パーフェクトワールド

木原あざみ

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第三部

パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 2 ⑥

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「どういうことですか?」

 自分のせいだけではないと慰めてくれているのだろうか。けれど、それだけはないような気がして、そう聞き返す。
 自分の無神経さに耐えかねたのだと頭から思い込んでいたから意外だったということもある。

「その子も、そうしたくてそうしてるわけじゃないかもしれないよ。あくまで俺の想像だけど」

 だって、と言葉を選んでいることがわかる調子で成瀬が続ける。

「もちろん、嫌なことの積み重ねでふいに爆発しちゃうこともあると思うけど。ただ、ちょっと前の行人の話から聞いた感じでは、それなりに納得したんじゃないのかなぁって思ってたから」
「でも、その、俺の話が、……というか、俺の感じ方が間違ってたのかも」
「うん。その可能性もあると思うけどね。ただ、俺は、そう思ったから。それで、これも俺の想像だけど、それ以外の原因もあったんじゃないのかなって」

 それ以外の原因。たとえば、高藤が直接なにかを言ったとか――と考えたところで、いや、ないな、と行人は一蹴した。あいつは、今、四谷どころではないだろう。その「どころではない」せいで無意識におざなりにあしらった可能性はゼロではない気はするが、たぶん、そもそもとして四谷が自分から話しかけにはいかないだろうし。
 悩み始めた行人に、しかたなさそうに成瀬が笑う。

「皓太が直接の原因ってわけでもないと思うけど」
「えっ、あ……」
「いや、まぁ、それも聞いてみたらいいと思うけどね。ただ、俺は、――そうだな。仮に、だけど。それまで我慢できていたものができなくなったんだとしたら、それだけのことがあったんだんじゃないかな」

 それだけのこと。再び黙り込んだ行人に、本当に聞いてみないとわからない話だけどね、という言葉が繰り返される。

「なにで我慢があふれるかなんて他人にはわからないから。いろんなしんどいが混ざった結果かもしれないし、なにか大きなきっかけがあったのかもしれないし。それがここでの人間関係なのか、あるいは、おうちのことかもしれないし」
「……そうですよね」
「うん。だから、行人の気持ちが落ち着いたらでいいから、もう少し広く考えてあげてもいいのかもしれないな」

 それ以上の相談がないのなら、ひとまずこの話は終わり、という空気を察して、行人は頷いた。

 ――たしかに、自分の「怖い」しか見てなかったな、俺。

 言い訳だけど、こんなふうに悩むこと自体ほとんどはじめてで、余裕なんてなくて、自分の言動がまずかったのだろうということしか考えていなかった。
 もちろん、自分の言動に問題があった可能性もあると今も思っている。でも、もしかすると、ほかにもなにかあったのかもしれない。
 自分と違って、四谷は芯があって友人もいて、だからそういう意味で問題はないと思っていたけれど。
 話せてよかった、すっきりした、と言ってくれたことが本心だったのであれば、たしかに少しおかしかったのかもしれない。

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