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77、シンクロ
しおりを挟む「あははは! すごいな、コイツ。まだ生きてるじゃん。といってももう、これだけ死にかけだと、その辺の女と変わらないけどね」
天妖・絶斗が天音の首根っこを右手で掴み、猫でも持ち上げるかのように軽々と引き上げる。
〝覇王”にすれば容易い芸当だが、見た目は小学生高学年の男児と変わらないだけに、その光景は異様だった。身長差があるために、絶斗が腕をあげて持ち上げても、ヴィーナスの白銀のブーツは床についている。それでも脱力しきった天音は、子供の姿をした妖化屍に全体重を預けるしかなかった。
「おい、起きろよ。お前さー、このボクになにやってくれちゃったか、まさか忘れてないよな?」
正面に回った絶斗は、オメガヴィーナスの腋の下に左右の手を差し込む。
そのまま頭上に掲げると、必然的に光女神の両腕は横に広がった。ぐったりと一文字に垂れ下がった肢体と両腕とで、十字を描いているようにも見える。
「・・・ぅ”ッ・・・!! ァ”ッ・・・!! はァ”ッ・・・!!」
「さっきの・・・なんだっけ? クロスなんとか? アレ、もう一回ボクにやってみろよ。オメガヴィーナスの切り札なんだろ。このままじゃお前、死んじゃうぞ?」
敢えて十字の形を取らせた光女神を、〝覇王”は挑発した。
オメガヴィーナスにとっては、確かにこの態勢は逆転への糸口となる好機。これまでに何度かあった危機も、天音は最大の必殺技〝クロス・ファイヤー”で窮地を脱してきた。絶斗との初戦でも、自らを十字架に模した光線技で、かろうじて退けることができたのだ。
ただし、爆発的な光を生むほどの、力がまだ残っていれば。
「やらないの? このボクを一度は跪かせたんだ。あの技を破らないとスカッとしないじゃん。気分悪いだろー?」
「はァッ・・・!! ぐふぅ”ッ・・・・・・!! んはァッ、はァ”ッ・・・!!」
「ちぇ。つまんないなー、このカス。じゃあ、ボクが嬲り殺すだけだね」
オメガヴィーナスを両腕で掲げた態勢から、至近距離で。
ほぼ目の前にある天音の胸・・・スーツが破り取られ、地肌に火傷痕のように浮かんだ黒い『Ω』マークに、絶斗は漆黒のアイレーザーを照射する。
オメガ粒子の集積地が、灼熱の光線で焼かれていく。
「ぎゃああ”ッ!? うあああ”あ”ア”ア”ッ―――ッ!!! 胸ェッ!! 胸がァ”ッ――ッ!! 溶けェ”ッ・・・溶けてェ”ッ~~~ッ!!!」
「お前のオッパイ、グツグツに煮込んでやるよ。心臓まで溶けちゃうかもね」
オメガヴィーナスの剥き出しのバストが、オレンジ色に煌々と輝く。溶鉱炉の内部のような光だった。そこがオメガ粒子の集中した場所でなくても、深刻なダメージとなるのは明らかだ。
食い縛る天音の歯の隙間から、ドロドロと粘着した血の塊がこぼれる。
ジュウジュウと、黒煙が立ち昇る。宙に浮いた脚が懸命にもがき、絶斗を蹴りつけようとも少年妖化屍はビクともしなかった。
(胸ェ”ッ・・・!! 燃え、るッ!! 苦しすぎッ・・・るッ!! 死にたい・・・お願い、いっそ殺してェッ――ッ!!)
