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第一七話 ポルターガイスト
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北田は約束通り、自分の部屋で瀬名を待っていた。しかし約束の時間になっても瀬名が来ない。
「何かあったのか?」
瀬名は時間には厳しく、プライベートでも絶対に遅刻はしないはずだ。おかしいと思った北田は瀬名に電話をした。
「もしもし、春雪さん?どうしたんですか?約束の時間もう過ぎてますよ?」
「悪い、今新井さんの部屋にいるんだ」
瀬名はなぜか小声で、まるで誰かに聞かれるのを恐れているかのように話した。
「新井さんの部屋?どうして!?」
「話せば長くなる、今は無理だ」
北田は何かただならぬことが瀬名の身に起こっていると感じた。
「とりあえず、今すぐそっち行きますから!」
「うん、でもとにかく彼女が落ち着かない事には…あっ」
そこで突然、ブツッという音がして電話が切れた。
「春雪さん!?」
掛け直しても、圏外か電源が入ってないというアナウンス。
北田は大急ぎで部屋を出ると、新井のマンションに向かった。
(警察に通報するか?でも何といえば??上司が監禁されてるんです、とか?)
北田は途方に暮れた。
***
一方そのとき、新井莉々子の部屋では…
紅茶を淹れている最中に、瀬名が勝手に電話をかけていたことに激怒した莉々子が、瀬名の手からスマホを奪いあげていた。
「誰と話してたの?」
「別に、ただの部下です」
「ふーん」
そういうと莉々子は突然、瀬名のスマホを思いきりテーブルに叩きつけた。バキッという嫌な音がしてもなお、完全に壊れるまで、何度も何度も叩きつける。
「おい!」
瀬名は思わず叫んだ。
「あたしに無断で電話するからよ。大丈夫、ちゃんとあとで新しいのを買ってあげる。もちろんGPSでお互いの位置が常にわかるようにしないとね」
瀬名は今まで感じたことのない恐怖を感じた。
「さぁ、どうぞ」
莉々子は紅茶をテーブルに置くと、瀬名の隣に座って体をすり寄せてきた。ミニスカートからのぞいた太ももがあらわになる。細い指で顎先を撫でられ、全身に鳥肌が立った。
「春雪さん、キスして」
彼女から必死で顔を背けた。莉々子はいらだって瀬名の服を強く引っ張る。
「さっき言ったこと本気よ?早く」
瀬名はもう精神的に限界だった。
(竜臣…!助けてくれ…)
その時突然、部屋の隅に合った照明が倒れてガシャンと鳴った。
「え…?」
それを皮切りに、棚の上のものが次々に床に落ち、クローゼットが勝手に開いて中身が飛び出し、天井の照明が左右に大きく揺れ出した。
「な、なに?地震?」
しかしそれは明らかに地震とは違っていた。建物が揺れているのではない。部屋の中の物が勝手に動いているのだ。
「やだ…なんなの!?怖い!」
莉々子は叫んで瀬名に抱き着いてきた。瀬名は部屋の中で起こっている出来事をただ唖然と見つめる。
それは徐々に激しさを増し、テーブルや二人の座るソファまでガタガタと大きく揺れ出した。
「ギャッ」
紅茶のポットが倒れて中身が莉々子の足にかかった。莉々子は一気にパニックに陥った。
「イヤーッ!止めてーっ!」
髪を振り乱して叫ぶと、瀬名をギロリとにらんだ。
「あなたなの!?あなたのせいでしょ!?あなたが来てからおかしくなった。何とかしなさいよ!!」
「俺は何もしてない!」
ダイニングのほうからも、食器が飛び出して割れる音が響く。耳を裂くような音に莉々子は本気で泣き出した。
「もぉやだぁ…!やめてよぉ!!」
そう叫んで彼女は部屋を飛び出した。
莉々子がいなくなると、部屋の現象がぴたりと止まった。
「何だったんだ…?」
とにかく、早くここを出なければ。そう思い、瀬名は急いで莉々子の部屋を出た。
「何かあったのか?」
瀬名は時間には厳しく、プライベートでも絶対に遅刻はしないはずだ。おかしいと思った北田は瀬名に電話をした。
「もしもし、春雪さん?どうしたんですか?約束の時間もう過ぎてますよ?」
「悪い、今新井さんの部屋にいるんだ」
瀬名はなぜか小声で、まるで誰かに聞かれるのを恐れているかのように話した。
「新井さんの部屋?どうして!?」
「話せば長くなる、今は無理だ」
北田は何かただならぬことが瀬名の身に起こっていると感じた。
「とりあえず、今すぐそっち行きますから!」
「うん、でもとにかく彼女が落ち着かない事には…あっ」
そこで突然、ブツッという音がして電話が切れた。
「春雪さん!?」
掛け直しても、圏外か電源が入ってないというアナウンス。
北田は大急ぎで部屋を出ると、新井のマンションに向かった。
(警察に通報するか?でも何といえば??上司が監禁されてるんです、とか?)
