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第十五章 教団領へ
04 奇遇
しおりを挟む「アナスタシアさん、お願いがあります。」
「ダフネさんと二人で中央神殿に潜入して、アンリエッタさんに接触してはくれませんか?」
「この手形を見せて、ヴィーナスの使いといえば、あの聡明なアンリエッタさん、すぐに思い出すでしょう。」
「あとの用件はダフネさんに任せますが、異空間倉庫の作成方法は知っていますか?」
「巫女様の許可があれば作成できます。」
「巫女様が、ご自分で強くそのことを念じると、作成できるようになる。小雪さんのレクチャーにありました。」
とダフネさんが答えます。
私がそのことを強く念じると、頭の中に許可と響いた気がしました。
「許可されたみたいです、よろしくお願いします。」
でも、どうしてこのようなことができるのでしょう?
魔法とは制限の多い、不思議なものですね。
このあと、ダフネさんはアポロさんと打ち合わせのために、リリータウン経由でイシュタルの部屋に出張です。
アナスタシアさんがうるうるしています。
なんで……
「イシュタル様、ありがとうございます。」
「アンリエッタは私が姉とも慕っていた人、死んだと聞いた時は本当に悲しかったのです。」
「今、私はイシュタル様の愛人、姉上様には妻と認められた身、この身体もこうして健康になり、一度アンリエッタに見せたかったと、考えたりしていました。」
「先ほどのお話では、アンリエッタもイシュタル様に助けていただいたとのこと、不思議な縁を感じます。」
「私はイシュタル様に、身も心も捧げたことを誇りに思います。」
夕食時、ニコルさんが何やら帳簿を睨んでいました。
いい機会だし、近頃、儲かったから、三日ほど皆に休暇を支給、公演はお休みにするそうです。
臨時にお小遣いを支給?いいことです、ニコルさん、管理職にむいていますね。
ふと見るとサリーさんとアナスタシアさんが話をしています。
どうやらアンリエッタさんのことについて、アナスタシアさんがお礼をいっているみたいです。
サリーさんが、
「お嬢様、今夜は私とアナスタシアさんをご指名とのこと、好きですね。」
アナスタシアさん、いいのですか?
アナスタシアさんは、優しい笑みを浮かべています。
そして、
「夜まで間がありますので、ビクトリアと仲良くお風呂でも入っていらしてください。ビクトリアも久しいでしょう。」
ビクトリアさんは嬉しそうに、
「そう云ってもらえると嬉しいな、そうだ、小雪、一緒にどうだ?」
「私がチャンスを逃がす訳がないでしょう。」
アテネさん、お助けを……
アテネさんが、「昨日、満足したので……皆も満足して欲しいし……」
サリーさんが、「長いお風呂を楽しんでね。」
「お嬢様、明日はダフネが待っていますよ。」
図りましたね、これは誰の策略ですか?
ニコルさんですね!
「ニコルさん、なにが私に任せてですか!」
「皆に公平に取り扱うのが私の約束です。皆さんの精神衛生のために必要なのです。」
「団員の福利厚生は団長の責務です。」
団員の福利厚生?これがですか!
私はビクトリアさんと小雪さんに、両腕を抱えられて、お風呂にひきずられていきます。
その私の背中に、アリスさんが手を振っています。
そして、「明日はダフネさんと私もですよ」と黄色い声援をくれました。
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