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第三年代記

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◆第三年代記◆

【百年紀のカレンダー シリーズ 口上】

 最後の審判戦争が終わり、ヴィーナス・ネットワーク・レイルロードと呼ばれる、宇宙連絡鉄道によりつながった世界。

 加盟惑星世界は、有能な美女を競って献上しようと画策している……
 ヴィーナス・ネットワーク・ワールドは、ヴィーナスの寵妃たちで運営されるからだ……

 『献上品』と呼ばれる女たちは、加盟惑星の権益を背負い、まずは寵妃を目指す。
 そして執政官として、未開惑星を管理していくことになる。
 そのような執政官たちのいくつかの物語を語ろう……

 『惑星エラムより愛をこめて』から『惑星エラム 幻のカタカムナ』までの百年紀のサイドストーリー……

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 百年紀のカレンダー1 蓬莱グランドツァー
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 『最後の審判戦争』と呼ばれるものが終わった……
 なんとか勝利した、六欲天の支配者、黒の巫女ヴィーナス、つまりは吉川ミコさんにも休憩がいただけた。

 といっても、血の繋がらない姉イシスの強硬な頼みで、姉妹水入らず……

 二人だけでは、碌なことにはならないのは確実……
 これ以上女を拾ってこられたらたまらない。

 ということで、ハウスキーパーのサリーの厳命で、クリームヒルトがお目付け役に……

 この惑星『蓬莱』で、クリームヒルトはかけがえのない友達が出来た……そして厄介なお仕事が……

 『惑星エラムより愛をこめて』から『惑星エラム 幻のカタカムナ』までの百年紀のサイドストーリー……
 『百年紀のカレンダー』シリーズの第一集。

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百年紀のカレンダー2 ガリレオ・カウンティス
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 マルス移住に多大の貢献をした、四つの勢力にはご褒美として、ガリレオ衛星の開発許可がおりた。

 ソル星系外惑星鉄道が整備され、ガリレオ衛星ステーションには、四つの衛星世界を管轄する、執政官府もおかれた。
 執政官にアリシア・デビットソンが任命され、ユニバースからも、新米軍事参議官四人が赴任してきたが……

 心配性のミコさんも、小姑よろしくチョロチョロと付いてきた。
 そして女と金の獲得をもくろんでいるような……

 そんな中、マルスへの輸送船が襲撃されるという事件が起こった。
 それは引き続き起こった軍事紛争の幕開けだった……

 『惑星エラムより愛をこめて』から『惑星エラム 幻のカタカムナ』までの百年紀のサイドストーリー……
 『百年紀のカレンダー』シリーズの第二集。

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百年紀のカレンダー3 アールヴヘイムンの海原
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 惑星アールヴヘイムン……
 執政官スジャータの、間接統治の下にある。

 テラ宇宙のソル星系より、エリダヌス座の方角に10光年、エリダヌス座イプシロン星系にある海洋惑星。

 数々のミニ大陸が散在し、十四の国家が存在する。
 もともと十六国家があったのだが、虫の侵攻で、2つの海洋国家は滅亡した。

 ネットワークが虫から解放したのだが、あろうことかヴィーナス暗殺を企て、スジャータの面目は丸つぶれ。
 その結果各王国軍は壊滅、王宮そして王都は、紅蓮の炎に包まれた。

 各王国は王族から美女を一人、女奴隷として差し出すことで占領は免れた。

 最後の審判戦争終了から十年ばかり、ネットワークも落ち着いてきた頃、アールヴヘイムンにヴィーナスさんが再びやってきた……
 相変わらずよからぬ事を考えているような……

 『惑星エラムより愛をこめて』から『惑星エラム 幻のカタカムナ』までの百年紀のサイドストーリー……
 『百年紀のカレンダー』シリーズの第三集。

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【姫神の女たち シリーズ】

 『最後の審判戦争』の後、百年の平和が訪れた。
 女たちはそれぞれ、いろいろな出来事に巻き込まれていく。

 百年紀のカレンダーシリーズの、そんな愛すべきヴィーナスさんに仕える、女たちのエピソードを綴った短編集シリーズ

⇒このシリーズは各ナンバーがサイドストーリーの続編となっています。

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姫神の女たち1 蓬莱梓巫女(ほうらいあずさみこ)
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 惑星蓬莱の執政官、クリームヒルトの毎日は多忙を極めていた。

