36 / 50
第五章 フィオナの物語 神の花嫁
皆様に迎え入れられて
しおりを挟む「東京へ着いたわよ」
茜の声に我に返ったフィオナ、あまりの刺激に興奮しているのです。
「勉強、どうだった?」
「はい……良かったです……」
「あのようなことが神の花嫁の奉仕なのよ、出来る?」
うなずくフィオナ。
「キムさんはどう?」
「やって……みます……」
もじもじしながら、キム・バルヒェットが答えていました。
二人は茜と一緒に東京ハウスへと、たどり着いてすぐに、美子さんが会ってくれます。
二人は言葉もありません、美しい……茜さんよりもさらに威厳があり、そしてすがりつきたくなるような優しい雰囲気、威厳と慈愛が美の上に両立している……女神さま……
「二人とも、とりあえずは夜の仕事はいいわ、これを差し上げましょう、まぁマリッジリングと思ってね」
二人は恭しく指輪を受け取ると、素直に指につけました。
その後、東京ハウスのパーティーに招待された二人、大都市東京を流れる、墨田川に浮かぶ川舟、メンバーの中にはロシアの大公女やイギリスのプリンセス、日本の公爵令嬢などが、庶民の中に混じっています。
生まれて初めて、アメリカ以外の土地でのパーティーへの出席、二人のために、特別のアップルサイダーも用意されていました。
周りの雰囲気に飲み込まれるように、二人は歌を歌います。
TURKEY IN THE STRAW……
ミコさんにリードされながら、一緒に歌った二人、フィオナは歌などというものは、賛美歌しか知らなかったのです。
ミコさんのリードで何とか歌い始めると、多くの皆さんが、歌に合わせて踊ってくれました……
それがなぜか嬉しくて、自分が迎え入れられた感じがしたのです。
マリッジリングといわれた指輪をつけると、いろいろな情報が頭の中に入ってきます。
この指輪が采女の指輪と呼ばれ、フィオナはその采女といわれる階級にあること、自分の身体が活性化して美しくなっていること、アイスランド語が難なく話せること、そして神の加護が、フィオナを守ってることなど……
二人はしばらく、東京ハウスに住まうことになりました。
ミコさんがしばらく東京に滞在すると聞き、お願いした結果です。
東京ハウスでの、大宴会の翌日の日曜日、二人にとってはこれまた驚きの連続、朝食ですが和食は……特にフィオナは卵かけご飯にはカルチャーショックを受けました。
「ねぇ、キムさん、生卵って大丈夫なのかしら、私、どうにも食べられそうにないわ……」
「私はそれより、この豆の腐ったものはどうにも……NAATOOていうものなのだけど……」
二人が固まっていると鈴木聡子さんが、
「大丈夫、二人には別メニューよ、アーミッシュの朝食ってどんなのか分からないけど、アメリカのモーニングを用意したわ、焼き方などの好みは今日は我慢してね」
で、ライ麦パンのトースト、ソーセージとベーコン、目玉焼きはエッグスオーバーミディアム――卵をフライパンで裏表を焼きし、黄身は半熟とする――とサラダ、そしてオレンジジュース……
食事は景山京子さんという方が、作っているそうですが、とてもおいしいものでした。
「おいしそうね♪私も食べたいわ♪」
「ミコさま!どれだけ食べているのですか?たしか三杯食べていませんか?」
「いいじゃないの!私目玉焼き好きなのよ!」
「もう、お腹壊しますよ」
この後、目玉焼きをゲットして、さらにご飯を二杯食べていました。
まずは半熟部分をご飯にのせ、醤油をかけて食べ、白身だけでさらに一杯、卵一個でご飯は二杯食べなくてはいけない、これがモットーのようです。
「まったく恥ずかしい……」
茜さんに、相当にいじられていましたが、朝食の場はミコさんの振る舞いで、明るく楽しい場になったのです。
ワイワイとした雰囲気に引きずり込まれ、フィオナもキムも出されたものを完食、トースト一枚、余分に食べてしまいました。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる