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第173話 新遺跡 手紙
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『…やっぱりこれってエレノア師範のことだよな?』
紙は合計6枚あり、6人が1枚ずつ書いて仕上げた合作のようだ。
氏名欄にはここに住んでいたアルベイン・スミスやベラッジオ=ゴーケスなどの6人の名前が書いてある。
「アルフレッド、それは~?」
「こ、これか?ここに住んでた手紙のようだな。」
「みんな~アルフレッドが手紙を見つけたってさ~!!」
「ちょっ!!!」
「おぉ!!何が書いてあるんだ??」
「ま、まさかアルベイン・スミスの遺書なのです!?」
「気になるのじゃ!」
俺の予想が正しければ、この手紙は師範に見せない方が良いものだったのだが…
スーの呼び声に反応して近くにいたアイリスはおろか、師範を含む全員が集まってしまった。
「えーっと…じゃあアイリス、読んでもらってもいいか?」
「分かりました。それではご清聴ください。タイトルは『我が師範へ』です。」
「むっ?」
「我が師範、私が売れていない間ずっと資金提供をして下さり、誠にありがとうございました。貴方のおかげでここまで大成できました。本当に感謝しております。…しかし、そろそろ恩を盾に貴方用の絵画を描かせるのは辞めてください!私は自分の情熱に従って描きたいのです!!覚悟を決めて師範に伝えたら、貴方はむっとして剣を向けてきましたよね?恐ろしく…耐えられませんでした!!私は同胞アルディと出会い、ここに隠れることにしました。もう恩返しはしました。これからの人生は自分で生きていきます!!ベラッジオ・ゴーケス」
『やっぱりかぁ~~~!!!…っ!!』
突如、隣から激しい殺気をビンビンと感じた。
殺意を放つ源はもちろん師範である。
修行の旅で長く師範を見てきたつもりだが、ここまで激怒して殺気を垂れ流しているのは初めてだ。
『…目合わせないようにしよ。』
「…2枚目行きます。我が師範、貧乏時代に建築家の仲間や建築素材を貸して下さり、誠にありがとうございました。貴方の貸与のおかげで大成することができました。…ですが、そろそろ恩を盾に貴方用の建物を建築させるのは辞めてください!!コロッセオだけでも10年を費やしました。他に何を建てさせる気ですか!?同胞ベラッジオと出会い、ここに隠居することにしました。もう恩返しはしました。これからの人生は自分で決めて生きていきます!!アルディ・フラヴェル」
『昔の師範はこんなヤクザの集金みたいなことしてたのか…?今では考えられないな…』
隣から溢れ出る殺気がさらに激しくなった。
Lvの低い一般人がこの殺気を浴びたら気絶するほどのものだ。
「…3枚目行きます。我が師範、いつも素材を取ってきてくださり誠にありがとうございました。貴方が持ってきてくださったドラゴンの皮を使ったドレスで世間に認められました。…ですが、素材を取ってきたことを盾に私が作ったもの全て貴方専用にするのは辞めていただきたかった。私の作品は貴方のためではなく、皆のものです。もう我慢の限界です。ベラッジオ殿が隠居先を築いてくれたとのことなので、そちらに籠らせていただきます。今までお世話になりました。シャンディ・ヴィヴィエ」
「もう…もう良いのじゃ!!」
「…分かりました。」
「昔はちょーっとだけ荒れておったのじゃよ。」
「そ、そうですね。でも今は最高の師範です!」
「うむ。終わり良ければ全て良しなのじゃよ。」
顔は笑顔だが、その奥にはドス黒い感情が渦巻いている。
これ以上怒らせたら、ストレス発散で世界に損害が出そうな気がする。
アイリスから手紙を受け取り、残り3枚にサラッと目を通した。
すると、そこには前半とは比べ物にならないほど辛辣な言葉で恨みつらみが記されていた。
後半3人は職人気質が強かったせいなのだろう。
『もしこれが師範の耳に入ってたらと思うと…ゾッとするな。』
絶対に師範の目が届かない“アイテムボックス“に収納した。
この手紙の存在を隠蔽しなければ、何が起こるか分かったものではないのだ。
「さ、さて。ここの探索は終わったことだし帰るか。」
「うむ。こんな遺跡1秒でも早く出てやりたいのじゃ。」
「オレもだ!とっととこんな陰鬱な場所から出て強い敵と戦いてぇよ!!」
「私も身体を動かしたい気分です。」
「ボ、ボクもなのです!!」
「一旦報告がてらギルドに帰りましょ~」
不機嫌な師範を宥めつつ通路を抜け、数日ぶりに太陽の元に出た。
ふと、古代文明都市から出た時の思い出が脳裏をよぎった。
『懐かしいな…あの管理ユニットの姉妹は仲良くやってるかな…?』
思いを馳せながら歩いていると、背後からドォン!!という轟音が聞こえた。
続いてゴゴゴゴと重い物が流れ落ちる音がする。
嫌な予感を感じつつ振り返ると、視線の先には二刀流ソードスキルを放ち終えた体勢の師範がいた。
そして師範の視線の先には神殿のような柱が折れ、土砂崩れにより塞がった遺跡の入り口がある。
「はぁ…でも入り口以外崩落しなくて良かっ…」
そう言いかけたところで、遺跡の内部からもゴゴゴゴゴという音が聞こえ始めた。
展開が見えたので少し離れて様子を窺っていると、連鎖するように遺跡内部が崩落して土砂が流れ込んでいき、山がガクッと沈んだように見えた。
「…ふんっ!これで妾に逆らったことは許してやるのじゃ。」
