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第二章
時空の迷い人
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この世界は深い渓谷と樹海を境に、瘴気にさらされ人が住むことが出来ない土地と救国の魔女の加護により浄化された土地とに分かれている。
瘴気にさらされた土地は【魔境】と呼ばれ、瘴気により変質した植物が蔓延り、変異を繰り返した獣は魔獣と化していた。
800年前、悪しき竜の目覚めにより世界の全てが瘴気に覆われ、現在のアーヴィリエバレイ王国の首都を残し広がりを見せた魔境だったが、その後アーヴィリエバレイ王主導で行われた神官と魔女による浄化事業により、人々の暮らせる土地を取り戻し、一時的にアーヴィリエバレイ王国に身を寄せていた他国の者たちもそれぞれの土地で復興に注力したことで、かつての6割程度ではあるが元の生活に戻ることが出来ていた。
アーヴィリエバレイ王国は渓谷と樹海に接している為、結界を守り魔境を見張る、言わば人類の最前線としての役割を果たしているのだ。
そんな最前線の最前線。深淵の樹海の中に樹海の魔女ヴァレリアの邸がある。
ヴァレリアは元々異世界で暮らしていた少女だったが、時の魔術師たちにより元いた世界から召喚され、聖なる竜の血をその身に取り込むことで救国の魔女としての力を得た異質の存在であった。
貴族の階級意識や、この世界の生活様式にあまり馴染めず、自ら樹海の奥深くで生活することを望んだのだ。
アーヴィリエバレイ王国ではごく稀に時空の歪に迷い込んだ、異世界転移者が現れる事がある。
異世界からの転移者は言葉が通じなかったり生活に馴染めなかったりと、様々な問題を抱えている為、まずはヴァレリアが樹海の邸で保護し、国と一緒になって身の振り方を考えている。
今回もまた異世界転移者が現れたため、ヴァレリアは邸で保護し、言葉を教え、この世界について教えていた。
『驚かないで。あたしはヴァレリア。あんたの頭に直接語りかけてるの。今からあんたにこの世界の言葉を理解させてあげる。騙されたと思ってあたしの手を取りなさい』
怯えた様子のその少年にヴァレリアは手を差し伸べる。
案の定言葉は通じなかった為、接触した部分から魔力を流し、魔力の流れを利用して記憶を操作する魔法を応用して言語を理解させる。
かつてのヴァレリアもベアトリーチェからこの方法で言語を理解させてもらった。
しかし、怯えている少年はなかなかヴァレリアの手を取らない。
『手を取りなさい。怖がる必要はないわ』
しかし少年は首を横に振り、後ずさる。
「あー!もう!手を取れっての!」
業を煮やしたヴァレリアは念話をするのも忘れて、少年の腕をガシッと掴むと、杖を掴んだ腕にあてて魔力を込める。杖から出た瑠璃色の光が少年に吸い込まれると、ゆっくりと手を離し、少年の顔を見た。
「どう?あたしの話してることわかる?」
今まで怯えていた少年は突然言葉が理解出来たことに驚きを隠せないでいた。
「なんで…?なんできゅうにお姉さんの言ってることがわかるようになったの?」
少年の話す言葉もわかるようになると、ヴァレリアは状況の聞き取りの為にペンとメモ用意する。
「あたしがわかるようにしてあげたのよ。それで、あんた名前は?年齢も教えて」
「ぼくはロビン・ジェイコブ・リチャードソン。こないだ7歳になったよ」
