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第五十一章 征服戦争

北大西洋海戦 其の二

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 お役御免になったミサイル艇隊はここで帰還します。
 護衛のUS―3を分離して、12機のUS―3はさらに戦闘を続けます。

 壊滅させるのが命令ですからね。
 アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦を爆沈させました。
 この船に乗っていた者に、生存者はいませんでした。
 サーモバリック爆弾ATBIP改を撃ち尽くした頃に、先に帰った6機がATBIP改を積んで戻って来ます。

 これを繰り返しながら次から次へ、沿海域戦闘艦、改オハイオ級誘導ミサイル潜水艦、バージニア級原子力潜水艦……
 アメリカ級強襲揚陸艦一隻だけ残して、全て撃沈することになりました。

「強襲揚陸艦アメリカ艦長に勧告する、これ以上の戦闘は無益である」
「貴艦は現在戦闘海面を泳いでいる、アメリカ兵を救助することを勧める」
「当方はそれに対して、戦闘行動を取らないと確約する」

 こうして強襲揚陸艦は、溢れるほどの水兵を収容して、アメリカ東部へ退却して行きました。
 綺麗な婦人兵さん、おいて行ってくれないかな……

 生き残った水兵は約三割、米国海軍の再建は、当分無理でしょうね。

 米国海軍壊滅の報告を、私は臨時司令部にて受けました。
 これでバハマからフロリダ間のメキシコ湾は、ナーキッドの領海状態、米国海軍が壊滅した以上、南米各国海軍の護衛が付けば、ケープタウンへの航路は安全となりました。

 後ろからの脅威はなくなりました。
 そろそろ私もマイアミを離れ、ジョージアあたりに侵攻しましょうか。

 アメリカ陸軍、いまは『ラストバタリオン』などと称している、人種差別者どもの軍と決戦を強要しましょう。
 きっと彼らは、デヴォン島包囲をといて、こちらへ南下を始めているはずです。

 こちらは歩兵ばかりですが、バトルスーツが威力を発揮するでしょう。
 おまけにヴァンパイァ軍団は空中機動ができます、M1エイブラムスなんざ、役に立たないことを教えて差し上げましょう。

「長谷川司令官、敵を少々減らしておいてくれませんか?」
「陸戦ロボット部隊を投入するしかありませんが、かまいませんか?」
「一個中隊ほど出しなさい、陸戦ロボット部隊の指揮権を一時預けます」

 そう、ゼノビア配下の部隊は、ナーキッドの命令系統ではありません、私に直属しているのです。
 あくまでもナーキッドはテラとマルス、およびヴィーンゴールヴが範囲ですから。

「いまより敵を攻撃する、私はミコ様、いや吉川陸軍元帥より、陸戦ロボット部隊の指揮権を預かった」
「我らは少数ではあるが、これより、陸戦ロボット部隊を先鋒として反撃にでる」

「吉川元帥は敵米国陸軍と、少数兵力で決戦をなされる、少しでも敵兵力を減らしておく必要がある」
「我らは名誉ある大日本帝國近衛師団が前身である、そしていま、テラのナーキッド領地を守る数少ない部隊である」

「諸君、いつまでも元帥に守ってもらっては、我らの名が泣くぞ!」

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