剣の世界のβテスター~異世界に転生し、力をつけて気ままに生きる~

島津穂高

文字の大きさ
151 / 246

第151話 商会

しおりを挟む
俺が今向かっているのはこの街にある商会だ。

この前情報提供料を受け取りに行った際、サリーちゃんに



「あ、そうそう!商会に良い魔道具が入ったらしいわ~!行ってみたらどうかしら~?」



と言われて気になったからだ。

ちなみに今まで自分で回復薬等を作っていたため買いに行く必要はなく、商会に行くのはこれが初めてだ。



商会とは商業組合連合会の略で、冒険者ギルドと同じく多くの街に置かれている。

正確には冒険者ギルドが買い取った魔物素材等を商会に売却しているため、冒険者ギルドと商会は連動して活動している。



取り扱っているものは武器や装飾品、食料品、魔道具、衣服などありとあらゆるものが揃っているらしい。

取扱量が多いので、商会はコルセアでコロッセオの次に大きい建物である。



『…っと、着いたな。入ってみるか…!!』



木の扉を開けて中に入ると、そこは見渡す限り全てが棚と衣服、そして客で埋まっていた。

視界いっぱいに商品があるとは言っても、陳列はとても綺麗なものだ。



辺りを見渡していると、右手前に階段と案内地図を発見した。

全10階構造で、俺が目当てにしている冒険者関連の道具は3~5階のようだ。



ちなみに商品配置は以下の通りである。

3階:武器防具等の装備品

4階:回復薬等の消費アイテム

5階:魔道具等の補助アイテム



『1階から全部見たいけど…半日で見終わらなそうだな。今日は3階から見るか。』



階段を上って3階に着くと、そこは1階とはまるで違った。

客層が衣服に身を包んだ民間人から装備に身を包んだ冒険者や傭兵に変わったというのもあるが、それよりも商品陳列だ。



中央にショーケースに入った商品飾られており、その周りに木箱に入った商品が仕舞われている。

おそらくショーケースは有名な鍛治師達が、木箱は無名の鍛治師達が作ったものだろう。



『こういうのは木箱に仕舞われた商品に掘り出し物があるんだよな…!!』



これほど多くの武器が並んでいるところを見たことがないというのもあるが、最近レアアイテムコレクターとなりつつある収集魂が昂った。

時間をかけて1つ1つを“鑑定“して回った。



2時間弱後



『…さすがに今の装備より高性能なものは見つからなかったな。』



中央に飾られているものよりも性能が高い装備…自分が初心者ならば掘り出し物であった商品はいくつか見つけた。

だが、“鋭さ上昇“のような特殊効果のある武器や防具は特に見つからなかった。



『…4階行くか!!』



3階は傷ついていたり安い防具を身に纏った人が多かったが、4階は綺麗な防具を身に纏った人が多い。

防具以外に回すお金がある、中堅以上の人達だろう。



『商品陳列は1階と同じ棚になったな…』



適当に棚を選んで見てみると、そこにはTP回復薬の陳列されていた。

A~Gまでランクごとに分類し、1つ1つ凹みにはめて綺麗に整列されていた。



『おぉ…!!なかなか大規模だな…!!』



俺が作れない、もしくは持っていない消費アイテムがないか隅から隅まで見て回った。



1時間強後



『…見当たらなかったな。』



というのも、状態異常系の回復薬など一般的な消費アイテムしか無かったのだ。

レアアイテムとしてHP増幅薬とTP増幅薬がショーケースに入れられていたぐらいなので、俺のお目当ては見つからなかった。



『期待外れだったな…いや、それだけ師範が色々と教えてくれたってことか。』



心の中で師範に感謝しながら、5階に登った。そして、階段の途中で目の前に広がった光景に唖然とした。



『なっ…人多過ぎるだろ…!!』



皆サリーちゃんと同じ情報を掴んでやってきたのだろう。

5階内に入りきらない人混みが階段まで押し寄せていたのだ。



『皆人混みをすり抜けようとしてるし、列で待ってるってわけじゃなさそうだな。…俺もすり抜けるか。』



この1ヶ月で魔物討伐クエストを行いつつ、“偽装“のユニークスキルの実験をしていた。

その結果、3つの派生スキルを獲得した。



1つ目は、ギルド登録の際に習得したと思われるが最近まで気付かなかった“ステータス偽装“だ。

これは文字通り、自身のステータス値を偽装できる。

だが、あくまでも偽装なので数値を変えても実際の能力は変わらない。



2つ目は、自身の容姿を脳内で思い描いた姿に変えることができる“容姿偽装“だ。

だが、あくまでも周囲への見え方を偽装するだけなので第三者に身体を触れられると強制的に解除されてしまうという弱点を持つ。

つまり自分を女性の姿に“容姿偽装“して胸の部分を触っても、見えるだけで感触はない。



『こ、この身体では思春期だから好奇心で試しても仕方ないよな!!』



3つ目は、自身の姿を周囲に擬態させる“迷彩偽装“だ。

これは“容姿偽装“と同様、第三者に身体を触れられると強制的に解除されてしまうという弱点を持つ。



今人混みをすり抜けるために使うべきなのは“迷彩偽装“だろう。

幸いなことに天井まで高さが5mほどあるので、姿を消して吸血鬼の羽で頭の上を通り抜ければいいのだ。



一目につかないところへ移動し、“迷彩偽装“を行使した。



『ふぅ…よし、行くか!!』



この先にどんな魔道具が待っているのだろう。

期待に胸を躍らせ、飛翔し始めた。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

魔法物語 - 倒したモンスターの魔法を習得する加護がチートすぎる件について -

花京院 光
ファンタジー
全ての生命が生まれながらにして持つ魔力。 魔力によって作られる魔法は、日常生活を潤し、モンスターの魔の手から地域を守る。 十五歳の誕生日を迎え、魔術師になる夢を叶えるために、俺は魔法都市を目指して旅に出た。 俺は旅の途中で、「討伐したモンスターの魔法を習得する」という反則的な加護を手に入れた……。 モンスターが巣食う剣と魔法の世界で、チート級の能力に慢心しない主人公が、努力を重ねて魔術師を目指す物語です。

アーティファクトコレクター -異世界と転生とお宝と-

一星
ファンタジー
至って普通のサラリーマン、松平善は車に跳ねられ死んでしまう。気が付くとそこはダンジョンの中。しかも体は子供になっている!? スキル? ステータス? なんだそれ。ゲームの様な仕組みがある異世界で生き返ったは良いが、こんな状況むごいよ神様。 ダンジョン攻略をしたり、ゴブリンたちを支配したり、戦争に参加したり、鳩を愛でたりする物語です。 基本ゆったり進行で話が進みます。 四章後半ごろから主人公無双が多くなり、その後は人間では最強になります。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

異世界召喚に巻き込まれたのでダンジョンマスターにしてもらいました

まったりー
ファンタジー
何処にでもいるような平凡な社会人の主人公がある日、宝くじを当てた。 ウキウキしながら銀行に手続きをして家に帰る為、いつもは乗らないバスに乗ってしばらくしたら変な空間にいました。 変な空間にいたのは主人公だけ、そこに現れた青年に説明され異世界召喚に巻き込まれ、もう戻れないことを告げられます。 その青年の計らいで恩恵を貰うことになりましたが、主人公のやりたいことと言うのがゲームで良くやっていたダンジョン物と牧場経営くらいでした。 恩恵はダンジョンマスターにしてもらうことにし、ダンジョンを作りますが普通の物でなくゲームの中にあった、中に入ると構造を変えるダンジョンを作れないかと模索し作る事に成功します。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

処理中です...