ビクビクと痙攣し、粘ついた血を吐き、涙の飛沫を撒き散らして、天音は胸を焼かれ続けた。
光のエネルギーが残っていれば、わずかでも〝クロス・ファイヤー”を発揮して、この地獄を脱出できたかもしれない。だが不可能だった。肢体を捻じり回され、大量に失血し・・・普通の人間ならば、生きているのさえ信じられない状態なのだ。
もはやオメガヴィーナスには、反撃する力など欠片も残っていない。
「ねえ? ホントはもう殺してって、お願いしたい気分でしょ?」
悲痛な叫びをあげ続け、光女神は天妖の問いには答えなかった。
「最強のオメガスレイヤーのプライドが、そんな懇願は許さない、ってとこかな? じゃあさ、お前が泣いて謝ったら、妹は助けてあげてもいいよ。お前は殺すけどねー」
溶けた鉄を胸に流し込まれるような激痛のなか、絶斗の言葉は甘い囁きとなって天音に響いた。
「もう自分は助からない、ってわかってんだろ? じゃあ妹のために死ねば? アイツはもともと、お前をおびき寄せるためのエサだもん。お前がボクたちに誠意を見せて謝ったら、妹の命だけは助けてや・・・」
「断るッ・・・わッ・・・!!」
絶斗の言葉が終わるより早く、天音は提案を拒否していた。
「オメガッ・・・ヴィーナスはッ・・・・・・!! 負け・・・ないッ・・・!!」
その言葉が強がりでしかないことは、天音自身が誰より悟っている。
それでも、執拗に漆黒のレーザーに胸を焦がされつつ、鮮血に染まった光女神は妖化屍に屈しようとはしなかった。
「郁美ィッ・・・はッ・・・!! 私がッ・・・必ずッ、助けるッ・・・!! あなたたちのッ、力など・・・借りないィ”ッ・・・わッ!!」
六道妖が、オメガヴィーナスの妹を生かしておくはずはなかった。
絶斗の言葉が最初からウソなのはわかっている。天音の惨めな姿を、見たいだけなのだ。オメガヴィーナスが頭をすりつけ懇願した瞬間、その目の前で郁美を殺し、嘲笑うのに決まっている。
逆転のチャンスなど皆無であっても、オメガヴィーナスはあくまで闘うつもりだった。
それが1分でも、1秒でも長く、郁美を生き永らえる唯一の方法。肉片ひとつ、髪一本になっても天音が歯向かい続ける限りは、六道妖は妹に姉の死を見せつけようとするだろう。
「・・・ふーん。甘ちゃんだと思ってたけど、けっこうわかってるじゃん。仕方ないや、やっぱりじっくり嬲り殺すしかないね」
眼から発射していた暗黒のレーザーを、少年妖化屍は中断した。
ガクン、と天音の美貌が垂れる。唇の端から、ドロドロと粘度の高い吐血が糸を引いて落ちていく。
オメガヴィーナスの懇願は引き出せなくても、六道妖に焦りの色はなかった。すでに光女神に反撃の力はなく、驚異的な生命力に支えられて、刻一刻と死に向かっているに過ぎない。
オメガヴィーナスの処刑は、計画通りに最期の瞬間に突き進んでいた。
「『純血』の次は、『純潔』を散らすとしようかのう」
霞んだ視界のなかで、天音は骸頭の姿を捉えた。つい先程、昇天を果たした白銀の女神に、更なる凌辱を加えよというのか。
犯すなら、好きなだけ犯せばいい。
悲壮な決意を固める天音に、思いがけぬ光景が飛び込んだのは、その時だった。
「・・・い・・・くみッ・・・!?」
「先程より、もっとシンクロ率を高めてやろう。妹の凌辱姿を見て、ヌシは我が身とダブらせるがよかろうて!」
先程ブザマに昇天してしまった時・・・自分そっくりの妹が犯される姿を見せつけられ、天音の肢体は欲情してしまった。郁美が受ける愛撫は、自分にされているかのようで・・・案じる想いが強いほど、妹の被虐は己に重なった。
