人妻と付き合っています。(R15版+性描写)

桐生彩音

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002 人妻と遊んでいます。

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「てりゃっ!」
「おお~」
 夕食後、二人が遊びに来たのはボーリング場だった。
 いきなりストライクを出す未晴に感心しながら、公彦もレーンに立ってボールをたずさえた。
 同じくストライクを狙って投げるも、公彦の投げたボールは中心とガーターの間を突き抜けていく。いくつかのピンが飛ぶのを見届けてから、レーンからボールが戻るまでの間は手持無沙汰となるので、未晴の方へと振り返った。
「うまくいかないな……」
「まあガーターじゃないだけマシだって」
 差し出されたペットボトルに口をつける。受け取ったスポーツドリンクが公彦の身体へと染み渡ってくるタイミングで、未晴が口を開いた。
「ところでそれ、口開いてなかった?」
「ぶふぉっ!?」
 確かにキャップの口が開いていた。喉が渇いていたし、気を利かせて開けてくれたのかと思っていたのだが、どうやら違ったらしい。
「あっさり噴いちゃって……もしかして童貞?」
彼女あいているならナンパなんてしませんよ……」
「いやぁ、割と肉食だよね。見かけ草食なのに」
 今更間接キスだったかどうかを詮索することもできず、公彦は飲んでいたペットボトルを置いて、戻ってきたボールを再び構えた。
「男って、ほんのちょっとでも経験がないと肉食になれないって考えてたのに……公彦君、けっこう素質あるよ」
「何の?」
「ドSなご主人様」
 投擲とうてきする瞬間だったのがまずかった。公彦の投げたボールは狙い違わずレーン脇の溝ガターへと流れていく。その様子を眺めながら未晴は立ち上がると、楽し気にペットボトルを手に取り、残りのスポーツドリンクを一息で飲み干した。
「男ってちょっとしたきっかけですぐ調子づくから……公彦君みたいなのは生粋の肉食系って感じで、けっこう貴重なんだよね~」
「……それってめてるんですか? 未晴さん」
「きちんと活かせたらね」
 公彦と入れ替わりにレーンに立つと、未晴はボール片手に振り返ってくる。
「ちょっと賭ける? 私に勝てたら連絡先を教えてあげよう」
「え? 本当に!?」
「でも勝てるかな~?」
 未晴の投げたボールは、先程と寸分違わずレーンの中心をなぞり、再びストライクダブルスコアを叩き出していた。
「これでもけっこう遊んでいた口だからね、私」
「言っておきますけど……」
 ボールを投げる公彦。しかし今度は未晴と同じ中央に投げ放たれ、全てのピンを弾き飛ばしていた。
「俺もけっこう通っていますよ?」
「……マジ?」
 どうやら最初の一投は手を抜いていたと、未晴は今更気が付いた。
(これ手を抜いたらまずいな……体力持つかな?)
 賭けに出たのは早まったかと、内心考え込む未晴だったが、すぐに否定してボールを構えた。
(……ま、その時は付き合ってあげますか)
 なんだかんだ楽しめているので、気にせず行こうと未晴はボールを振り被る。



