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第十章 帝国の花嫁たち
皇帝陛下の申し入れ
「ところでヒロ殿よ、先ほどの話の最後で、汝の処遇について話し合ったのだが、帝国としては、なるべく王国と同じとしたい、国王も承知していただいた」
皇帝陛下、何が云いたいのだろう?
「『ナーエ子爵領』への道の途中に、小さな台地がある。昔は『ナーエ』領の一部だった騎士爵領だが人も住んでおらん、いまは帝国の直轄領となっておる、それを汝には購入してもらおう、つまり昔の『ナーエ』領を復活させる」
「そして無理矢理だがヒロ殿をナーエ伯爵にする、ヒロ殿は王国ではヴァルベック辺境伯だが、帝国ではナーエ伯爵となる」
「ヒロ殿の王国出身の妻は三人、そして愛人のメイドも三人、帝国はエバだけだ」
「帝国にも曰く因縁の貴族の娘がおる、余が口を利くので汝が買い取ってくれ、併せてだな、後宮の女奴隷を下げ渡しそう」
なにそれ、嫌々嫁がれても困るのですが……
エバさんが、
「エルザは私の親友です……お願いします、このままでは奴隷落ちなのです!」
「奴隷落ち?」
「さっき初めて知ったのです!エルザが騙されて、膨大な借金を背負ったのです、返せなくては借金の為に売却となります」
皇帝陛下が、
「もう少し詳しく説明すると、要はエルザは騙されたようだ、夫の侯爵は不名誉な妻としてエルザを離縁した、実家も同様で、不名誉な娘のために援助などできぬという」
「だましたほうは首をくくっておる、エルザをだまして金を巻き上げていたが、この馬鹿は違法な薬物を買うために、色仕掛けでエルザをだましていたようだ」
「馬鹿男は、エルザの夫か実家が処分したと思う」
借金を返せと司直に訴えられたようです。
「エルザは個人で金の工面をしていたようだ、二人で駆け落ちするつもりだったと聞く」
「馬鹿男も駆け落ちする準備をしていたが、相手はエルザではないようだ、その女は馬鹿が死んだと知って、こちらは本当に首をくくった」
「で、もう一人の方は?」
「男爵家の長女でフリーダという、弟の治療代がなくて借財がかさんでいる、支払ってくれる相手なら、だれであろうと輿入れする覚悟らしい、14歳で正真正銘の処女だ」
エバさんが、
「フリーダの母は長く私の侍女をしてくれていました……」
「分かりましたが、財源が……」
「カニンガムがコショウの話をしていた、独占販売をしたいようだ、帝国としてもコショウを相場で売買するなら独占販売を認めようと思う、ヒロ殿がグラム4ランドで卸すというなら、カニンガムが喜んで出すのではないか?」
「王国としても、マガタに同じ4ランドで卸してくれるなら、助かるのだが」
「もしそうなれば、王国としてはヴァルベック辺境伯の帝国爵位、ナーエ伯爵を併用することを認めざる得ない」
「ヒロ殿は平民のおり、世界を放浪中、コショウの入手について、相手方の商人の都合で、極秘となったルートを確立しているらしい、と、聞かれたら答えるとしよう」
「国王陛下!いささか、ずるいかと……」
「帝国もだろうが、コショウを4ランドで仕入れ、相場の5ランドで売れば、国民の為にもなるのだ、君主としては何といわれても構わぬよ♪」
よく聞くとコショウって、慢性的に品不足、相場の5ランドではまず手に入らないそうで、闇価格はその三倍以上……
「分かりました、クレアさんに確認しますが、奥さん二人、愛人メイド三人、増えることに対して了承してくれるのですね」
「致し方ない事ですが、ヴァルベック辺境伯の正妻として、皆で『面接』させていただきます」
「ヒロ様のハレムの一員として、仲良く馴染んでいただけない方は、お断りさせていただきます」
「このことは陛下方にご了承いただいております、もちろんエバさんも承知なされています」
ヒロさんはコショウを4ランドでカニンガム商会とマガタ商会に卸すことになりました。
一応、ヴァルベック辺境伯とナーエ伯を兼務するヒロさんが、厄介な相手と交渉し、仕入れた商品をカニンガム商会とマガタ商会がそれぞれ帝国と王国で独占販売することで、話はまとまりました。
帝国との話で、ナーエ伯爵領の全ての税金はこのコショウで支払われることとなり、平方キロあたりコショウ10グラム……
ナーエ伯爵領は元の男爵領は30平方キロ、元騎士爵領が6平方キロ、面白いことに、どちらもヴァルベック辺境伯領によく似ており、周囲は山に囲まれた盆地のようになっているのです。
併せて36平方キロ、地代としてのコショウ360グラム……馬鹿みたいにお安いのですが……
ほぼ無価値の再編したナーエ伯爵領、帝国としては特例としてコショウを廉価に下ろすことを条件に認める、そう発表したようです。
これから考えると、帝国の地代は、王国に比べてかなり高いようですが、色々な税金が両国では違いがあり、一概に高いとは言えないと聞きました。
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