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第8章:王国決戦編
再会記念パーティー
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「それで……俺らに何か言うことあるんじゃねえか?」
ジンを立たせながらも、ルースはジロリと睨む。
「……悪かったよ。なにも言わずにいなくなって」
すぐに何の事か思い至ったジンは素直に彼らに頭を下げる。
「それで、どうしていなくなったの? 私たちに秘密でさ」
そう尋ねてくるマルシェにジンは顔を向ける。
「あの時、俺がいれば皆を巻き込むと思ったんだ。だから逃げた。大事な人達を俺のせいで失うのはもう耐えられなかったから」
「……あの時に来た奴の目的はやっぱりあんただったわけ? 知り合いっぽかったからそうじゃないかと思ってはいたけどさ」
「ああ、アルトワールの言う通りだ。あいつは……レヴィは俺の育ての親の息子で……そんで龍魔の魂をその身に宿している男だ」
「龍魔の魂? つまりあいつは龍魔そのものってわけじゃないの?」
ジンの言葉に疑問を持ったアルトワールがさらに尋ねる。
「それは……」
「ああもう、面倒臭え話は後だ後! 今は再会を祝して飯でも食いに行こうぜ! まさか食えないとか言わないよな?」
先ほどまでシオンの家で食事をしていた為、正直満腹だったのだが有無を言わせないようなルースの様子に仕方無くジンは頷いた。
「よし! じゃあ、あたしのお勧めの店を紹介してしんぜよう! 付いて来て!」
どんどんと先頭に立ったマルシェが歩き出したので、ジン達は彼女の後について店に向かった。
~~~~~~~
「も、もう、食えねえ……」
ズボンのベルトまで緩めてもキツイほどにどんどん食べさせられて、ジンは正直今にも吐き出しそうな状態だった。初めの内は料理に舌鼓を打っていたのだが、途中からルース達に無理矢理口の中に料理や酒を突っ込まれるようになったのだ。
「なに言ってんだよ。これは再会記念だぜ? その主役が料理を残してどうすんだよ」
「そうそう。せっかく安くて美味しいお店に連れてきたんだから、最後までしっかりと味わって食べてよね」
「……まあ、頑張れ」
「うっぷ……」
ジンは何かを言おうとするが、口を開けば今にも食べた物を戻しそうになる為、口を開ける事すら出来ない。だが丁度その時、彼の横を救世主が通り過ぎようとした。
「あれ? ジンじゃん。こんなところでなにしてるの?」
ゴウテンを引き連れたミコトが意気揚々と店に入ってきたのだ。
「……ミ、ミコ……うぷっ」
「随分顔色悪いけど、大丈夫?」
「あのぉ、ジン君の知り合いですか?」
「え? あ、うん。ジンの従妹のミコトです。で、こっちは一応あたしの許嫁のゴウテン」
「許嫁のゴウテンです」
許嫁と紹介されて嬉しそうな顔を浮かべるゴウテンを無視して、ミコトがマルシェに尋ねる。
「それで、ジンが何かしたんですか?」
~~~~~~~~
「なるほど、確かにそれはこいつが悪いですね」
「ああ、全く」
ルース達3人の話を聞いて頷き、ジンを非難するミコト達は御相伴に与り、頼まれていた料理を次から次へと消化していった。
「辛いと逃げるなんて、男として最低ですよね。しかもあんなに可愛い女の子を泣かせるなんて」
口の中に揚げた鳥を放り込みながら、ミコトが不満を漏らす。不思議な事に料理がどんどん消えていくのに、その食べ方は妙に上品だった。彼女の食事の勢いに圧倒されつつも、マルシェが尋ねる。
「可愛い女の子って、シオン君の事知っているの?」
「うん? 知っているも何も今一緒に旅をしている最中だよ?」
「そうなの!? え、何で何で?」
「えっと、何でかって言うと……」
「ミコト!」
「あ……ごめん。理由は言えない感じなんだよね。旅は道連れ世は情けっていうか、まあ偶然というか」
ゴウテンが短く注意をしたので、ミコトは言葉を引っ込めた。
「ふーん。ねえねえ、旅の途中はジン君とシオン君、どんな感じだった?」
「どんな感じ?」
テーブルにマルシェは身を乗り出して尋ねる。ルースはダウンしているジンの背中をさすり、アルトワールはいつの間にか本を取り出して読んでいたが、しっかりとどちらも聞き耳を立てている。
