剣の世界のβテスター~異世界に転生し、力をつけて気ままに生きる~

島津穂高

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第193話 第18ダンジョン 歓迎

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第18ダンジョンの攻略を始めてから3日が経った。

毎日20層を攻略し、昨日ついに邪神教徒が拠点にしていると思われる61~70層の目前の60層まで辿り着いた。



「どうかお気をつけて。」



「ああ。行ってくる。」



パーティーハウスを出発し、どこにも寄らずに早速第18ダンジョンへ到着した。

ダンジョンの見た目はいつもと変わらないはずなのだが、邪神教徒討伐を前に緊張しているためか不気味に感じられた。



「身分証をご提示ください。」



「ああ。」



「少々お待ちください。」



「…ああ。」



今俺達を対応している騎士団員は邪神教徒だ。

確実に冒険者カードには問題がないので、詰め所に戻ってダンジョン内にいる仲間と連絡と取っていると思われる。

もしそうだとすれば、この後彼らはダンジョン内にいる仲間の強襲準備が整うまでここで拘束して時間稼ぎをするに違いない。



「待たせてしまってすみません。実はこの前冒険者カードを偽装した者がいまして…」



考察をしているともう1人の邪神教徒である騎士団員がこちらへ話しかけてきた。

ソフィアの情報収集は完璧なので、もちろんこれは偽情報だ。

俺の予想通り時間稼ぎをしているのだろう。



「…?そんな情報はギルドには…」



「そうだったのか。なら確認が済むまでここで待つとしよう。」



「ありがとうございます。」



邪神教徒の言葉に疑問を抱いたアイリスの言葉を遮り、俺が返事をした。

おそらく嘘に気付いて質問しようとしたのだろうが、ここは敢えて相手のペースに乗っておいた方が良いと考えての行動だ。

騎士団本部に取り合うという手段もあるが、騎士団が邪神教徒の手に落ちている最悪の状況を考えて結論を出した結果である。



「情報通りこの騎士団員2人は邪神教徒だ。そして確実に俺達は次のターゲットに定められている。」



「そうなの~?」



「ああ。だから、記録の扉をくぐったところで奇襲される可能性が高い。」



「即座に臨戦態勢…ですね?」



「ああ。現時点で”闘気操術”を行使しておけよ?」



「おう!」



約5分後



「本物であるとの確認が取れました。お待たせして申し訳ありません。」



「気にするな。それじゃあ行くぞ!」



「はい!!」



標的になりやすい俺が1番に60層の記録の扉をくぐり、続いて4人もくぐって即座に警戒態勢を取った。

辺りを見回すが人影はなく、探知系スキルにも一切の反応がないのでどうやら杞憂だったようだ。



「…61層に上がるぞ。」



61層に到着した瞬間、階層全体へ”邪神教徒探知”と”犯罪者探知”、”冒険者探知”を行使した。

3つとも反応がなかったので今度は”魔物探知”と”罠探知”も行使した。



「…どういうことだ?」



「どうかしたんですか?」



「”魔物探知”に反応がない…つまりこの階層には魔物がいないんだ。」



「えっ!?」



俺は第18ダンジョン攻略を始める前に全階層に出現する魔物や罠を予習してきたが、61層は魔物がいない階層であるなどという記述はなかった。

俺達がここに到着する寸前に嵐のように全ての魔物を瞬殺して62層に上がった何者かがいるということなのだろう。



ダンジョン研究者の本によると、魔物は死んで5~10分経つと復活するとのことだ。

迷路のように入り組んだ道で、さらにたくさんいる魔物を1人で5分以内に殲滅するのは俺ですら出来るか怪しいため、間違いなく集団での行為だろう。



そう考えると、犯人として1番可能性が高いのはここを拠点にしている邪神教徒達だろう。

長く住み着いている彼らならば魔物が発生する場所を把握していてもおかしくないからだ。

実行したのは俺達がダンジョンの入り口で時間稼ぎをされている間であると考えると辻褄が合う。



『…だが目的が分からない。どういうことだ?』



俺達を疲れさせるためならば魔物は残しておく方が合理的だ。

また、強襲を邪魔されないように魔物を殲滅したのならばこの層に待機しているはずである。

これから狩る獲物に不気味さを感じさせ、恐怖に逃げ惑うところを仕留める趣味でもあるのだろうか?



「…考えてもよくわからないな。とりあえず警戒しつつ先に進もう。」



「おう。」



いつも通り”構造探知”で最短ルートを算出し、念のため警戒しつつ進んだ。

彼らの作戦なのか、目の前で突然魔物がリポップすることが2回あった。

だが俺達は動揺することなく瞬殺し、62層へ続く階段に到着した。



「…俺が先行する。少しここで待っててくれ。」



「りょ、了解なのです。」



「気を付けろよ!」



「ああ。」



”迷彩偽装”と”無音偽装”、”無臭偽装”、”罠探知”を行使して隠密行動で階段を上った。

到着と同時に”邪神教徒探知”と”犯罪者探知”、”魔物探知”を行使すると、63層へ続く階段の前に41個の反応があった。

それは”魔物探知”ではなく、全て”邪神教徒探知”と”犯罪者探知”であった。



『待ち伏せか…問題は想定以上に人数が多いことだな…』



階段を降りて偽装系スキルを解除し、得た情報を4人と共有した。

かなり厄介な戦いになりそうだが、何故か4人とも生き生きとしていた。



「作戦会議をするぞ。」



「おう!」
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