 大寒波のあと、四つの大司教区に世界は再編されたが、意外に市民生活は変わらない。
 美子と茜は蓬莱を去ったが、ヴァランティーヌはそのまま残ることになった。

 ヴァランティーヌに手を焼きながらも、クリームヒルトは聖ブリジッタ女子学園山陽校で、今日も青春を謳歌する。

 百年紀のカレンダーのスピンオフ、『姫神の女たち』シリーズの第一短編集。
 蓬莱グランドツァーの続編にあたります。

●第一章 クリームヒルトの物語 蓬莱御巫(ほうらいみかんなぎ)誕生

 蓬莱の大天変地異も収まり、新しい蓬莱世界も落ち着いてきた。

 全世界的な学制改革が行われ、クリームヒルトの通う聖ブリジッタ女子学園山陽校も、八年制の高等女学校に改編され、クリームヒルトは高女課程の四回生となった。

 仲良し三人組は転校してしまったが、いろいろあってお友達があっという間に出来た……
 しかし、新しいお友達は、クリームヒルトに対して侍女のように……

 困ったクリームヒルトは、女神に仕える女官制度をつくり、お友達を推薦することにした。

●第二章 森彰子の物語 蓬莱転機

 『油揚げ専門店コン太』の店長、森彰子は忙しそうに働いている。
 たくさんの外人さんのお守をしながらである。

 とにかく困った女が多く、毎日がトラブルだらけ、いくら美子の頼みといえど、ため息の一つも、つきたくなるが……

 そんな日々の中で、よくある出来事が起こり、森彰子は、蓬莱の転機に立ち会うことになる。

●第三章 稲田真白の物語 開校騒動

 稲田真白はある時、宇賀真琴から呼び出しをうけた。
 蓬莱に帰ってみると、お仕事が待っていたが……それは女学校の開学準備のためだった。

 問題はとんでもなく準備期間がない、その上に教員も職員も、さらには生徒さえも決まっていない。
 そんな中、孤軍奮闘しているところに、いいカモが飛んできた。
 使わぬ手はないと、稲田真白は怒涛のお願いを連呼したら……

●第四章 浮田京子の物語 乙女心

 浮田京子は、吉川クリームヒルトにあこがれていた。
 恋心とよんでもいい感情、しかしクリームヒルトは親友のお友達。

 大人から見ると、大したこともないのだが、浮田京子にとっては重大な問題、それゆえ大事な親友の友達の為に忠告をすることに……

 シャイな娘は、せっかくのチャンスをものにできない、そして不幸がやってきて、初めてクリームヒルトに自分の気持ちと、お別れを口にした……

●第五章 佐田町子の物語 夏休み

 佐田町子、つまりマチちゃんは、心の奥に気がかりがある。
 誰にもいわないし、友達もふれることはない。
 夏がやってきて、その問題が解決された。
 そして古く新しい友達が戻ってきた。

 気がかりのない日々を、マチちゃんたちは今日も過ごしていく。
 ただしなにかと、周りを巻きこんでだが……

●第六章 ヴァランティーヌの物語 修学旅行

 吉川ヴァランティーヌは、聖ブリジッタ女子学園山陽校付属女子小学校の六年生。
 見てくれとは大違いのお転婆娘、毎日騒々しく日々を過ごしている。

 そして付属女子小学校の六年生にも修学旅行が……
 行く前から、異様にテンションがアップのヴァランティーヌ。
 行先は千年の古都京都、さてどうなる事やら……

●第七章 宇賀真琴の物語 年を越し新たに年を迎える

 惑星蓬莱も年末を迎え、宇賀真琴は忙しく働いている。

 クリームヒルトの、連発した思いつきの後始末に忙しい年ではあったが、不思議にその思いつきは、蓬莱をうまく導いていると実感する。

 それでも心配性の宇賀真琴としては落ち着かない。
 稲田真白の一言で、吹っ切れた宇賀真琴は、とにかく年越しを計画したが……
 その際中にも、色々な出来事でますます忙しい。
 それでもやっと年越しが……しかし茜がやってきた。

