11 / 92
アルシア移住
ギルドへ
しおりを挟む
ゼライさんたちの家系は代々熊獣人同士で結婚してて、祖父の代だけは人間と結婚したんですって。
この世界の異種族間の結婚って、胎生なら胎生、卵生なら卵生でしか子供産まれないのよね。
なので獣人と人間は異種族だけど、子供を授かれる可能性がある。
卵生の鳥族とか人魚は胎生種族との間に子は授からない。
どの場合も、異種族だと可能性は低めだけどハーフは存在する訳だ。
ただね、絶対に【どっちか】の種族が産まれる事になる。
人間の姿に、ウサギの耳としっぽ。
ウサギ獣人の姿に人間の顔、みたいな子供は存在しないのだ。
必ずウサギ獣人か、人間になる。
手先が器用なウサギ獣人だったり、やたら聴覚のいい人間だったりと多少はお互いの遺伝はあるっぽいけど……。
なのでゼライさんのところは、種族違いで産まれたのだろう。
ハーフの場合、親が同じでも兄弟姉妹の種族は別ってのは良くあることだ。
だから、カイさんは身体がとても大きいのかもね。
面白いことに、自分と違う種族の特性は孫くらいまでには見られる場合が多いけれど──それ以降は引き継がれないし、先祖がえりも滅多に無い。
カイさんが熊獣人の特性を持っていたとしても、人間と結婚すれば普通に人間が産まれると言うことだ。
「ギルドカードあるなら」
とカイさんが見せろ、と手を出してきた。
私はバッグからカードを出して見せた。
基本、ギルドカードはギルドスタッフ以外の他人の手に触れさせないのがギルドルールであるので、見せるだけ。
「ふむ。ギルドで照会確認すれば、多少は待遇改善の交渉材料にはなると思うぞ」
ただ、カイさんは普段王都とここを行ったり来たりしているので今日明日という話では無いようだ。
とりあえず自分で照会はしておいて証明書を管理所に届けるように、と言うことになった。
「次来るときはポスト横の呼び鈴押してよね」
カイさんはわかったわかった、とめんどくさそうにぶつぶつ呟いてそそくさと帰っていった。
甲冑の金属的な音はあんまり好きじゃない。
似合ってはいたけどね。
せっかくだから、このままエルフの姿でギルドまで行こうかな…。
今日行かなかったらまた一ヶ月すぐ経っちゃいそうだし。
頑張って活動しよう、うん。
私は一旦家に戻り、薄紫のシンプルなワンピース、編み上げブーツに着替えて出発した。
ポシェットはちょっと迷ったが、置いていく。
自分の収納魔法の時空庫に繋がってるだけだからね、あってもなくても問題ないのだ。
獣道を歩きながら索敵魔法を森全体に通して、生き物の気配を確認。
普通の動物の気配しかないので、無視でいいだろう。
森の街側に着いてから、転移出来そうな場所を確保したいので周囲を少し歩き回ってみた。
──獣道から外れて2、3分歩いた所によさそうなポイント発見。
大きな木がちょっと混み入って生えている場所で、上方の枝が重なってていい感じ。
三メートルほど上の枝が、ちょうど良さそうだ。
この枝付近に認識阻害の魔法をかけて転移すれば問題なさそう。
枝から降りるときに周囲をチェックすればいいだけだ。
音が立たぬよう、浮遊しながらそっと着地。
これで二十分の時間短縮だ。
街中にも転移ポイントが欲しいけれど、焦らずじっくり探すつもり。
なにしろエルフってだけで好意的な人が居ないからね、用心するに越したことはないわ。
ここから街までゆっくり歩けば二十分。
走れば十分以下。
ワンピースなので走るのはやめて、早歩きで街に向かうことにした。
ぽつぽつと民家が見え始める。
この辺の家はほぼ農家だろうな。
きれいに手入れされた広大な畑が見え、段々と住宅街になる。
ほとんどが2階建ての小さな家だ。
(平屋じゃないあたり、建築技術は高いのね)
住宅街を抜けて大街道まで出て、カイさんに貰った街の案内図を見てギルドの場所を再確認。
商店街の端の大きな建物がギルドっぽい。
道行く人は隠れたり下を向いたり相変わらずよ。
エルフ怖いもんね、わかるよ……。
途中美味しそうなパン屋があったのだが、あのピンク髪が居たので入るのをやめた。
きっとそのうち下級貴族に引き取られるとか、実は王様の庶子だったとか、亡国の王家の血筋とかでトラブル起こしそう。
あのパン屋には行かないでおこ。
足早にパン屋を離れ、ギルドのドアを……開けっ放しだったのでそのまま入った。
ざわざわしていた室内は一瞬にして静まり返る。
中には武器に手を掛けた者も居る。
エルフにそれは命知らず過ぎるわ、相手が私で良かったよね!
