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第六章 キャロラインの物語 ホットドッグはお好き?

ホットドッグしか作れない!

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 遠足当日、キャロラインたちはベーグルサンドを計画、なんとベーグルを、自ら焼き上げるという壮大な計画でしたが、料理の下準備で大失敗。
 仕方ないのでパンケーキを考えたのですが、先生のアドバイスで試作してみると、これが難しい……

 結局、パンを自ら作ることは断念、サンドイッチにしようとするのですが、これまた無茶なチキンサンドなどを考えたものですから、チキンを真っ黒にしてしまい、結局断念。

 挙句の果てに、ゆで卵もまともに出来ないことが判明、どうもサンドイッチも危ういようです。
 見ていると、キュウリもトマトも、まともに切れていません。

 先生、頭を抱えていましたが、なにか思い当たったようで、
「ホットドッグにしましょう!」といったのです。

「ホットドッグ?」
「ロールパンは市販のもので我慢してね、大人になればパンが焼けるようになるでしょう……きっとね……」

「中に挟むのは、フランクフルトとレタス、レタスは手でちぎるほうがおいしいのよ、フランクフルトは、これは私たちでは作れないから、市販のものにするしかないわね」

「茹でて切れ目を入れて、オーブントースターで焼くのよ、マスタードはお好みでね、具を冷まして挟めばOKよ」

 先生は、時間がないので、買出しに行ってくれました。

「ねぇ、私たちお料理は下手なのね……」
「そうね、先生、私たちがあまりに下手なので、ホットドッグを選んでくれたようね……」
「私たち、ホットドッグしか作れない女なのね……へこむわ……」

 本当は、フランクフルトはフライパンで焼くほうがおいしいのでしょうが、それさえ危険と、判断されたのでしょう。
 
「でも、いくら私たちでも、ホットドッグは作れるわ♪先生のお墨付きだもの♪」
「そうね♪この後は明日の準備をしなくてはね♪明日がんばって、ホットドッグを作りましょうね♪」
 立ち直りが早いのが、この年頃なのでしょうね。

 翌日、朝からランチを作り始めます。
 皆それぞれ苦戦しているようですが、中にはジャンバラヤなど、凝ったものを作っているペアも、まぁサンドイッチ組がおおいですね、でも……

 キャロラインたちのホットドッグは……
「ギャー、ジリアン!!!爆発したわ!!!」
 フランクフルトに、切れ目を入れずに焼いたようです。

 二回目は真っ黒に……
 三回目にちょっとばかり焦げたような、それでも何とか、食べられそうなソーセージに仕上がりました。

「出来た!」

「そんなことより、早くパンに挟まなくっちゃ、皆出来て私たちが最後よ!」
 二人は急いでパンに切れ目をいれ、スプレッドを塗り、ケチャップなどをかけてましたね。

 グランドには生徒が集合、皆大きなリュックを背負っています。
 そりゃあね、一人で二食分のランチと、結構なお菓子が詰まっていますからね。

 全員で、ニューイーグルを網の目のように走る路面電車に乗り、コニーアイランド地区へ。
 小学校といえど、ベティ女子スクール付属小学校ですから、とにかく注目を浴びます。

 さすがに女の子の集団、まして行き先がルナパーク、それなりに騒がしく、先生は大変そうですね。
 開園は十時、とりあえずゲート前で、ゲストと合流することになっています。

 今日は快晴、したがってランチは園内の好きな場所で取ることになっており、四時に出口前に集合。
 ゲストとここで別れて、学校へ帰ることになっています。
 帰りはバスが迎えに来る手はずです。

 事前に配布されている、パンフレットと行動予定表、そして乗り物チケット、ルナパークにはフリーチケットもありますが、生徒たちの自主性と計画性を育てる教育的配慮により、少ない目のチケットが、学校より支給されているのです。

 これはゲストも一緒に乗るために、大人用も生徒たちに支給されています、つまり本日は、生徒たちは小さいホステスさんというわけです。

 ゲートの前では、ゲストが待っていてくれます。
 パパも来ているようです、一応、父兄に限っては黙認ということになっています。
 やはり幼い子供さんたちなのでね。

「キャロライン!」
 セシリー・ノウルズが、目ざとくキャロラインを見つけたようです。
「おばあさま!」
 おばあさまと呼ばれたセシリーですが、どう見ても三十手前のように見えます。

 そのあたりのゲストとは、別物のような美しさ、周りの人は当然と思っているようです。
 なんといっても、チョーカーが輝いているのです。
 
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