「うん、いちゃいちゃしてた?」
「ああ、うん。ちょいちょい旅の最中もこっそりと手を繋いだりとか、陰でキスしたりとか、夜に2人でいなくなってしばらく帰って来なかったりとか、明け方まで話し込んだりとか、まあ色々してたよ。こっちが気付いている事に気がついていない感じだったから、正直気不味かったけどね、ね?」
「ああ、うらやま……確かにこっちがうんざりするような仲の良さだったよ」
「きゃあ! そんなシオン君、見たかったなぁ! あ、そうだ。シオン君とはいつから一緒に旅をしているの? 2人はいつから付き合い出したの? 馴れ初めとかって知ってる?」
「旅を始めたのと付き合い出したのは2ヶ月近く前ぐらいからかな。馴れ初めねぇ。一応知ってはいるんだけど、言っていいのかなぁ」
「いいじゃんいいじゃん。言っちゃえ言っちゃえ!」
「お、おい、マルシェ」
「まあ、別にジンも何も言って来ないし、いいよね! えっとね……」
「ミ、ミコト。さすがにそれは……」
ジンは食べ過ぎたのと、ワインをしこたま飲まされたのとで、既に軽くいびきをかいて寝ていた。一応ルースがマルシェに声をかけるも当然のことながら彼女は無視する。ゴウテンもさすがに哀れに思ったのか、ミコトを止めようと声をかけるが、そんな言葉を素直に聞く彼女では無い。
そうして、いつの間にかマルシェとすっかり仲良くなったミコトは、話せる部分だけ洗いざらい話し、それをきゃあきゃあと騒ぎながらマルシェが、本に視線を落としながらもページをめくる手を完全に止めているアルトワールが、深く眠っているジンを可哀想な目で見つめながらルースとゴウテンがしっかりと最後まで聞き続けた。
~~~~~~~~
「うわぁ、いいなぁ。すごい運命的で、ロマンチックで。憧れちゃうなぁ。ね、アルるん?」
「……別に」
少し想像したのか本から覗かせる耳を軽く赤らめながらそう答える。だがマルシェはアルトワールが定期的に恋愛小説を、それもベタベタなロマンス小説を読んでいる事を知っていた。そんな彼女が劇的な恋愛話に関心が無い訳がないので、少し満足気な笑みを浮かべる。その様子に気づいて、アルトワールはいっそう顔を赤くしながら軽く舌打ちをして、そっぽを向いた。
「他には他には?」
マルシェはさらに話を聞こうとミコトに顔を近づける。
「もう、もう止めてやってくれ。これ以上聞いてやらないでやってくれ」
「ああ、ミコトもそれ以上は話してやるな」
ルースとゴウテンはあまりにもジンが可哀想で、顔を手で覆っていた。
「えぇ、もっと聞きたいよぉ」
「そうそう、もっと話したいよぉ」
「もう、いい加減にしてやってくれよ!」
「アルも2人を止めてやれよ!」
「……別に」
しかしルースとゴウテンの願いも虚しく、ジンとシオンの知る事なく、事細かに旅の間にあった出来事をミコトはマルシェとアルトワールに話し続けた。
~~~~~~~~
「いやぁ、いろんな話をしてくれてありがとう! すっごく楽しかった!」
店から出ると、ほくほく顔のマルシェがミコトに話しかけた。
「いえいえ、こっちも誰かに話したかったから丁度よかったわぁ」
「ああ、そっか。さすがにシオン君とジン君の話を2人には出来ないし、旅の面子には他に女の子がいないんだっけ」
「うん、そうなの。だから2人の初々しい話を誰かに話したくて話したくて。今日はマルシェさん達に会えてよかった」
「マルシェさんなんて堅苦しいから、マルシェでいいよぉ」
「本当? じゃあ、あたしのこともミコトって呼んでね。アルトワールさんも、アルトワールって呼んでもいいかな?」
「ええ、それで……」
「あ、この子はアルるんって呼んであげてね」
「分かった。よろしく、アルるん!」
「……よろしく」
楽しくおしゃべりを続けるマルシェ達の横で、ゴウテンにルースが話しかける。
「おい、ゴウテン」
「何だ?」
「ジンのフォローを頼んだ」
「……ああ。そっちもマルシェとやらのコントロールを頼んだぞ」
「……おう。必ず、出来れば、多分、頑張るよ」
「……お互い、惚れた女があんなんだと苦労するな」
「……分かるか。でもよぉ、そんなこと言うなよな。心が折れそうになるわ」
「全くだ。ははは!」
「あはは!」
2人は笑い合うも、その声が途切れる。
「「……はぁ」」
