならば次は右手に盾を持って、実戦のように案山子に打ち込むのじゃ!!」



「分かりました。」



それから6時間程、ひたすら片手剣と盾の反復練習をした。

体術は元々両手足で攻撃できたので、割愛された。



「ふむ…そろそろ日の入りだから今日はここまでなのじゃ!!日常の動作は左手でするのじゃぞ!!」



「はぁ…はぁ…ありがとうございました!!」



結果、案山子の耐久力は12,000→8,976まで減少した。

師匠もかなりの鬼だったが、打ち込みは多くて10,000回前後だった。

あの頃はまだ身体が小さかったから配慮していたのだろうか…?



『はぁ…師匠のあの訓練が優しかったように感じるな。』



そんなことを考えながら訓練施設で水浴びをした、大熊宿に帰った。



「おかえりなさいませ、アルフレッド様。」



「ただいまソフィア。」



「4人がアルフレッド様の部屋で待っています。」



「分かった。ありがとう。」



何で俺の部屋…と思いつつも、自室に入った。



「おかえりアルフレッド!!」



「ただいま…それで、なんでここに?」



「明日の対策会議をしようかと思いまして。」



「今日は夕食前にやるのか?」



「し、シルビアさんに許可を取って、この部屋で飲食してもいいことになったのです!!」



「なるほど…クレア、ベッドの上で食べるなよ?」



「分かってるって!!流石にオレでもそんなことはしないぞ!!」



数十分後



「…なぁクレア。」



「なんだ?」



「ベッドの上で食べないって言ってなかったか?」



「あー…悪い!!忘れてた!!」



やはりクレアは色々な意味で期待を裏切らない。

今のは裏切って欲しかったが。



「はぁ…もういいよ。それで、どこまで話したっけ?」



「戦力分析と対策はもう話し終わりました。あとは戦順についてですが…」



「あ~1周終わったからね~」



「ボ、ボクはアルフレッド君を出場させてあげてもいいと思うのです。」



「イザベル…!!」



「そうですね…私も賛成です。決勝戦では大将をやってもらいますが、順番が回って来ないかもしれませんし。」



「流石に剣闘祭の出場メンバーに選ばれたのに1試合もしないのは可哀想かな~」



「オレもいいぞ!!アルフレッドの戦いを久しぶりに見れるからな!!」



『よっしゃ!!』



「どうせ順番は回って来ないので、2~4は最初の戦順でいいですね?」



「おう!!」



「は~い!」



ついに剣闘祭初出場が決まり、その夜は早めに寝て身体を休めた。
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