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第五章 ジャクリーヌの物語 懺悔
08 美味しいお食事
しおりを挟む女たちは細い腕で荒地を耕した。
当面の食事などは、ジャクリーヌとペネロペが集めた浄財でまかなった。
「しばらくは粗末な食事となりますが、我慢してくださいね。」
二人の元プリンセスも同じ食事を、同じテーブルで取っています。
「ジャクリーヌ様、ペネロペ様、どうぞ、もう少し良い食事を取ってくださいませんか。」
「私たちはこれでも十分ですが、お二人はプリンセスだった方、こちらが辛くなります。」
とうとう女たちから、此の様な提案がありましたが、二人は、
「これは私たちが好きでやっていること、皆様が気にすることはありません、私たちは一緒に食事することが楽しいのです。」
「いくら良い食事でも、一人で食べるのは寂しいもの、昔、私たちはその寂しい食事をしていたのです、それが普通と思っていました。」
……
女たちは黙ってしまった。
「おや、どうしましたか、もっと楽しくお食事しなくては、同じ食事なら、美味しく食べるほうがいいでしょうに。」
誰かが食堂のドアを開けながら、そのような言葉を発した。
黒髪の女性がそこにいた。
ジャクリーヌとペネロペは息を飲んだのです、まさか、ここにいるなんて……
その女は、エラムの主権者というべき女、黒の巫女であった。
アフロディーテともイシュタルともヴィーナスとも呼ばれる女、神々しい容姿……
ジャクリーヌとペネロペがひれ伏しすと、訳がわからないのに、女たちもひれ伏した。
「黒の巫女様、このようなところへお越しにならなくても、御用なら、お呼びくださればお伺い致しますのに。」
「ジャクリーヌさんとペネロペさんが頑張っているようなので、陣中見舞いに来たのです。」
「ところで手ぶらでは何なので、手土産を持ってきたのです、ミレーヌさんもドリスさんも一緒ですよ。」
ドリスとは、ペネロペの妹のような女、先のジャバ国王の娘である。
三人は巨大な袋を持って来ました。
といっても、黒の巫女であるヴィーナスが、ほとんど一人で抱えているが。
「大きい袋ですが軽いのですよ、なんといってもパンの耳ですから。」
ジャクリーヌは我が耳を疑った、黒の巫女がパンの耳?
さすがに粗末といえど、皆の前に並べられているのは『にがり草』のパン、耳ではない。
「黒の巫女様、パンの耳を食べておられるのですか?」
女の一人がおずおずと聞いた。
「昔は食べていましたよ、私も若い頃は貧しい時があってね。」
「パン屋さんから、パンの耳を貰ったものです。」
「パンの耳は、小鳥の餌として売っていたの、その売れ残りを、タダで貰って日々を過ごしたわ。」
初めて聞いた話、ミレーヌさえも知らなかった、黒の巫女の昔の話だ。
「まぁ、パンの耳でも、食べ方によっては美味しくいただけるのですよ。」
「パンの耳で、お菓子を沢山作って来ましたから、後で食べましょう。」
「ところで三人分、余分は有るかしら?私はこのままでは、テーブルでも食べれそうなのですけれど。」
この一言で、女たちは親近感を感じたようだ。
ワイワイと食事となり、ジャクリーヌの横には、ミレーヌが座った。
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