眠りこけているジンに肩を貸しながら、ルースとゴウテンはお互いにため息をついた。
ジンを立たせながらも、ルースはジロリと睨む。
「……悪かったよ。なにも言わずにいなくなって」
すぐに何の事か思い至ったジンは素直に彼らに頭を下げる。
「それで、どうしていなくなったの? 私たちに秘密でさ」
そう尋ねてくるマルシェにジンは顔を向ける。
「あの時、俺がいれば皆を巻き込むと思ったんだ。だから逃げた。大事な人達を俺のせいで失うのはもう耐えられなかったから」
「……あの時に来た奴の目的はやっぱりあんただったわけ? 知り合いっぽかったからそうじゃないかと思ってはいたけどさ」
「ああ、アルトワールの言う通りだ。あいつは……レヴィは俺の育ての親の息子で……そんで龍魔の魂をその身に宿している男だ」
「龍魔の魂? つまりあいつは龍魔そのものってわけじゃないの?」
ジンの言葉に疑問を持ったアルトワールがさらに尋ねる。
「それは……」
「ああもう、面倒臭え話は後だ後! 今は再会を祝して飯でも食いに行こうぜ! まさか食えないとか言わないよな?」
先ほどまでシオンの家で食事をしていた為、正直満腹だったのだが有無を言わせないようなルースの様子に仕方無くジンは頷いた。
「よし! じゃあ、あたしのお勧めの店を紹介してしんぜよう! 付いて来て!」
どんどんと先頭に立ったマルシェが歩き出したので、ジン達は彼女の後について店に向かった。
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「も、もう、食えねえ……」
ズボンのベルトまで緩めてもキツイほどにどんどん食べさせられて、ジンは正直今にも吐き出しそうな状態だった。初めの内は料理に舌鼓を打っていたのだが、途中からルース達に無理矢理口の中に料理や酒を突っ込まれるようになったのだ。
「なに言ってんだよ。これは再会記念だぜ? その主役が料理を残してどうすんだよ」
「そうそう。せっかく安くて美味しいお店に連れてきたんだから、最後までしっかりと味わって食べてよね」
「……まあ、頑張れ」
「うっぷ……」
ジンは何かを言おうとするが、口を開けば今にも食べた物を戻しそうになる為、口を開ける事すら出来ない。だが丁度その時、彼の横を救世主が通り過ぎようとした。
「あれ? ジンじゃん。こんなところでなにしてるの?」
ゴウテンを引き連れたミコトが意気揚々と店に入ってきたのだ。
「……ミ、ミコ……うぷっ」
「随分顔色悪いけど、大丈夫?」
「あのぉ、ジン君の知り合いですか?」
「え? あ、うん。ジンの従妹のミコトです。で、こっちは一応あたしの許嫁のゴウテン」
「許嫁のゴウテンです」
許嫁と紹介されて嬉しそうな顔を浮かべるゴウテンを無視して、ミコトがマルシェに尋ねる。
「それで、ジンが何かしたんですか?」
~~~~~~~~
「なるほど、確かにそれはこいつが悪いですね」
「ああ、全く」
ルース達3人の話を聞いて頷き、ジンを非難するミコト達は御相伴に与り、頼まれていた料理を次から次へと消化していった。
「辛いと逃げるなんて、男として最低ですよね。しかもあんなに可愛い女の子を泣かせるなんて」
口の中に揚げた鳥を放り込みながら、ミコトが不満を漏らす。不思議な事に料理がどんどん消えていくのに、その食べ方は妙に上品だった。彼女の食事の勢いに圧倒されつつも、マルシェが尋ねる。
「可愛い女の子って、シオン君の事知っているの?」
「うん? 知っているも何も今一緒に旅をしている最中だよ?」
「そうなの!? え、何で何で?」
「えっと、何でかって言うと……」
「ミコト!」
「あ……ごめん。理由は言えない感じなんだよね。旅は道連れ世は情けっていうか、まあ偶然というか」
ゴウテンが短く注意をしたので、ミコトは言葉を引っ込めた。
「ふーん。ねえねえ、旅の途中はジン君とシオン君、どんな感じだった?」
「どんな感じ?」
テーブルにマルシェは身を乗り出して尋ねる。ルースはダウンしているジンの背中をさすり、アルトワールはいつの間にか本を取り出して読んでいたが、しっかりとどちらも聞き耳を立てている。
「うん、いちゃいちゃしてた?」
