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第八章 帝国嫁取り旅行
帝国領への出張旅行
「ヒロ殿、帝国から皇女をやるといわれたのか?」
「チャールズ会頭からお聞きになったのですか?」
「うむ」
「正直困っております、三人の妻に三人の愛人、十分と思っているのですが……」
ここは宮殿の会見室、私はクレアさんと二人、国王陛下に呼ばれたのです。
「で、どうするか?帝国の第二皇女は美女ではあると聞くぞ」
「娶れと宣託があったのですが……」
「なら娶れば良いではないか?クレアに遠慮することはない」
「神がおっしゃったのだ、その皇帝がくれと云っているもの、調達出来るのであろう?」
「同じ大きさの黄水晶がありますので、その点は問題無いかと……」
「宰相がの、良い案をひねり出した、まあ聞け」
「ヴァルベック辺境伯(マーグレーブ)領の東側は帝国の領地、小さい盆地がある、ここも還らずの荒野同様、人の住まない土地で、一応帝国の直轄領、ナーエと呼ばれており、男爵領らしい」
「ここをヴァルベック辺境伯が秘中の宝物を献上、皇帝にナーエ男爵領の下賜を願い出る」
「あそこは帝国でも持て余すというか、どうでもいい場所と聞く、隣のヴァルベック辺境伯が購入しても、取り立てて波風は立ちはせん」
「ただ辺境伯としては、帝国領が自領にくっついているのは目障りというのは自明の理、購入を願い出ても誰も不思議とは思いはせん」
「勿論、献上した宝物とでは、ナーエ男爵領だけではさすがに無理、皇帝としても皇女を一人、降嫁させても良いだろう?」
「ヒロ殿がこの話をするために、帝都オルデンブルグに向かえばいい、案内はカニンガム商会がするだろう」
「そしてここからが本題なのだが、ヒロ殿の住居のドアを余の私室の控え室に設定していただく、同じことを帝国宮殿の皇帝が指定する部屋、防諜を考慮すると、皇帝私室の控え室となろうが、設定する」
「確か関係者でなくともドアを通れると聞くのだが?」
「確かに通れますが……」
「悪用しない、それは確約する、ヒロ殿のハレム内になるのだからな、ただ一室を貸してくれればいい、どうかな?」
「わかりました、ただ皇帝には陛下から、この話を説明する書簡を書いて頂けませんか?」
「わかった、私が直接書こう、ヒロ殿が皇帝に直接渡してくれ」
陛下の私室控え室にドアを開き、家に場所を記録しました。
それにしても、クレアさん、一言も発しません、新しい奥さんの話、いいのですか?
退室して、館に帰ると、初めて口を開いたクレアさん。
「ヒロ様、お父様がおっしゃったとおり、私は構いませんよ、そんなに私は嫉妬深い女ではありませんから」
「それより、帝国へ行かれるのですから、私どももご一緒出来ませんか?」
「そうですね、チャールズ・マガタ会頭にお願いして、広い馬車を借りましょう♪」
翌日、皆で旅行のお買い物を済ませ、翌々日には王都リンデンハイムを後にしました。
同行するのはジョージ会頭と、カニンガム商会が雇ってくれた傭兵さんたち。
案外に王都リンデンハイムと帝都オルデンブルグは近くて、直線距離で600キロほど。
ただ国境には山脈があり、峠には両国の国境警備部隊がにらみ合っています。
その為か、帝都オルデンブルグまでは通常は7日、『特別便』と呼ばれる快速馬車なら5日ほどかかるようですよ。
マガタ商会が貸してくれた馬車は、10人は優に乗れる馬車でした。
4日目に国境へ、案外にすんなり通れました。
王国側は陛下がくれた命令書、そして帝国側はジョージ会頭の顔パスです。
リンデンハイムを出てから6日目、山並みが見えましたが、その近くに知られていない銅の鉱脈を見つけました。
スウェーデンのファールン銅山並みの大銅山のようですが、需要がそんなにあるのでしょうかね……
今日はこの帝国領の国境の街の一件だけの宿にお泊まりです。
あまり美味しくない夕食を食べながら、
「そう言えば第二皇女殿下はどのような方なのですか?」
クレアさんが、ジョージ会頭に聞いています。
「そうですな、エバ皇女殿下は帝国一の美女で聡明な方です、お体がお弱いのもありますが、物静かな方で、あまりご自分の意見は言わない方です」
「お歳は?」
「18歳とお聞きしております、おかわいそうに16歳で初めてのご結婚、その新婚初夜に新郎が階段から転げ落ち亡くなられたのです」
「二度目のご結婚は半年前、これも結婚式に新郎の愛人がナイフを隠し持って、ブスっと刺したのです」
「では、まだ夜は……」
「多分……」
「目の前でご主人が刺されましたので、そのショックで手が動かなくおなりに……先月からは口には出せないご病気になられ……お労しいことです」
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*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**