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第六十章 黒の巫女ってなんでしょう
02 ただ一人の肉親
しおりを挟む「姉上様の変質の結果が、どのようになるかは計算不能です。」
「しかしマスターに御進言いたしますが、今の姉上様は間違いなく姉上様です。」
「あの時の姉上様の、執念ともよべる感情は、宇宙を隔て、別の宇宙に存在する私にも、明瞭に脳波が探知できましたこれは人ではありえない現象なのです。」
「この脳波はアスラ族の脳波パターンでした。」
「マスターほどではありませんが、いま私の探知できる、アスラ族の脳波パターンとしては、二つしかなく、このことでも姉上様とマスターは、遺伝子情報を同じくしているといえます。」
「まごうことなく、マスターのただ一人の肉親に、間違いありません。」
私は知らず涙がでました。
「このことを、姉は知っているのですか?」
「これまでもこれからも、この情報は極秘です。」
「姉の身体は、私と同じなのですか?」
「現在は地球人類と同じですが、今後は姉上様ご自身と、マスターの相談としてください。」
「地球もこのままいくと、滅亡の危機にあります。」
「私としては、このエラムほどではありませんが、アスラ族の末裔が存在した星を守るために、マスターと共に不可侵性を、持っていただきたい。」
つまり二つの星を、二人して守れということですか?
「お考えの通りです、ただ地球はエラムほど、危機的ではありませんので、お一人で十分かもしれません。」
額面通りだと、私は逃げられないと、いわれているようなものですね。
「ヴァルナ評議会が、なぜ存在を失ったのかは、私にはわかりません。」
「しかし私は脳波パターンで、認識するように設定されています。」
「このことに、意味があるとおもわれますが、それに対しては、マスターが後日お考えください。」
「そうですね、落ち着いたら考えましょう。私には時間は幾らでもあるようですし……」
無限の時間を過ごして、アスラ族は衰退し、ヴァルナ評議会は存在を失った。
私には、この無数にあるだろう宇宙の外の世界、そこへ活路を求めたように思えました。
三千世界の外側……
何かを求めて……
それだけの知識と技術が、あったはずです。
まぁ、このことはマレーネさんがいうように、ゆっくり考えましょう。
「姉について、もう一つ確認したいことがあります、姉の膨大な知識は、貴方が持ち込んだものですか?」
「姉上様を復元した時、姉上様には、マスターと同じように、その当時の地球のすべての知識を、入れるつもりでした。」
「しかし、マスターほどのキャパシティはありませんでしたので、科学技術など学術方面の知識に限定して、入れさせていただきました。」
「姉上様はマスターを除けば、地球人類では最高の頭脳に間違いありません。」
「それが、お二人が生きていくうえで、必要な能力と判断したのです。」
マレーネさんの説明は終わりました。
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