だがそのシンクロは、あくまで天音と郁美のものだ。いくらふたりが瓜二つの美女姉妹でも、郁美はオメガスレイヤーではない。オメガヴィーナスになった天音とは、根本的に肉体が違う。
天音の驚愕する視線に気付き、ようやく郁美は、失神前にはなかったものが我が身に装着されていることを悟る。
オメガヴィーナスの、青いケープと、黄金の『Ω』の紋章。
闘いの最中に引き裂かれ、あるいは弾き飛ばされたオメガスレイヤーの象徴が、オレンジの髪に吊り下げられた郁美の身体に付けられていたのだ。
安っぽいコスプレ、どころか、子供のごっこ遊び並みの扮装だった。だが、紺青のケープと黄金の『Ω』マークは、オメガスレイヤーのアイデンティティといってもよい。
それだけのことで、郁美はオメガヴィーナスそっくりに見えた。唯一無二のはずの光属性のオメガスレイヤーが、天音以外にもうひとり、出現していた。
「ああ”ッ・・・!? ・・・ァ”ッ・・・!!」
「ゲヒヒッ・・・クフヒヒヒ・・・さぁて、『オメガヴィーナス』のオッパイを・・・イタズラしちゃおっかなぁ~~・・・『ケガレ殺し』で感度ビンビンになっちゃったお豆をねぇ~~・・・」
郁美、いや、もうひとりの『オメガヴィーナス』に張り付いていた泥の妖化屍が、左右の乳房に腕を伸ばしていく。
果実のような丸みを描いた稜線は、すでに縛姫の手によって揉み潰されている。女妖化屍の掌と、柔らかな膨らみの隙間に侵入していく灰色のヘドロ。
〝妄執”がらしくない優しさで乳房をこね回すと同時に、〝流塵”の粘液の指が尖った先端をクリクリと弄った。2種類の悦楽が絡み合って、欲情し切った女子大生を襲う。
「あくぅ”ッ・・・!! ふああ”ッ、あああ”ッ――ッ!!」
「い、郁美ッ・・・!! あ”ッ、あああ”ッ・・・!!」
縛姫の手で胸を揉みしだかれ、ヘドロに突起を愛撫されて郁美が仰け反る。
白黒ボーダーのTシャツに、ただ剥ぎ取られた『Ω』マークが付けられただけ。それなのに、自分と同じ顔、そして同じような美乳を持つその肢体が、天音には馴染みあるスーパーヒロインのものと重なる。
その官能の刺激が、天音には我が身に伝わるかのようだった。左右の乳首は屹立し、ビクビクと引き攣った。確かな快感が、本物のオメガヴィーナスの乳房にも広がってくる。
「見ろよぉ~~、『オメガヴィーナス』が犯されているぞぉ~~・・・!? ・・・乳首とか、クリトリスとかぁ・・・下のおクチのビラビラを汚い泥で摩擦されてぇ~~・・・ほぉら、気持ちよくって狂いそうになってるぜぇ~~っ・・・!!」
青いケープと『Ω』マークだけの『オメガヴィーナス』への責めは、胸のみに留まらなかった。
郁美の下半身に張り付いている呪露の泥も、愛撫を活発化させている。秘裂に侵入し膣の襞を擦りあげ、過敏な肉芽をしごく。アナルの皺にピタリと密着し、モゾモゾと刺激を送る・・・。
長時間に渡って性的拷問を受け続け、強力な媚薬を投与された女子大生は、もはや全身がピンクに染まるほど欲情し切っている。
「んはあああぁ~~ッ!! はふぅ”ッ、ふぇあああ”ア”ッ・・・!! お姉ちゃッ・・・んはああア”ア”ッ――ッ!! 壊れひゃふうううぅ”ッ―――ッ!!!」
「ふはああ”ッ!? ア”・アアア”ッ・・・!! やめッ、やめてぇッ――ッ!!」