「あたしはヴァレリアよ。ロビン、どうして森の中を歩いていたか覚えてる?あたしに教えられる?」
(こんなに幼いのに、可哀想に…)
小さな少年だとは思ったが、7歳とは幼い。遊んでいるうちに時空の歪に迷い込んでしまったのかと思うと胸が傷んだ。
「ぼくは、ママとパパとキャロルにおやすみのキスをして、ぼくのへやでねてたんだ」
「寝てた?寝てただけ?」
「うん。そう。ぼくのへやね、キャロルがプライマリーに入るからぼくとキャロルにへやができたんだよ。サッカーのポスターを貼るんだ」
ロビンと名乗った少年は、言葉が分かるようになった安心感からか、怯えた様子はなくなり自分の事を話すようになった。
ヴァレリアはもう少し打ち解ける為にしばし少年と会話することにした。
「とてもいいお部屋なのね。キャロルは妹?」
「そう。5歳だよ。キャロルはせっかくへやが出来たのに、まだパパとママのベッドで寝てるんだ。ぼくはひとりで寝れる」
「へえ、さすがロビンはお兄さんね。すごいわ」
「へへ」っとロビンが照れ笑いを浮かべると、ヴァレリアはその頭を優しく撫でる。
自室のベッドで寝ていたはずの子供が突然時空の歪に迷い込むとは考えにくい。
歪む場所はいろいろだが、動いていない人間が“迷い込む”というのはあまり聞かない。
(ちょっと記憶を覗く必要があるかしら…)
「ねえ、ロビン。ちょっとあたしの手を握ってくれる?そうすると、どうしてロビンが森の中にいたのかわかるかもしれないから」
ヴァレリアが再び手を差し出すと、ロビンも今度は躊躇なく手を握った。
小さなその手の温かさを感じながら杖をそっとその頭にあてがう。
瑠璃色の光がロビンを包み込むと、ヴァレリアも目を閉じる。
ーー目の前には金色の巻き毛の可愛らしい少女、彼女を腕に抱く女性。
ロビンの母と妹のキャロルだろうか?二人の頬におやすみのキスをすると、長身の男性と手を繋ぎ、廊下を歩く。
【Robin】と書かれたプレートがさがった扉を開け、部屋に入る。
青い壁紙に木の床、星柄のラグ、サッカーボール、ヒーローの人形、青空柄の天井。
優しい眼差しの男性の頬におやすみのキス。
『おやすみパパ』
『おやすみロビン。愛しているよ』
電気を消して男性が出ていくのを見送る。
目を閉じて眠りにつく。
しばらくの暗転。
再び目を開けると青空柄の天井は消えていた。冷たい床に周りを囲むように等間隔で並べられた蝋燭。
こちらを見ている複数の人。赤いローブ。
『子供じゃないか…しかも男か』
『どうする?』
『どうにもならん。樹海にでも置いて来い。上手く行けば魔女にでも拾われる。魔獣にくれてやっても誰も気付くまい』
『ここの記憶は消しておけ』
『御意』
再びの暗転。
目を開けると空も見えない程の一面の木々。樹海の中。
『ここはどこ?パパ?ママ?』
キョロキョロと周囲を見回す。遠くで獣の声がする。
怖くて堪らない。
走って走って父と母と妹を捜す。
泣いても叫んでも誰もいない。
だから立ち止まった。しばらくここに座る。
『あんたどこから来たの?』
突然声がして振り向くと瑠璃色の瞳に腰まであるふわふわの金の巻き毛の少女が立っていたーー
全てを見終わるとヴァレリアはロビンを強く抱きしめた。
「あんた、無理やり連れてこられたのね。ごめんね」
キョトンとした表情のロビンを見て、ヴァレリアは再び強くロビンを抱きしめると、急ぎ報告をしなければと水晶を取り出した。
(全く、胸糞悪い…こんな幼い子を無理やり召喚した上に樹海に捨てるなんて、許せない!)
