異世界転生録if～死と隣り合わせのこの世界で死なないため、力を付けます！！～

第93話 武闘大会 準決勝

サミュエル選手との試合後、残りの試合を観戦してから帰宅した。

師匠はもちろん危なげなく勝利していた。



『あと1戦勝てばついに師匠と…！！頑張ろう！！』



翌朝、自分を鼓舞してから闘技場に向かった。



「今日は準決勝だーーー！！！！！！今残っている選手を紹介するぞーーーーー！！！！！」



「おおおおおおおおおおおおおおおおおお！！！！！」



「倒した魔物は数知れず、救った町も数知れず！！！Sランク冒険者のカイル選手ーーー！！！！」



「おおおおおおおおおおおお！！！！」



「カイル様の弟子にして今大会のダークホース！！！ダグラス選手－－－－！！！！」



「おおおおおおおおおおお！！！！！」



「その突きはアダマンタイト鉱石をも砕く！！！Sランク冒険者のカルファ選手－－－！！！！」



「おおおおおおおおおおお！！！！！」



「東国出身で体術の達人！！！！ワン選手ーーーー！！！！！」



「おおおおおおおおおおお！！！！！」



「以上が今大会のベスト4だーーー！！！！」



紹介が終わったので俺は控室に戻った。

今日も1戦目なので、早速準備を始めた。



『俺の相手はカルファ選手か…』



彼の槍さばきは非常に無駄がなく、使っている槍は”神槍アロボルグS”という業物だ。



『ステータスはそんなに高くないんだがな…戦闘技術が並外れてるんだよな…』



槍には槍で対応するのが一番難易度が低い。

俺の”槍Lv.1”は一応”限界突破”しているので武技スキルにおいては”槍S”に負けないが、通常攻撃となると勝敗がわからない。



『いつも通り片手剣と盾のスタイルで行くか！』



戦術も覚悟も決まったので、入場した。



「ダグラス選手入場ーーーーー！！！！今日の相手はひと味違うが快進撃は続くのかーー！！！」



「おおおおおおおおおおおおおおおおおお！！！！！」



「続いてカルファ選手も入場ーーーー！！！！さぁダグラス選手の硬い装甲を貫けるかーーーー！！！」



「おおおおおおおおおおおおおおおおおお！！！！！」



俺は彼の自信に満ち溢れた顔に違和感を覚えた。



『なんでそんなに余裕そうなんだ…？まさか何か奥の手があるのか…？』



俺は心配になりながらも、武器を構えた。



「それでは両者とも準備が整いました。準決勝第1試合、始め！！！！！」



俺は昨日と同様カルファ選手の攻撃を見切るため、観察を始めた。

対するカルファ選手は槍を投てきする構えを取っている。



『最初から投げるのか…？いや、避けたらそれで終わりだからただの牽制か…？何か見落としていないか？？』



神槍アロボルグを再度”鑑定”してみると、”帰還”というスキルがついていた。

効果は所有者の任意で手の中に戻るというものだ。



『…そういうことか！！』



しかし、気づいた時には手遅れだった。

カルファ選手は既に魔力を込め終えており、投てきする用意が整っていた。



「貫け！！！！アロボルグ！！！！！」



叫ぶと同時に彼は槍を投てきした。

俺の”危険察知”スキルの警鐘が少し激しく鳴っている。



「くっ！！！」



俺は”俊敏S”と”敏捷S”を行使して何とか回避した。

しかし、警鐘は鳴りやまない。



『どういうことだ…？』



嫌な予感がして振り返ると、槍が追尾してこちらに向かってきていた。



『なっ！？避けられない！！！！！』



俺は急いで”頑丈S”、硬質化S”、”鋼鉄化S”で身体の防御力を上げ、盾スキル”モノリス”、”ファランクス”、”イージス”を行使して盾で受けた。



「くっ！！！！！」



”モノリス”、”ファランクス”の壁は割られ、力比べとなった。

俺は”力S”、”暴走S”、聡明S”を行使して防ぐ力を大幅に強化したが、それでも止まらない。



「止まれーーー！！！！！！！！！！！！！！！」



俺は槍に引きずられ、既にフィオナ先生の結界にぶつかっている。

そのままこらえ続け、どれだけの時間が経っただろうか。

体感ではとても長く感じたが、実際は数分しか経っていなかった。



ついに槍の威力を殺し、防ぐことに成功した。



「なんと！！！！！ダグラス選手、カルファ選手のアロボルグを防ぎましたーーーー！！！！！」



「戻れ。」



カルファ選手がそう言うと、槍はカルファ選手の手に戻っていった。

そして、再び投てきの準備を始めた。



「させるか！！！！！！」



俺は”俊敏S”と”敏捷S”を最大限に行使し、さらにバフの効果を全て足に回して移動速度を上げた。

そして片手剣スキル”レイドジェノス”で早く強い1撃を与えた。



「ガハッ！！！」



直撃したカルファ選手は血を吐きそのまま倒れた。



「試合終了ーーーーーー！！！！！！！！ダグラス選手、見事勝利－－－－－－－！！！！！」



「おおおおおおおおおおおおおおおおおお！！！！！」



「な、なんとダグラス選手がSランク冒険者を倒しましたーーーーーーーー！！！！！！」



「しかも防ぎ切ったあれはカルファ選手の奥義”アロボルグ”でしたよ！！！」



「ええ！！山をも貫いたと言われているあの”アロボルグ”です！！！」



「最後の攻撃、見えましたか？」



「いえ…早すぎて残像しか捉えられませんでしたよ！！！！」



「ダグラス選手、未だ強さの底が見えないーーー！！！！」



正直避けられない分、海龍の”ドラゴンブレス”よりもつらかった。

俺は疲れたのか、控室に戻った後そのまま寝落ちした。