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姫神の女たち2 ユーノー・ソスピタ(維持する者)のニンフ
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 ソル星系外惑星鉄道ステーションの中心、ガリレオ衛星ステーションは特殊な地位にあり、執政官府がおかれている。

 執政官はガリレオ・カウンテスとよばれているが、その補佐にあたる管理官たちも、ガリレオ・ヴァイカウンテス――ガリレオ女子爵――とか、ガリレオ・バロネス――ガリレオ女男爵――とかいわれている。

 ここはソル星系世界の、宇宙貿易の中心でもあり、なにかと忙しい。
 そんな管理官たちの、日常を綴ってみよう。

 百年紀のカレンダーのスピンオフ、『姫神の女たち』シリーズの第二短編集。
 ガリレオ・カウンティスの続編です。

●第一章 アニーの物語 観光宇宙遊覧の出来事

 ガリレオ衛星執政官府のアニー・スチュアートは、ある日、観光宇宙遊覧船に乗っていた。

 孤児院育ちのアニーは、親代わりの女子修道院長の引き連れた、孤児たちにプレゼントされた木星宇宙観光遊覧に同行したのだ。
 観光宇宙遊覧を楽しんでいる一行……そこへ突然、見慣れぬ宇宙船が転移してきた……

●第二章 ニンリルの物語 憧れの学生生活

 ガリレオ衛星ステーション方面近傍宇宙未確認領域探査局は、専属の探査艇パイロット養成機関として、ガリレオ女子航空宇宙パイロットスクールを設立した。

 ガリレオ航空宇宙パイロットスクール卒業生を、確保出来ないからだ。
 とても小規模で、定員十名の女学校。
 開校したばかりの第一期生の中にニンリルさんが、どうやらミコさんの差し金らしいが……

 このガリレオ女子航空宇宙パイロットスクール設立には、各所の思惑が複雑に交差していた。
 でもニンリルさんは楽しそう。
 人並み?の学生生活は物珍しい、そしてちょっとばかりトラブルが……

●第三章 ダリヤの物語 貨物鉄道トライアングル線

 貨物鉄道トライアングル線、ガリレオ衛星ステーションの軍事参議官ダリヤは、この路線の貨物鉄道設営司令に任命された。

 目的はM33さんかく座銀河の監視ということ。
 事実ダリヤは、貨物鉄道完成後、安全を確保できるまで、貨物鉄道トライアングル線保線司令兼務の辞令も、併せて受領していた。
 しかしこの計画、どうもいろいろときな臭い……

●第四章 真野静香の物語 ドルイダス

 貨物鉄道トライアングル線周辺に、戦乱が迫ってきた。
 クレマチスに、いつまでもスカラ・ブレイのお守をさせるわけにはいかない。
 慢性的に人手不足なのはどこも一緒、ガリレオ衛星執政官アリシアは、『ドルイド交易』のために、何とか交代の管理官を派遣する必要に追い込まれ。

 しぶしぶ有能な真野静香の派遣を決めた……が、スカラ・ブレイでも、きな臭いにおいが漂っていた……

●第五章 ミエリッキ・オッコネンの物語 エウノミア研修

 ミエリッキ・オッコネンは経験を買われて、プラネテス・ミリタリーの職員指導を仰せつかった。

 新設される惑星ジャーリアの、カラミティ航空宇宙軍と、惑星レームノスのマニッシュ婦人戦闘軍の事務官を養成するためなのだが……

 対象が余りに多い、渋るミエリッキに特大のプレゼントが示された、寵妃昇格である。
 勿論ミエリッキは飛びつき、そしてプラネテスの保養施設、エウノミアへ下見に行くと、ニンリルが休暇でやってきていた。
 ミエリッキはニンリルを見て、あることをひらめいた……

●第六章 キュネブルガの物語 トライアングルの内乱

 ペクサエテの姫、キュネブルガは、惑星ノーサンブリアから脱出しようとしていた……

 行きがけの駄賃で、ノーサンブリア王国公爵令嬢エアンフレドと、パイロットのクウェンベルガも同行することになり、ぼろぼろの王室宇宙ヨットで星系宇宙へ。

 そこでペクサエテの敗残の艦隊に、拾ってもらって故郷へ帰還ともくろむが……

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姫神の女たち3 誘惑のジャーリア
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 惑星アールヴヘイムンにもハレムがある。
 しかし、ハレムとは名ばかり、正式なハレムではない。

