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第二章 ビアンカの物語 純愛
06 真面目にずるく、そして一途に
しおりを挟むテオドラは突然、ビアンカを抱きしめて……
「ビアンカ、女は皆そうなのよ、家庭婦人課程ってのは、そういう事を学ぶところよ!」
「ビアンカは最低じゃないわよ、でないとここの女は、最低を学んでいるのよ……」
「……」
「別に悪いことではないわ、女ですもの、手練手管で殿方を誘惑するのが、悪いわけはないわ、女の特権でしょう!」
「ビアンカが反省しなければならないのは、一つだけ!もっとずるくなることよ!」
「ずるく?」
「そう、相手を傷つけることなく、ずるく立ちまわることなのよ!」
「私たちは『死の女王』みたいにはなれないわ、あんなに心が強くないのよ。」
「誰に何をいわれ、どんな結果にも平然とは出来ないの!」
「でも上手には生きられるのよ!ビアンカは真面目過ぎるのよ!」
「真面目?」
「真面目よ、人の話を真摯に聞くことが、真面目な証拠、真面目をずるく使ったらどうなの?」
真面目をずるくね……
「ひょっとしてビアンカ、好きな人がいるの?そんなに悩むなんて、恋する女のすることよ。」
好きな人……
ヴィーナスの顔が浮かび上がった。
そして突然、ビアンカなりに悟った……
私はヴィーナス様がすべて……真面目に愛するの……そして少し利用するの……
一年がたち、キリーに戻ってきたビアンカは再び変わっていた。
確かに出処進退は上手くなった。
今度は本当に、誰からも好かれるようになった。
真摯に相手の話を聞き、それとなく誤解を受けないように、釘を早い目にさしている。
見事に男を近づけない。
女の魅力はパワーアップしているが、難攻不落の女になっている。
これはこれで、ミハエルは頭が痛い……
しかも完全に百合になっているように見受けられる。
しかたない、どこかの女の側室にでも……
そんな事を考えていたミハエルにビアンカは、
「お祖父様、ビアンカはどこにも嫁には行きません!まして女の側室などにもなりません!」
「私は決めました、この身はヴィーナス様に捧げます、心も捧げます。」
といい切ります。
そしてビアンカは七年後に、寵妃候補になり、その年に寵妃となった。
長い長いビアンカの純愛は、ついに実を結んだのである。
テオドラとは永く付き合っている。
テオドラの嫁ぎ先の宿屋には、よくヴィーナスが泊まる。
それはビアンカの口添えも多分にある。
FIN
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