運び屋、はじめました。

木ノ下 朝陽

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「大学四年生当時の主人公、ウォーキングの支度をする。」

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その夜も、

夕御飯を済ませて、台所のテーブルの椅子に座ったまま、大伯母がこくりこくりしているのを横目で眺めながら、

食器を流しに運んで手早く洗い、端から流して水切りに重ね、

それから良く手を拭いて、

メモ帳の一番上のページに
「ウォーキングに行ってきます。心配しないで。」
という文章を、その日の日付けと共に、大伯母が読みやすいように、大きめの字で書き込んだ。


そして、手早く某海外スポーツブランドの半袖Tシャツと、夏物のトレーニングウェアの上下
(両方とも、その少し前に、最寄りのターミナル駅の駅ビルの中の、スポーツ用品店の夏物在庫処分市で購入)
に着替え、

汗を拭くためのハンカチやら、小銭入れやらを、その頃、ウォーキングの時にいつも身に付けていた、多分、元は男物の、マチの充分に取られた、大振りのウエストポーチの中に確認して、

スマートフォンと、たまたま冷蔵庫のポケットにあった、未開封の小さめのほうじ茶のペットボトルをハンドタオルでくるんだものを追加し、

ついでに、首筋の汗取りと、当座の顔周りの汗拭き用に、気に入りの手拭いを首に掛けて、

玄関で馴染みのスニーカーを履くと、外に出た。


外の闇は、熟れた西瓜のような匂いがした。

(夏の夜の匂いだ…)


家の門の外に出た私は、

まずはとりあえず脚に負担が掛からないように、
普段よりは幾分大股の、比較的ゆっくり目の速度で、

背筋と両膝を伸ばすのを心掛けながら歩き出した。
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