 結果は僅差きんさで、公彦の勝ちだった。
「はい御褒美」
「あざっす!」
 人妻だが年上お姉さんの連絡先をゲットし、有頂天になる公彦と共に、未晴は家路に着いていた。住所はともかく年上と言うこともあり一度は断ったのだが、男として当然だとばかりに詰め寄られたので仕方なくお願いすることに。
 その道中で連絡先を交換したのだが、地に足つかない浮かれっぷりに、未晴はあきれながらも、再び公彦と腕を組んであげることにした。
「はいおとなしくする。おっぱいちっちゃいけど我慢してね~」
「いえ……これはこれで」
「公彦君は正直だね~」
 目的地である公共住宅の前まで、未晴は公彦と組んだ腕を放すことはなかった。そして別れの時が来て、ようやく互いが距離を置いたのだ。
「でもそれだけ積極性があるなら、クラスメイトとかと付き合っちゃったりしないの?」
「いやぁ……なんとなく付き合う気になれなくて」
 それがナンパに走った理由なのかもしれない。
 よく話をする女子もいるにはいるが、はっきり付き合いたいかと問われれば、公彦自身即答することができなかった。なんらかのきっかけさえあれば進展するのかもしれないが、それよりも年上のお姉さん目の前の餌という分かりやすい出来事イベントに惹かれてしまうのが、男子高校生のさがなのかもしれない。
「でも人妻よりかは健全でしょう? 年齢も近いし」
「ええ……未晴さんは俺、嫌ですか?」
「こらこら、人妻を口説かないの」
 軽くでこピンを当てる未晴だが、それが公彦の情欲に油を注いでいることには気づいていない。
「しょうがない……旦那が帰ってくるまで相手してあげるから、その間にちゃんと真っ当な相手見つけること。それが条件ね」
「え? 旦那さんと別れた未晴さんと俺が結婚する未来は?」
「はっはっは、大人を舐めるなよがきんちょが」
 そして掲げられる結婚指輪ウェディング バンドは、いまだに未晴の薬指から外されていない。このまま一線を越えさせないという、気持ちの表れなのだろう。
「まあ、私を傷つけない範疇はんちゅうなら練習相手になってあげるから、ちゃんと彼女作りなよ~」
「はぁ……まあ考えておきます」
「よろしい。じゃあまたね~」
 そして、未晴は公彦に背を向けて去っていった。
「土日とかなら大体空いているからよろしく~」
「はい、お休みなさい……」
 未晴が公共住宅の中に消えていくのを見届けてから、公彦もまたきびすを返して家路に着く。もうすぐ21時に差し掛かろうという頃合いだが、おそらくは両親のどちらも家に帰っていないだろう。
 公彦は帰りながら、家に着いたら風呂に入ろうと考えながら歩いて行った。



『今日、男子高校生の友達ができました。いいかげん連絡くれないと、その子浮気相手に昇格しちゃうよ』
 スマホを操作してメッセージアプリからそう飛ばすと、未晴は服を脱ぎ始めた。そのまま風呂に入ろうとタオルを取るが、スマホが一度振動したので再びスマホに持ち替えた。旦那から連絡が来たのかと思えば、相手は公彦からだった。
「ん? 『今日はとても楽しかったです。また遊びに行きましょう。これからもよろしくお願いします!』か。若いね……」
 適当に『こっちこそよろしく! ちゃんと彼女作れよ~』と返事を投げてから、未晴はようやくボウリングでかいた汗を流すことができたのだ。さっぱりした気持ちでゆっくりと湯船につかっているが、それでも物足りなさの方がまさってくる。
「早く会いたい……じゃないと寂しくて、年下に手を出しちゃうからね」
 いまだに単身赴任から帰ってこない旦那を想いながら、未晴はゆっくりと身体を磨くように、全体をマッサージし始めた。
「ぅん……もうちょっと育って欲しかったかな、おっぱいは」
 豊胸マッサージもしていたが、旦那の単身赴任が一年を超えたあたりで止めている。あまり効果が表れない上に、寂寥感せきりょうかんでモチベーションをたもつのが難しくなってきたからだ。
 でも、今日できた年下の遊び相手のことを考えると、なんとなくだが再開してもいい気がしてきた。
「人間、成長を止めちゃいけないよね……よし、続けよう」
 風呂から上がり、身体から水滴を入念に拭った未晴は、マッサージついでに身体も動かそうと部屋へと戻っていく。別に公彦のためではないが、旦那が帰ってきた時に醜い肢体をさらすのもどうかと思っての行動エクササイズである。
 これからどう転んでも、離婚しない以上は浮気となってしまう。近所の人の目もあることだし、会う頻度ひんどはほどほどにしておくに越したことはない。結局は浮気だとしても、周囲の人間だって同じことをしている者もいるのだ。
(私だけ駄目、なんて理不尽がないといいけど……)
 未晴はまた一度スマホを確認してから、寝室の床の上にエクササイズマットを敷いてトレーニングを開始した。



 ……既読のつかないメッセージが、目に入らないかのように。
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