「『オメガヴィーナス』がイキまくってるぞぉッ~~ッ!? ・・・見ろよぉ、天音ぇッ~~・・・このヨガリ狂ってるのが『オメガヴィーナス』だぁッ~~ッ!! ・・・この淫乱な雌がお前なんだよぉ~~ッ・・・!!」
オレンジの髪に緊縛され、首吊り状態にされた郁美の身体が、空中でビグンビグンと跳ね踊った。
嬌声をあげる口から、涎の飛沫が飛び散る。『オメガヴィーナス』が、貫く快感に耐え切れず泣き叫んでいる。官能に敗れた哀れな妹の姿が、天音には己自身と重なった。
「郁美ィ”ッ・・・!! いくッ・・・!! ふうぅ”ッ・・・!! ぅはああ”っ、はああ”~~ッ・・・!!」
甘い刺激が、己のバストと股間にも湧くのを、天音は自覚した。
妹とのシンクロ、だけが理由ではなかった。気が付けば骸頭が胸を、そして絶斗が陰唇を愛撫している。老人のカサカサの指が露出した乳房を這いずり、少年の小さな掌が秘裂にそって撫で回す。
郁美へ下される凌辱と、我が身に刷り込まれる刺激。想像と現実とが重なり、境界線を失ってオメガヴィーナスを蕩けさせていく。
(いく・・・みッ・・・『オメガヴィーナス』・・・が・・・あんなに乱暴に・・・胸を、股間を・・・遊ばれてッ・・・)
(あ”ッ・・・ああ”ッ・・・あの『オメガヴィーナス』・・・もッ・・・こんな刺激ッ・・・を・・・受けている・・・のね・・・ッ・・・)
(あくう”ぅ”ッ――ッ!! ・・・ア”・・・アア”ッ・・・!! 耐えられ、なッ・・・こん、なッ・・・耐えられ、るッ・・・わけが・・・)
(いく・・・みぃ”・・・『オメガヴィーナス』・・・も・・・こんなっ・・・気持ちよ、くぅ”ッ・・・)
(ダ・・・メぇ”・・・『オメガヴィーナス』・・・が・・・犯されぇ”・・・てッ・・・!!)
(あの・・・『オメガヴィーナス』・・・は・・・私・・・ッ・・・)
(私、なのね・・・あの・・・哀れに嬲られている・・・『オメガヴィーナス』・・・は・・・)
(・・・私・・・も・・・ヨガリ・・・狂ってぇ”・・・)
(・・・オメガヴィーナス・・・は・・・穢され・・・るッ・・・!!)
ぷしゅッ!! ・・・ぷしゅしゅッ!!
絞首刑状態の『オメガヴィーナス』の下腹部で、噴出の音がかすかに漏れる。
オフホワイトのミニスカートに、沁みが広がる。もう何度目となるかわからぬ絶頂を、郁美は迎えていた。セミロングの茶髪が、くたりと垂れる。
妹がオルガスムスに達するのを合図としたかのように――。
口からゴボゴボと白い泡を吹き、股間からはトロトロと愛蜜を垂れ流して、天音の全身がガクンと脱力する。
簡易な造りの『オメガヴィーナス』に釣られるようにして、本物のオメガヴィーナスもまた、意識を失っていた。
「・・・ここまで衰弱し切れば・・・最強のオメガスレイヤーとて、始末は容易いのう」
皺だらけの顔をさらにクシャクシャにする地獄妖の怪老に、少年妖魔が応えた。
「どうせ処刑するならさー、コイツの好きな十字架を利用しない手はないよね」
「女神と呼ばれた小娘の最期には・・・ピッタリじゃわい」
首から黄金のロザリオ・・・十字架型のオメガストーンをぶら下げた女神を、絶斗は引きずっていく。
目指す先には、〝オーヴ”をたっぷり含んだ緑の十字架が祭壇の中央に飾られていた。
『純血』を搾り取られ、オメガ粒子の集積地を灼熱で焼かれたオメガヴィーナスに、残酷な処刑から逃れる術などなかった。
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