「ああ、うん。ちょいちょい旅の最中もこっそりと手を繋いだりとか、陰でキスしたりとか、夜に2人でいなくなってしばらく帰って来なかったりとか、明け方まで話し込んだりとか、まあ色々してたよ。こっちが気付いている事に気がついていない感じだったから、正直気不味かったけどね、ね?」
「ああ、うらやま……確かにこっちがうんざりするような仲の良さだったよ」
「きゃあ! そんなシオン君、見たかったなぁ! あ、そうだ。シオン君とはいつから一緒に旅をしているの? 2人はいつから付き合い出したの? 馴れ初めとかって知ってる?」
「旅を始めたのと付き合い出したのは2ヶ月近く前ぐらいからかな。馴れ初めねぇ。一応知ってはいるんだけど、言っていいのかなぁ」
「いいじゃんいいじゃん。言っちゃえ言っちゃえ!」
「お、おい、マルシェ」
「まあ、別にジンも何も言って来ないし、いいよね! えっとね……」
「ミ、ミコト。さすがにそれは……」
ジンは食べ過ぎたのと、ワインをしこたま飲まされたのとで、既に軽くいびきをかいて寝ていた。一応ルースがマルシェに声をかけるも当然のことながら彼女は無視する。ゴウテンもさすがに哀れに思ったのか、ミコトを止めようと声をかけるが、そんな言葉を素直に聞く彼女では無い。
そうして、いつの間にかマルシェとすっかり仲良くなったミコトは、話せる部分だけ洗いざらい話し、それをきゃあきゃあと騒ぎながらマルシェが、本に視線を落としながらもページをめくる手を完全に止めているアルトワールが、深く眠っているジンを可哀想な目で見つめながらルースとゴウテンがしっかりと最後まで聞き続けた。
~~~~~~~~
「うわぁ、いいなぁ。すごい運命的で、ロマンチックで。憧れちゃうなぁ。ね、アルるん?」
「……別に」
少し想像したのか本から覗かせる耳を軽く赤らめながらそう答える。だがマルシェはアルトワールが定期的に恋愛小説を、それもベタベタなロマンス小説を読んでいる事を知っていた。そんな彼女が劇的な恋愛話に関心が無い訳がないので、少し満足気な笑みを浮かべる。その様子に気づいて、アルトワールはいっそう顔を赤くしながら軽く舌打ちをして、そっぽを向いた。
「他には他には?」
マルシェはさらに話を聞こうとミコトに顔を近づける。
「もう、もう止めてやってくれ。これ以上聞いてやらないでやってくれ」
「ああ、ミコトもそれ以上は話してやるな」
ルースとゴウテンはあまりにもジンが可哀想で、顔を手で覆っていた。
「えぇ、もっと聞きたいよぉ」
「そうそう、もっと話したいよぉ」
「もう、いい加減にしてやってくれよ!」
「アルも2人を止めてやれよ!」
「……別に」
しかしルースとゴウテンの願いも虚しく、ジンとシオンの知る事なく、事細かに旅の間にあった出来事をミコトはマルシェとアルトワールに話し続けた。
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「いやぁ、いろんな話をしてくれてありがとう! すっごく楽しかった!」
店から出ると、ほくほく顔のマルシェがミコトに話しかけた。
「いえいえ、こっちも誰かに話したかったから丁度よかったわぁ」
「ああ、そっか。さすがにシオン君とジン君の話を2人には出来ないし、旅の面子には他に女の子がいないんだっけ」
「うん、そうなの。だから2人の初々しい話を誰かに話したくて話したくて。今日はマルシェさん達に会えてよかった」
「マルシェさんなんて堅苦しいから、マルシェでいいよぉ」
「本当? じゃあ、あたしのこともミコトって呼んでね。アルトワールさんも、アルトワールって呼んでもいいかな?」
「ええ、それで……」
「あ、この子はアルるんって呼んであげてね」
「分かった。よろしく、アルるん!」
「……よろしく」
楽しくおしゃべりを続けるマルシェ達の横で、ゴウテンにルースが話しかける。
「おい、ゴウテン」
「何だ?」
「ジンのフォローを頼んだ」
「……ああ。そっちもマルシェとやらのコントロールを頼んだぞ」
「……おう。必ず、出来れば、多分、頑張るよ」
「……お互い、惚れた女があんなんだと苦労するな」
「……分かるか。でもよぉ、そんなこと言うなよな。心が折れそうになるわ」
「全くだ。ははは!」
「あはは!」
2人は笑い合うも、その声が途切れる。
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