副業犯罪者達の夜

桐生彩音

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SEASON1

006 雇われのバーテン/SEASON1あとがき

 そう、やるべきことは変わらない。
「そんなに人が信じられないなら……人間辞めちゃう?」
「ぅぅ、ぅ……」
 仕事を終え、自宅へと戻った抽冬は速やかに、桧山を拘束した。
 裸に剥き、首輪と口枷を噛ませただけの簡易M奴隷状態にされた桧山は現在、抽冬の足元で四つん這いになっている。その首輪から伸ばされているリードを片手に、今は食の準備に取り掛かっていた。
 本来ならば自分が用意したいと思っているのかもしれないが、今の桧山はただのM奴隷だ。抽冬の命令もないままに、人間に戻ることができずにもどかしくしている。
 というわけでもないだろうが、桧山はずっと、剥き出しの身体を抽冬の足に擦り付けていた。
 まるで動物ペットのような振る舞いだが、現状の扱いとしては間違ってはいないだろう。
「それにしても……オーナーと仲が良いことには驚いたな」
 付き合いは決して短くないものの、まだまだお互いに、知らないことはある。抽冬はそんなことをぼんやりと考えながら、冷蔵庫の残り野菜で作った具材をかけうどんに載せ、野菜うどんへと変貌させた。
「ところで、もうご飯食べた?」
「ぅ、…………っ」
 開けられたままの口から、涎が唇を伝っているものの、自ら拭うことは精神的にできていない。そんな汚い顔のまま、桧山は首を横に振った。
「分かった」
 同じく残り野菜で作った野菜炒めを皿に盛った抽冬は、桧山の首輪に繋がっているリードを引きながら、それぞれテーブルへと運んだ。ただし、全ての皿がそのに載せられたわけではない。
「はい。…………待て」
 自身の裸体を隠すことなく、桧山は抽冬の足元で、犬でいう『おすわり』の姿勢を取った。その前に野菜炒めの盛られた皿が、フローリングの上に直接置いてしまう。
 どうやら抽冬自身、この状況に酔っているらしい。
「ちょっと待っててね……はい、良し」
 しかし桧山もまた、次の行動に対しての躊躇は一切なかった。
 桧山は抽冬に勧められるまま、フローリングの上に置かれた皿に顔を近付け、そのまま野菜炒めを口に咥えて、咀嚼していく。
「っ、っ……ぅん」
「俺も食べよう……」
 口元を汚しながら食事を進めていく桧山の横で、抽冬は椅子に座ってから、野菜うどんに箸をつけた。
「……いただきます」
 常識的に言えば、非現実的な光景なのだろう。
 だがこれが……これこそが、抽冬達の現実だった。
「美味しい?」
「ぅ、……ん」
「そうか……」
 一度食事を中断し、抽冬の方を見上げてから頷く桧山の返事に満足してから、自分の料理に舌鼓を打つ。
 この後はすぐに寝て、に備えなければならない。
 いつも通り、副業で犯罪行為に手を染める者達を出迎える為に、雇われのバーテンとして働く。

 それが今の、抽冬の日常だった。



 **********



 SEASON1あとがき『カクマラソン2023、書ききりました』

 今回、拙作の別作品に出てくる登場人物の関係者(の関係者?)を焦点に、『カクヨム』様の企画である『カクヨム誕生祭2023・カクマラソン』に参加させていただきました。が……実は私自身、ちょっと驚いています。
 一話千文字前後とはいえ、まさか一ヶ月以上も物語を続けられるとは、思っていませんでした。たしかに、普段は一話を三千文字から五千文字程度で投稿していましたが、基本的には週一の更新を目途に執筆を続けていました。
 それが今回、まさかの完走ですから、驚きを禁じ得ません。なんでしたら、すでにオーバーランしていますから。しかも完走はしても、完結はしていませんから。まだ『春夏秋冬』の『春』(キャラ設定は用意していました)は出ていませんからっ!
 他にも小説を執筆している現状で、中には放置状態のものもありますが……誠に申し訳ございません。本作もまた、機会がありましたら続編を投稿させていただきます。
 現状では予定通り、慣れない毎日更新を行った為に、文章が汚いままになっていないか確認(必要となりましたら更新)した後に、『小説家になろう』様や『アルファポリス』様にも投稿させていただきます。その後、機会を見てまた執筆し、投稿させていただく所存です。
 また機会がございましたら、ご一読いただければ幸いです。
 それでは一旦、筆を置かせていただきます。本作品をここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。

 桐生彩音

 こちらは拙作『TRANSPORTER-BETA(旧題:進学理由『地元が廃村になりました』)』のスピンオフとなります。他に投稿しております小説も、よろしければお読みいただけますと、大変嬉しく思います。
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