『はぁーい、どうしたのぉリア?』
水晶の向こう側の相変わらず間の抜けた声に、少し溜飲が下がる。
「重要な話があるわ!すぐそちらに行くからエリーも呼んでおいて」
『わかったわぁ。お茶の用意もしておく?』
「そうね。お茶もだけど、今回はジュースも用意しておいて。子供向けのお菓子も」
『?なんだかわからないけど、わかったわぁ』
ヴァレリアは水晶の魔法を解くと、黒いローブを羽織りロビンを抱き上げ、杖を自身の真上に向かって掲げる。
瑠璃色の魔法陣が光を放ちながら二人を包み込んだ。
瘴気にさらされた土地は【魔境】と呼ばれ、瘴気により変質した植物が蔓延り、変異を繰り返した獣は魔獣と化していた。
800年前、悪しき竜の目覚めにより世界の全てが瘴気に覆われ、現在のアーヴィリエバレイ王国の首都を残し広がりを見せた魔境だったが、その後アーヴィリエバレイ王主導で行われた神官と魔女による浄化事業により、人々の暮らせる土地を取り戻し、一時的にアーヴィリエバレイ王国に身を寄せていた他国の者たちもそれぞれの土地で復興に注力したことで、かつての6割程度ではあるが元の生活に戻ることが出来ていた。
アーヴィリエバレイ王国は渓谷と樹海に接している為、結界を守り魔境を見張る、言わば人類の最前線としての役割を果たしているのだ。
そんな最前線の最前線。深淵の樹海の中に樹海の魔女ヴァレリアの邸がある。
ヴァレリアは元々異世界で暮らしていた少女だったが、時の魔術師たちにより元いた世界から召喚され、聖なる竜の血をその身に取り込むことで救国の魔女としての力を得た異質の存在であった。
貴族の階級意識や、この世界の生活様式にあまり馴染めず、自ら樹海の奥深くで生活することを望んだのだ。
アーヴィリエバレイ王国ではごく稀に時空の歪に迷い込んだ、異世界転移者が現れる事がある。
異世界からの転移者は言葉が通じなかったり生活に馴染めなかったりと、様々な問題を抱えている為、まずはヴァレリアが樹海の邸で保護し、国と一緒になって身の振り方を考えている。
今回もまた異世界転移者が現れたため、ヴァレリアは邸で保護し、言葉を教え、この世界について教えていた。
『驚かないで。あたしはヴァレリア。あんたの頭に直接語りかけてるの。今からあんたにこの世界の言葉を理解させてあげる。騙されたと思ってあたしの手を取りなさい』
怯えた様子のその少年にヴァレリアは手を差し伸べる。
案の定言葉は通じなかった為、接触した部分から魔力を流し、魔力の流れを利用して記憶を操作する魔法を応用して言語を理解させる。
かつてのヴァレリアもベアトリーチェからこの方法で言語を理解させてもらった。
しかし、怯えている少年はなかなかヴァレリアの手を取らない。
『手を取りなさい。怖がる必要はないわ』
しかし少年は首を横に振り、後ずさる。
「あー!もう!手を取れっての!」
業を煮やしたヴァレリアは念話をするのも忘れて、少年の腕をガシッと掴むと、杖を掴んだ腕にあてて魔力を込める。杖から出た瑠璃色の光が少年に吸い込まれると、ゆっくりと手を離し、少年の顔を見た。
「どう?あたしの話してることわかる?」
今まで怯えていた少年は突然言葉が理解出来たことに驚きを隠せないでいた。
「なんで…?なんできゅうにお姉さんの言ってることがわかるようになったの?」
少年の話す言葉もわかるようになると、ヴァレリアは状況の聞き取りの為にペンとメモ用意する。
「あたしがわかるようにしてあげたのよ。それで、あんた名前は?年齢も教えて」
「ぼくはロビン・ジェイコブ・リチャードソン。こないだ7歳になったよ」
「あたしはヴァレリアよ。ロビン、どうして森の中を歩いていたか覚えてる?あたしに教えられる?」
(こんなに幼いのに、可哀想に…)
小さな少年だとは思ったが、7歳とは幼い。遊んでいるうちに時空の歪に迷い込んでしまったのかと思うと胸が傷んだ。