 なぜならば、ヴィーナスさんに暗殺団を送り、許されたのに十年もたつと、ネットワークに対して内乱を起こしたいわくつきの惑星世界。
 その元凶がアプサラス・ハレムと呼ばれる地域。
 当然『百合の会議』の評判は最悪、ハレム昇格に賛成する者など、いないわけであるが…… 
 
 とばっちりを受けたのが、ラクシュミー・ハレムと呼ばれるもう一つの地域……
 この地域は『百合の会議』でもそれほど悪くは云われないが……このままいくと惑星アールヴヘイムンは分割管理となりそう……

 そんな揺れ動くアールヴヘイムン世界で、ヴィーナスさんにご奉仕する女たちは『ジャーリア』と呼ばれている……

●第一章 アニラの物語 戦う女

 婦人陸上戦闘団の准将アニラはパータリプトラでの決戦前夜、ヴィーナスに抱かれて寵妃になった。
 出陣の祝いにあるものを頂いた、そしてアニラは戦いに望む……敵の砲兵兵力は味方の空爆で壊滅、楽勝のはずだったが……最後の最後で山岳戦に引きずり込まれた。

●第二章 ラーニーの物語 スクール・ガール

 惑星アールヴヘイムンのヴァツサ王国の姫、ラーニーは、敗戦の王国から献上され、清女の位を持つジャーリアとなった。
 そしてアールヴヘイムン地域に一校だけ設立された、レディス・スクールに入学することに……
 ジャーリアであるラーニーは、本来入学する必要はないのだが、今回の献上品は全員、ジャーリアとしての心構えを叩き込むということで、該当学年に入学または編入となったようである。
 ここはジャーリア養成のための女学校、授業は厳しい……でも、それなりにお友達も……

●第三章 ネマの物語 『栄光のほうこくまる』

 マガダ王国後宮からの亡命女官をのせ、なんとかチャルーサダ軍港にたどりついた“ほうこくまる”、やっと一息ついた船長のネマに次の命令が……再亡命を希望した24名を送り届けよ……しかし情勢は再亡命先も執政官府といまにも戦争になりそうな……

●第四章 チャンドラの物語 魔女っ娘広場の奇跡

 チャンドラは病に冒され、美しかった容姿も崩れ落ちていた。妹のタラの懇願で、ウルヴァシー王女に救われた経歴をもつ。
 以来、ウルヴァシーに妹とともに侍女として付きしたがっている。
 そのため、フロッグのカウラパパにある執政官の迎賓館の管理人として、館のお守りをする毎日……
 ある時、妹のタラから突然の来客を聞くことになる……

●第五章 カーンティの物語 いらない娘の帰省

 マーヒシマティー王国ラージマータの女奴隷カーンティは、手紙を預かり、決死の覚悟でフント港を泳いでいた。
 目指すは執政官府の船、『ほうこくまる』。
 運よくテンダーボートに助けられ、『ほうこくまる』に乗っているカマラ王女様に手渡し、いろいろありましたが、目出度くヴィーナスさんの女婢に……
 そして執政官府との戦争が終結、カーンティはカマラ王女の返書を持ち、ラージマータのもとへ……

●第六章 シュルティの物語 ラージャ・ラクシュミー・ラレ

 シュルティ・ラージャ・ラクシュミー・ラレ。
 パータリプトラ決戦後の山岳戦闘で勇名をはせた、陸上婦人戦闘団独立歩兵第一大隊長である。

 独立歩兵第一大隊はしばしの保養の後、再び戦闘にかりだされた。

 そのころマッラ王国王都のクシーナガラを攻略した陸上婦人戦闘団は、アヴァンティ王国の王都ウッジャイン攻めていた。
 しかしウッジャインなかなか落ちない、港湾側から攻撃した揚陸戦部隊もかなり苦戦しているようだ……

 ここでシュルティは……

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