職員が六名くらい、冒険者二十人居るかどうかかな。
緊迫感漂うなんとも言えない雰囲気だが、私はギルドカードをヒラヒラと振って
「エルフだけどギルドメンバーでーす!」と大声でアピールした。
世界中にあるこのギルドに登録されているエルフは数名。
何十万人も居るであろう中で、十名以下だと思う。
登録出来ているエルフは【コミュニケーションが成り立つ比較的凶悪じゃないエルフのみ】だ。
凶悪か、そこまで凶悪じゃないかって扱いが二択なのは納得いかないんだけど。
室内に少しだけ、ざわめきが戻ってきた。
長いカウンターには受け付けスタッフが四名。
人間の男性と女性、鳥人と…
一番怯えてなさそうな大型猫獣人さんの所で手続きしよう。
イカ耳になってるけど。
この世界の異種族間の結婚って、胎生なら胎生、卵生なら卵生でしか子供産まれないのよね。
なので獣人と人間は異種族だけど、子供を授かれる可能性がある。
卵生の鳥族とか人魚は胎生種族との間に子は授からない。
どの場合も、異種族だと可能性は低めだけどハーフは存在する訳だ。
ただね、絶対に【どっちか】の種族が産まれる事になる。
人間の姿に、ウサギの耳としっぽ。
ウサギ獣人の姿に人間の顔、みたいな子供は存在しないのだ。
必ずウサギ獣人か、人間になる。
手先が器用なウサギ獣人だったり、やたら聴覚のいい人間だったりと多少はお互いの遺伝はあるっぽいけど……。
なのでゼライさんのところは、種族違いで産まれたのだろう。
ハーフの場合、親が同じでも兄弟姉妹の種族は別ってのは良くあることだ。
だから、カイさんは身体がとても大きいのかもね。
面白いことに、自分と違う種族の特性は孫くらいまでには見られる場合が多いけれど──それ以降は引き継がれないし、先祖がえりも滅多に無い。
カイさんが熊獣人の特性を持っていたとしても、人間と結婚すれば普通に人間が産まれると言うことだ。
「ギルドカードあるなら」
とカイさんが見せろ、と手を出してきた。
私はバッグからカードを出して見せた。
基本、ギルドカードはギルドスタッフ以外の他人の手に触れさせないのがギルドルールであるので、見せるだけ。
「ふむ。ギルドで照会確認すれば、多少は待遇改善の交渉材料にはなると思うぞ」
ただ、カイさんは普段王都とここを行ったり来たりしているので今日明日という話では無いようだ。
とりあえず自分で照会はしておいて証明書を管理所に届けるように、と言うことになった。
「次来るときはポスト横の呼び鈴押してよね」
カイさんはわかったわかった、とめんどくさそうにぶつぶつ呟いてそそくさと帰っていった。
甲冑の金属的な音はあんまり好きじゃない。
似合ってはいたけどね。
せっかくだから、このままエルフの姿でギルドまで行こうかな…。
今日行かなかったらまた一ヶ月すぐ経っちゃいそうだし。
頑張って活動しよう、うん。
私は一旦家に戻り、薄紫のシンプルなワンピース、編み上げブーツに着替えて出発した。
ポシェットはちょっと迷ったが、置いていく。
自分の収納魔法の時空庫に繋がってるだけだからね、あってもなくても問題ないのだ。
獣道を歩きながら索敵魔法を森全体に通して、生き物の気配を確認。
普通の動物の気配しかないので、無視でいいだろう。
森の街側に着いてから、転移出来そうな場所を確保したいので周囲を少し歩き回ってみた。
──獣道から外れて2、3分歩いた所によさそうなポイント発見。
大きな木がちょっと混み入って生えている場所で、上方の枝が重なってていい感じ。
三メートルほど上の枝が、ちょうど良さそうだ。
この枝付近に認識阻害の魔法をかけて転移すれば問題なさそう。
枝から降りるときに周囲をチェックすればいいだけだ。
音が立たぬよう、浮遊しながらそっと着地。
これで二十分の時間短縮だ。
街中にも転移ポイントが欲しいけれど、焦らずじっくり探すつもり。
なにしろエルフってだけで好意的な人が居ないからね、用心するに越したことはないわ。
ここから街までゆっくり歩けば二十分。
走れば十分以下。
ワンピースなので走るのはやめて、早歩きで街に向かうことにした。
ぽつぽつと民家が見え始める。
この辺の家はほぼ農家だろうな。
きれいに手入れされた広大な畑が見え、段々と住宅街になる。
ほとんどが2階建ての小さな家だ。
(平屋じゃないあたり、建築技術は高いのね)
住宅街を抜けて大街道まで出て、カイさんに貰った街の案内図を見てギルドの場所を再確認。
商店街の端の大きな建物がギルドっぽい。
道行く人は隠れたり下を向いたり相変わらずよ。
エルフ怖いもんね、わかるよ……。
途中美味しそうなパン屋があったのだが、あのピンク髪が居たので入るのをやめた。
きっとそのうち下級貴族に引き取られるとか、実は王様の庶子だったとか、亡国の王家の血筋とかでトラブル起こしそう。
あのパン屋には行かないでおこ。
足早にパン屋を離れ、ギルドのドアを……開けっ放しだったのでそのまま入った。
ざわざわしていた室内は一瞬にして静まり返る。
中には武器に手を掛けた者も居る。
エルフにそれは命知らず過ぎるわ、相手が私で良かったよね!