『…まじかよ。絶対に師範に逆らわないようにしないと…』
ひそかに心を決めるのであった。
紙は合計6枚あり、6人が1枚ずつ書いて仕上げた合作のようだ。
氏名欄にはここに住んでいたアルベイン・スミスやベラッジオ=ゴーケスなどの6人の名前が書いてある。
「アルフレッド、それは~?」
「こ、これか?ここに住んでた手紙のようだな。」
「みんな~アルフレッドが手紙を見つけたってさ~!!」
「ちょっ!!!」
「おぉ!!何が書いてあるんだ??」
「ま、まさかアルベイン・スミスの遺書なのです!?」
「気になるのじゃ!」
俺の予想が正しければ、この手紙は師範に見せない方が良いものだったのだが…
スーの呼び声に反応して近くにいたアイリスはおろか、師範を含む全員が集まってしまった。
「えーっと…じゃあアイリス、読んでもらってもいいか?」
「分かりました。それではご清聴ください。タイトルは『我が師範へ』です。」
「むっ?」
「我が師範、私が売れていない間ずっと資金提供をして下さり、誠にありがとうございました。貴方のおかげでここまで大成できました。本当に感謝しております。…しかし、そろそろ恩を盾に貴方用の絵画を描かせるのは辞めてください!私は自分の情熱に従って描きたいのです!!覚悟を決めて師範に伝えたら、貴方はむっとして剣を向けてきましたよね?恐ろしく…耐えられませんでした!!私は同胞アルディと出会い、ここに隠れることにしました。もう恩返しはしました。これからの人生は自分で生きていきます!!ベラッジオ・ゴーケス」
『やっぱりかぁ~~~!!!…っ!!』
突如、隣から激しい殺気をビンビンと感じた。
殺意を放つ源はもちろん師範である。
修行の旅で長く師範を見てきたつもりだが、ここまで激怒して殺気を垂れ流しているのは初めてだ。
『…目合わせないようにしよ。』
「…2枚目行きます。我が師範、貧乏時代に建築家の仲間や建築素材を貸して下さり、誠にありがとうございました。貴方の貸与のおかげで大成することができました。…ですが、そろそろ恩を盾に貴方用の建物を建築させるのは辞めてください!!コロッセオだけでも10年を費やしました。他に何を建てさせる気ですか!?同胞ベラッジオと出会い、ここに隠居することにしました。もう恩返しはしました。これからの人生は自分で決めて生きていきます!!アルディ・フラヴェル」
『昔の師範はこんなヤクザの集金みたいなことしてたのか…?今では考えられないな…』
隣から溢れ出る殺気がさらに激しくなった。
Lvの低い一般人がこの殺気を浴びたら気絶するほどのものだ。
「…3枚目行きます。我が師範、いつも素材を取ってきてくださり誠にありがとうございました。貴方が持ってきてくださったドラゴンの皮を使ったドレスで世間に認められました。…ですが、素材を取ってきたことを盾に私が作ったもの全て貴方専用にするのは辞めていただきたかった。私の作品は貴方のためではなく、皆のものです。もう我慢の限界です。ベラッジオ殿が隠居先を築いてくれたとのことなので、そちらに籠らせていただきます。今までお世話になりました。シャンディ・ヴィヴィエ」
「もう…もう良いのじゃ!!」
「…分かりました。」
「昔はちょーっとだけ荒れておったのじゃよ。」
「そ、そうですね。でも今は最高の師範です!」
「うむ。終わり良ければ全て良しなのじゃよ。」
顔は笑顔だが、その奥にはドス黒い感情が渦巻いている。
これ以上怒らせたら、ストレス発散で世界に損害が出そうな気がする。
アイリスから手紙を受け取り、残り3枚にサラッと目を通した。
すると、そこには前半とは比べ物にならないほど辛辣な言葉で恨みつらみが記されていた。
後半3人は職人気質が強かったせいなのだろう。
『もしこれが師範の耳に入ってたらと思うと…ゾッとするな。』
絶対に師範の目が届かない“アイテムボックス“に収納した。
この手紙の存在を隠蔽しなければ、何が起こるか分かったものではないのだ。
「さ、さて。ここの探索は終わったことだし帰るか。」
「うむ。こんな遺跡1秒でも早く出てやりたいのじゃ。」
「オレもだ!とっととこんな陰鬱な場所から出て強い敵と戦いてぇよ!!」
「私も身体を動かしたい気分です。」
「ボ、ボクもなのです!!」
「一旦報告がてらギルドに帰りましょ~」
不機嫌な師範を宥めつつ通路を抜け、数日ぶりに太陽の元に出た。
ふと、古代文明都市から出た時の思い出が脳裏をよぎった。
『懐かしいな…あの管理ユニットの姉妹は仲良くやってるかな…?』
思いを馳せながら歩いていると、背後からドォン!!という轟音が聞こえた。
続いてゴゴゴゴと重い物が流れ落ちる音がする。
嫌な予感を感じつつ振り返ると、視線の先には二刀流ソードスキルを放ち終えた体勢の師範がいた。
そして師範の視線の先には神殿のような柱が折れ、土砂崩れにより塞がった遺跡の入り口がある。
「はぁ…でも入り口以外崩落しなくて良かっ…」
そう言いかけたところで、遺跡の内部からもゴゴゴゴゴという音が聞こえ始めた。
展開が見えたので少し離れて様子を窺っていると、連鎖するように遺跡内部が崩落して土砂が流れ込んでいき、山がガクッと沈んだように見えた。
「…ふんっ!これで妾に逆らったことは許してやるのじゃ。」
『…まじかよ。絶対に師範に逆らわないようにしないと…』
ひそかに心を決めるのであった。
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