北田は途方に暮れた。
***
一方そのとき、新井莉々子の部屋では…
紅茶を淹れている最中に、瀬名が勝手に電話をかけていたことに激怒した莉々子が、瀬名の手からスマホを奪いあげていた。
「誰と話してたの?」
「別に、ただの部下です」
「ふーん」
そういうと莉々子は突然、瀬名のスマホを思いきりテーブルに叩きつけた。バキッという嫌な音がしてもなお、完全に壊れるまで、何度も何度も叩きつける。
「おい!」
瀬名は思わず叫んだ。
「あたしに無断で電話するからよ。大丈夫、ちゃんとあとで新しいのを買ってあげる。もちろんGPSでお互いの位置が常にわかるようにしないとね」
瀬名は今まで感じたことのない恐怖を感じた。
「さぁ、どうぞ」
莉々子は紅茶をテーブルに置くと、瀬名の隣に座って体をすり寄せてきた。ミニスカートからのぞいた太ももがあらわになる。細い指で顎先を撫でられ、全身に鳥肌が立った。
「春雪さん、キスして」
彼女から必死で顔を背けた。莉々子はいらだって瀬名の服を強く引っ張る。
「さっき言ったこと本気よ?早く」
瀬名はもう精神的に限界だった。
(竜臣…!助けてくれ…)
その時突然、部屋の隅に合った照明が倒れてガシャンと鳴った。
「え…?」
それを皮切りに、棚の上のものが次々に床に落ち、クローゼットが勝手に開いて中身が飛び出し、天井の照明が左右に大きく揺れ出した。
「な、なに?地震?」
しかしそれは明らかに地震とは違っていた。建物が揺れているのではない。部屋の中の物が勝手に動いているのだ。
「やだ…なんなの!?怖い!」
莉々子は叫んで瀬名に抱き着いてきた。瀬名は部屋の中で起こっている出来事をただ唖然と見つめる。
それは徐々に激しさを増し、テーブルや二人の座るソファまでガタガタと大きく揺れ出した。
「ギャッ」
紅茶のポットが倒れて中身が莉々子の足にかかった。莉々子は一気にパニックに陥った。
「イヤーッ!止めてーっ!」
髪を振り乱して叫ぶと、瀬名をギロリとにらんだ。
「あなたなの!?あなたのせいでしょ!?あなたが来てからおかしくなった。何とかしなさいよ!!」
「俺は何もしてない!」
ダイニングのほうからも、食器が飛び出して割れる音が響く。耳を裂くような音に莉々子は本気で泣き出した。
「もぉやだぁ…!やめてよぉ!!」
そう叫んで彼女は部屋を飛び出した。
莉々子がいなくなると、部屋の現象がぴたりと止まった。
「何だったんだ…?」
とにかく、早くここを出なければ。そう思い、瀬名は急いで莉々子の部屋を出た。
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