職員が六名くらい、冒険者二十人居るかどうかかな。
緊迫感漂うなんとも言えない雰囲気だが、私はギルドカードをヒラヒラと振って
「エルフだけどギルドメンバーでーす!」と大声でアピールした。
世界中にあるこのギルドに登録されているエルフは数名。
何十万人も居るであろう中で、十名以下だと思う。
登録出来ているエルフは【コミュニケーションが成り立つ比較的凶悪じゃないエルフのみ】だ。
凶悪か、そこまで凶悪じゃないかって扱いが二択なのは納得いかないんだけど。
室内に少しだけ、ざわめきが戻ってきた。
長いカウンターには受け付けスタッフが四名。
人間の男性と女性、鳥人と…
一番怯えてなさそうな大型猫獣人さんの所で手続きしよう。
イカ耳になってるけど。
21
あなたにおすすめの小説
ガチャで大当たりしたのに、チートなしで異世界転生?
浅野明
ファンタジー
ある日突然天使に拉致された篠宮蓮、38歳。ラノベは好きだが、異世界を夢見るお年頃でもない。だというのに、「勇者召喚」とやらで天使(自称)に拉致られた。周りは中学生ばっかりで、おばちゃん泣いちゃうよ?
しかもチートがもらえるかどうかはガチャの結果次第らしい。しかし、なんとも幸運なことに何万年に一度の大当たり!なのにチートがない?もらえたのは「幸運のアイテム袋」というアイテム一つだけ。
これは、理不尽に異世界転生させられた女性が好き勝手に生きる物語。
異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。
【あらすじ】
異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。
それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。
家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。
十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。
だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。
最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。
この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。
そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。
そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。
旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。
☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。
☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。
最安もふもふ三匹に名前をつける変な冒険者ですが、この子たちの力を引き出せるのは私だけです ~精霊偏愛録~
Lihito
ファンタジー
精霊に名前をつける冒険者は、たぶん私だけだ。
うさぎのノル、狐のルゥ、モモンガのピノ。三匹とも最安の契約で、手のひらに乗るサイズ。周りからは「手乗り精霊で何ができる」と笑われている。
でも、この子たちへの聞き方を変えるだけで、返ってくる答えはまるで違う。三匹の情報を重ねれば、上位の精霊一体では見えないものが見える。
上位パーティが三度失敗した大型討伐。私は戦わない。ノルに地中を、ピノに上空を、ルゥに地上を調べさせて、答えを組み上げる。
——この世界の精霊の使い方、みんな間違ってませんか?
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
王女様は温かいごはんが食べたい ~冷えた王宮料理を変えたら、オープンキッチンと政略婚約がついてきました~
しおしお
恋愛
異世界の王女リリアーヌは、前世の記憶を持つ転生者。
豪華絢爛な王宮で暮らし始めた彼女だったが、ひとつだけどうしても耐えられないことがあった。
――食事が、冷めているのだ。
どれほど立派な料理でも、ぬるいスープや冷めた肉ではホッとできない。
「温かいごはんが食べたい」
そのささやかな願いを口にしたことから、王宮ではなぜか大騒動が巻き起こる。
地下厨房からの高速搬送。
専用レーンを爆走するカートメイド。
扉の開閉に命をかけるオープナー。
ついには食堂に火を持ち込むオープンキッチンまで誕生して――!?
温かさは、ホッとさせてくれる。
それは料理だけではなく、人との距離まで少しずつ変えていくものだった。
冷えた王宮に湯気と笑顔を取り戻す、
食と温かさをめぐる宮廷日常コメディ!
-
異世界カントリーライフ ~妖精たちと季節を楽しむ日々~
楠富 つかさ
ファンタジー
都会で忙しさに追われる日々を送っていた主人公は、ふと目を覚ますと異世界の田舎にいた。小さな家と畑、そして妖精たちに囲まれ、四季折々の自然に癒されるスローライフが始まる。時間に縛られず、野菜を育てたり、見知らぬスパイスで料理に挑戦したりと、心温まる日々を満喫する主人公。現代では得られなかった安らぎを感じながら、妖精たちと共に暮らす異世界で、新しい自分を見つける物語。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる