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第二十一章 カルシュでの出来事
02 学問の府女子部の臨時講師
しおりを挟む「分かりました、分かりました、降参です、ジジさまの命令です。」
「やっと口を割りましたね」
「次席賢者がなんと云ったのです。」
「もし、こんどヴィーナス様になにかあれば、この世界が滅ぶかもしれない、なんとしてもそれは避けたいと。」
多分そのあたりと思いました。
「その気持ちは分かりますが、困りましたね、騎士団の方々は目立ち過ぎます。」
「もう少し目立たないようにできませんか?」
「私たちとしては、これでも一生懸命に考えたのですが?」
一時撤退しましょう、撤退して会議ですね。
「一度ジャバ王国の公館に戻りましょう、後で騎士団の方々と、教団領の公館長も連れて来てください。」
「これは一度話し合いが必要です、教団領の公館長はこの話を知っているのでしょう?」
私たちは会議をしています。
私の警護方針を決めるためです。
主要メンバーは神聖守護騎士団とイシュタル突撃隊の方々、そして二人の公館長です。
「カルシュの首脳部に、私が居ることを知られてはなりません、これだけは守っていただきます。」
ジャバ王国公館長が、
「とりあえずは部屋を借りました、ここはあまり目立たない場所で女子寮です。」
「イシュタル様は十五六に見えますので、ジャバ王国からここの学問の府へ、留学準備するためにやってきたと言ってあります。」
教団領公館長が、
「しかし警備をするものは騎士たち、まさか女子寮に寝泊まりさす訳には行かない。」
「どうだろう、いっそのこと学問の府に、短期留学する女学生になっていただくというのは?」
「簡単に学問の府に留学できるのか?」
「巫女様に試験を受けていただければ、問題はないと考えるが、むしろ問題は、試験の点数が良すぎた場合だ。」
「私の聞いている情報では、巫女様は大変な叡智の持ち主と伺っています。」
ジャバ王国公館長が、
「なら、イシュタル様には臨時の講師になっていただくのはどうでしょう。」
「幸い学長とは古い知り合いで、私に女子部の数学という学問の、講師を紹介してくれと云っていました。」
「侯爵家あたりのご息女という触れ込みなら、侍女が二人いてもおかしくはないと考えます。」
「私もアポロ執政より、イシュタル様は類まれなる知識をお持ちと伺っています、この案はいかがでしょう。」
皆さん、頷きます。
ロキさんが、
「講師ならば、ほとんど学問の府の中に居ることになる、警備上好都合と思う。」
「我らは学問の府の出入りを、密かに固めればよいのだから。」
ジャバ王国公館長が私を見ますので、私はかまいません、と答えました。
「ではイシュタル様には、女子部の臨時講師になって頂いて、カルシュのご検分といたしましょう。」
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