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第十八章 休養

03 自立する道

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 誰かがドアをノックします、鍵はかけていませんよ。
「お姉さま、起きていますか?」
 アリスさんが入ってきました。

「皆の所へ来てください。」
 ご飯ですか?

 私は昨日のジジさんとの会話で、結構疲れているのですが。
 少し熱がありますね。
 私はノロノロと起きました。
 そして少々寝ぼけていますが、皆さんの所へ行きます。

 サリーさんが、
「お嬢様、顔色が優れませんが大丈夫ですか?」
「大丈夫です、何でしょう。」

「実は昨日、オルガさんに招待されて奥へ行きますと、女官の皆さんが待っていました。」
「お嬢様の愛人としては、侍女が要るとのことで、私たちにも係の方がつくことになりました。」

「でも、女官さんたちは私と……そんな方が係についてもいいのですか?」

 サリーさんが、
「そのことについては、皆と女官さんたちとで話しあったのです。」
「私たちと女官さんたちと互いにさらけ出して、分かり合った思いです。」

「皆、それなりの事情があります、頭では分かっていましたが、自分たちの言葉で話し合ったのは有意義でした。」

「私たちと違い、女官さんたちはお嬢様への奉仕については定年があり、自分たちが自立できる力が、将来必要になると考えておられました。」

「それで私たちの持っている技術を、女官さんに教えて差し上げようと考えましたが、私たちの技術といえば武術ばかり、かろうじて二三の踊りとアナスタシアが女性としての技術を持っているだけ、女としての自立する技術がないのを思い知りました。」

 なるほど、そうでしたか。
 自立する道ですか、人としては当然ですね。

 私は縁あって夜をともにした方を、ポイと棄てるなんてことは絶対にしませんが……
 しかし私と女官さんたちとは、時を共にはできません。
 とすれば、女官さんたちの希望のほうが正論です。

「その件については分かりました。」
「学校を開きましょう、皆さんも知っているリリータウンで行ったような学校を、そして知識なり技術なりを習得していただきましょう。」
「私が黒の巫女の地位に就いたおりには、必ず実行すると誓います。」
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