「ぼくは、ママとパパとキャロルにおやすみのキスをして、ぼくのへやでねてたんだ」
「寝てた?寝てただけ?」
「うん。そう。ぼくのへやね、キャロルがプライマリーに入るからぼくとキャロルにへやができたんだよ。サッカーのポスターを貼るんだ」
ロビンと名乗った少年は、言葉が分かるようになった安心感からか、怯えた様子はなくなり自分の事を話すようになった。
ヴァレリアはもう少し打ち解ける為にしばし少年と会話することにした。
「とてもいいお部屋なのね。キャロルは妹?」
「そう。5歳だよ。キャロルはせっかくへやが出来たのに、まだパパとママのベッドで寝てるんだ。ぼくはひとりで寝れる」
「へえ、さすがロビンはお兄さんね。すごいわ」
「へへ」っとロビンが照れ笑いを浮かべると、ヴァレリアはその頭を優しく撫でる。
自室のベッドで寝ていたはずの子供が突然時空の歪に迷い込むとは考えにくい。
歪む場所はいろいろだが、動いていない人間が“迷い込む”というのはあまり聞かない。
(ちょっと記憶を覗く必要があるかしら…)
「ねえ、ロビン。ちょっとあたしの手を握ってくれる?そうすると、どうしてロビンが森の中にいたのかわかるかもしれないから」
ヴァレリアが再び手を差し出すと、ロビンも今度は躊躇なく手を握った。
小さなその手の温かさを感じながら杖をそっとその頭にあてがう。
瑠璃色の光がロビンを包み込むと、ヴァレリアも目を閉じる。
ーー目の前には金色の巻き毛の可愛らしい少女、彼女を腕に抱く女性。
ロビンの母と妹のキャロルだろうか?二人の頬におやすみのキスをすると、長身の男性と手を繋ぎ、廊下を歩く。
【Robin】と書かれたプレートがさがった扉を開け、部屋に入る。
青い壁紙に木の床、星柄のラグ、サッカーボール、ヒーローの人形、青空柄の天井。
優しい眼差しの男性の頬におやすみのキス。
『おやすみパパ』
『おやすみロビン。愛しているよ』
電気を消して男性が出ていくのを見送る。
目を閉じて眠りにつく。
しばらくの暗転。
再び目を開けると青空柄の天井は消えていた。冷たい床に周りを囲むように等間隔で並べられた蝋燭。
こちらを見ている複数の人。赤いローブ。
『子供じゃないか…しかも男か』
『どうする?』
『どうにもならん。樹海にでも置いて来い。上手く行けば魔女にでも拾われる。魔獣にくれてやっても誰も気付くまい』
『ここの記憶は消しておけ』
『御意』
再びの暗転。
目を開けると空も見えない程の一面の木々。樹海の中。
『ここはどこ?パパ?ママ?』
キョロキョロと周囲を見回す。遠くで獣の声がする。
怖くて堪らない。
走って走って父と母と妹を捜す。
泣いても叫んでも誰もいない。
だから立ち止まった。しばらくここに座る。
『あんたどこから来たの?』
突然声がして振り向くと瑠璃色の瞳に腰まであるふわふわの金の巻き毛の少女が立っていたーー
全てを見終わるとヴァレリアはロビンを強く抱きしめた。
「あんた、無理やり連れてこられたのね。ごめんね」
キョトンとした表情のロビンを見て、ヴァレリアは再び強くロビンを抱きしめると、急ぎ報告をしなければと水晶を取り出した。
(全く、胸糞悪い…こんな幼い子を無理やり召喚した上に樹海に捨てるなんて、許せない!)
『はぁーい、どうしたのぉリア?』
水晶の向こう側の相変わらず間の抜けた声に、少し溜飲が下がる。
「重要な話があるわ!すぐそちらに行くからエリーも呼んでおいて」
『わかったわぁ。お茶の用意もしておく?』
「そうね。お茶もだけど、今回はジュースも用意しておいて。子供向けのお菓子も」
『?なんだかわからないけど、わかったわぁ』
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