あなたはダンジョン出禁ですからッ! と言われた最強冒険者 おこちゃまに戻ってシェルパから出直します

サカナタシト

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出禁 第二十一話  トゥインクルガールズ救出 その1

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 オン! 
 地下へ向かう通路の途中で他の通路と交差する場所があった。そこに差し掛かったとたん妖精犬のクー・シーが激しく反応した。
 多分トゥインクルガールズのメンバーが、交差している通路を通った時の匂いを嗅ぎ取ったのだろう。
『えらい? えらい?』と褒めてほしそうにしてるので、「えらいえらい」と言って頭を撫でた後、手の平を舐めさせる。
 手の平を舐めさせるのは、ミストをあげるためで、エサをあげるのと同じなので、まあご褒美だ。
「お姉ちゃん達の匂いを見つけたよ。ここからは急ぐよ」
 今までも走っていたけど、ここまではジョギング程度のスピード。ここからは全力疾走に近いスピードで行く。
ジェシカたちが頷いたのを見て、オレはクー・シーに「GO! 」と合図する。
クー・シーは迷わず下へ向かう階段のある方向へ走る。
 ロック兄妹を見つけた場所から二階層降りた、とある通路の一角でクー・シーは動かなくなった。
 地面を見ると、割れたばかりの岩がゴロゴロと転がっている。【迷宮モグラ】の罠があった場所か。
「モブキラーズのメンバーは、迷宮モグラの穴に大検を背負った女が入っていったら穴が崩れて入れなくなった、って言っていたわ」
 ジェシカもここが迷宮モグラの罠があった場所だと考えているのだろう。
「ハリー爺さん」
 オレは精霊ノームを呼び出す。
「ここにいるぞい」
 おお、いてくれたのか。今は時間が惜しいからすぐに出てきてくれるのはありがたい。
「この岩をどかして下まで貫通できるか」
「お安い御用だ」
 ハリー爺さんがヒゲをしごくと、ミストが抜ける感じがする、そして穴を塞いでいた岩が次々と溶ける様に消えてなくなり、人が一人通れるような穴が現れた。
 迷宮モグラの穴は比較的ツルツルなので分かりやすい。
 ただし、降りるためのロープはまだあるが、それを引っ掛ける杭や坑道の梁のようなものがない。どこか固い岩場にアンカーを打ち込んで、ロープを引っ掛けるしかないか、と思っていると、
「「「ケディーーーーッ!! 」」」
 穴の底から女性のような声が聞こえてきた。ただすごく小さくてよく聞き取れない。
 すかさずフラウが穴に飛び込んだ。そうかフラウは空が飛べるから、一足先にこの下を見に行ったのか。
「JJやばいで、若い女の子がクモに食われそうやで」
 と、フラウが慌てた声で叫んだ。
 ナニ~~~~~~ッ!!
「ジェシカ、紐の端を頼む、オレが先に行く、アンカーを打ったら後から来てくれ」
 驚いた事にマッスルが男前な事を言った。
 さすが腐っても元ダンジョン最高位冒険者パーティのリーダー判断が早い。いや脳みそで考えずに筋肉で考えたので反応が早かったのか。そしてそのため、その考えは穴だらけだ。
「ギルマスッ、アンタが先に行くのはいいけど、そのロープを私が支えるのは無理ッ、絶対」
 見比べるとジャシカはマッスルの体格の半分以下だ。体重はさらに少ないだろう。
 どう頑張っても一緒に落ちていくようにしか見えない。
「私が先に下りるわッ」
「いやしかし」
 二人の夫婦愛は美しいが、今はそんな譲り合いを見ている場合ではない。
「ギルマスのオジチャン、ロープお願いね」
「ああ、?」
 ロープの片端をマッスルに投げつけ。もう片端を持ってさっさと穴に飛び込む。
「オ、オイ」
「JJクン、待ちなさい! 」
 二人の叫ぶ声を頭上に聞きながら、オレは穴の中で光の精霊にミストをたっぷり与え、地下通路を光で満たさせた。
 ロープはマッスルがきちんと握っているのだろう、びくともしない。握っているのがマッスルだと思わなければとても安心感があった。
 長さはまたしても足りなかったが、問題と言うほどじゃなかった。最後はやはり飛び降りた。
 下層と思われる場所はちょっとした広場になっていた。
 そしてそこに、一匹の大型のクモが真上から女性を押し倒している姿が。
 押し倒されているのは赤姉、なんとか大剣でクモの口元を押さえて毒液の攻撃を防いでいる。
「皆ッ、助けにきたよッ! 」
「「「JJクンッ! 」」」
 他の三人は壁際でぐるぐる巻き状態だが、怪我も無く無事のようだ。
 まずはクモを片付ける。一匹だけなら身構えられる前に速効勝負をかける。手加減して倒せる相手じゃない。
「赤姉ーッ!! 」
「来ちゃダメッ!! 」
 そんな事言わないで、そのために来たんだから。
 オレは、腕のマジックリングから片手剣ファイブフィンガードソードを取り出しながら、ダッシュでクモの足元まで行き、赤姉を押さえつけているクモの左の前から一番目と二番目の脚を斬り飛ばした。
「なんで斬れるの」
「簡単そう」
「デタラメだわ~」
 囚われの身の三人が変な事を言ってる。斬れなかったのか?
 脚はかなり硬かったが、関節を狙えば斬れなくはなかった。
 魔物だから逃げるという選択が無いのだろうか、それともまだ余裕があるのか、キングスパイダーは脚二本なくなっても平気でオレに襲い掛かってくる。
 飛び上がって上から押し潰すように落ちてくるので、オレはそのまま剣を突き上げる。
 クモの頭に下から剣が刺し貫かれて、キングスパイダーは絶命した。
「JJク~ンッ! 」
 赤姉がオレの前に座り込んで抱きつくと、オレの胸に顔をうずめてエグエグ泣き出してしまった。
 赤姉ののようなワイルドでエキゾチックな美少女に抱きつかれ、本来ならメチャメチャ恥ずかしいシチュエーションで、すぐに身体を離すところなんだが、相当恐い思いをしたのだろう、今だけはそっと頭を撫でて涙を胸元のシャツで受け止めてあげた。

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