10 / 54
シリーズ001
010 私のこれから
しおりを挟む
だから偶に、虚しく感じてしまう。
人並みに結婚生活を送って、真っ当に人生を終えるものと思っていたのに、待っていたのは娼婦としての生活。
どこで間違ったのだろう?
努力する時間が惜しいばかりに、すぐに生活費が稼げる娼婦になったこと?
勇者と言う存在に興味を持ち、冒険者だった旦那に好奇心をぶつけたこと?
それとも……身寄りも何もない孤児が、この世界で生きようと足掻いたこと?
「ねぇ……」
「どうしたの、ミーシャさん?」
ベッドの上に並んで寝転んでいた私達。
情事の後始末もしないまま、服を着ずにシーツを被っての情後の会話。いつもは彼から話題を振られているけれど、今日は気まぐれに、私から振ってみた。
「偶には別の女を抱きたい、とか思わないの?」
ジャンヌ達には悪いけど、ちょっとは不思議に思っといた方が変な不信感も抱かれないでしょう?
……と、適当に言い訳してみたり。
「うぅん……実は、ミーシャさんの指名を買い占める時にも言われたんだけど」
頬をポリポリと掻いているのが見なくても分かるくらいに、付き合いが長くなってしまったと思う。私は気にせず、続きを待った。
「……結局駄目だった。ミーシャさんの身体が、偶に見せる悲しそうな瞳が忘れられなくて、選べなかった」
悲しそうな瞳、って……やっぱりまだ、引き摺ってるのかな。
「こんなこと言うのも駄目だと思うけど……娼婦に入れ込んでも、いいことないわよ?」
「別にいいよ。勇者といってもさ、そんなに出会いがないんだよね」
まあ、ジャンヌもディル君にそんな感情を向けてないかもしれないけど、娼館通いを止めればまだ好印象になると思うんだけどな……
「だから今は……」
仰向けになると、それに合わせてディル君が私に覆い被さってきた。
「……ミーシャさんに傍にいて欲しいんだ」
「まったく……」
呆れてものも言えない。
これだから童貞レベルの高い奴は……
「……商売抜きでの忠告、『娼婦は身体しか買えない』わよ?」
「うん、だから『練習』も『本番』も、ミーシャさんだけがいいな、って」
……しょうがないな。
「じゃあ、きちんと代金を払ってくれる限り」
あまり情欲の湧かない、唇だけの重なり合い。一応は娼婦の仕事の範疇だが、偶にはこういう優しいのも、旦那にしてあげるようなキスも悪くない。
「『身体』だけはあなたの女になってあげる」
「今はまだ、それでいい、かな……」
独占欲が強く、娼婦に大金をつぎ込んでしまう、童貞レベルの高い勇者様の情欲を受け入れていく。
未だに死んだ旦那に未練を持っているけれど、それでも私は娼婦だ。生きる為だ。身体はいくらでも売り払ってやる。だから、
「ああっ、ああっ!?」
「ぁあんっ!?」
だから……『心』まで買おうとしないで。お願いだから。
人並みに結婚生活を送って、真っ当に人生を終えるものと思っていたのに、待っていたのは娼婦としての生活。
どこで間違ったのだろう?
努力する時間が惜しいばかりに、すぐに生活費が稼げる娼婦になったこと?
勇者と言う存在に興味を持ち、冒険者だった旦那に好奇心をぶつけたこと?
それとも……身寄りも何もない孤児が、この世界で生きようと足掻いたこと?
「ねぇ……」
「どうしたの、ミーシャさん?」
ベッドの上に並んで寝転んでいた私達。
情事の後始末もしないまま、服を着ずにシーツを被っての情後の会話。いつもは彼から話題を振られているけれど、今日は気まぐれに、私から振ってみた。
「偶には別の女を抱きたい、とか思わないの?」
ジャンヌ達には悪いけど、ちょっとは不思議に思っといた方が変な不信感も抱かれないでしょう?
……と、適当に言い訳してみたり。
「うぅん……実は、ミーシャさんの指名を買い占める時にも言われたんだけど」
頬をポリポリと掻いているのが見なくても分かるくらいに、付き合いが長くなってしまったと思う。私は気にせず、続きを待った。
「……結局駄目だった。ミーシャさんの身体が、偶に見せる悲しそうな瞳が忘れられなくて、選べなかった」
悲しそうな瞳、って……やっぱりまだ、引き摺ってるのかな。
「こんなこと言うのも駄目だと思うけど……娼婦に入れ込んでも、いいことないわよ?」
「別にいいよ。勇者といってもさ、そんなに出会いがないんだよね」
まあ、ジャンヌもディル君にそんな感情を向けてないかもしれないけど、娼館通いを止めればまだ好印象になると思うんだけどな……
「だから今は……」
仰向けになると、それに合わせてディル君が私に覆い被さってきた。
「……ミーシャさんに傍にいて欲しいんだ」
「まったく……」
呆れてものも言えない。
これだから童貞レベルの高い奴は……
「……商売抜きでの忠告、『娼婦は身体しか買えない』わよ?」
「うん、だから『練習』も『本番』も、ミーシャさんだけがいいな、って」
……しょうがないな。
「じゃあ、きちんと代金を払ってくれる限り」
あまり情欲の湧かない、唇だけの重なり合い。一応は娼婦の仕事の範疇だが、偶にはこういう優しいのも、旦那にしてあげるようなキスも悪くない。
「『身体』だけはあなたの女になってあげる」
「今はまだ、それでいい、かな……」
独占欲が強く、娼婦に大金をつぎ込んでしまう、童貞レベルの高い勇者様の情欲を受け入れていく。
未だに死んだ旦那に未練を持っているけれど、それでも私は娼婦だ。生きる為だ。身体はいくらでも売り払ってやる。だから、
「ああっ、ああっ!?」
「ぁあんっ!?」
だから……『心』まで買おうとしないで。お願いだから。
0
あなたにおすすめの小説
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる