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第1章 チュートリアル
とあるゴブリンのお話
しおりを挟む油断していた
ただの雑魚だと思っていた
そもそもあの魔法の一撃も、自分が油断していたから直撃したのだ
自分の巣ならともかく、たとえここらにはスライムくらいしかモンスターがいないとしても、気を抜くべきではなかった
敵の力は未知数、自分より格下ということだけが分かっている
自分達も格上相手に戦い抜いて今の地位を得たのだ
だから、油断すべきではなかった
確実に両腕の骨を折った。その上、ダメージは内臓にまで伝わったはずだ
まさかまだ魔法を展開し、逃げるほどの体力が残っているとは思わなかった
最初は自分のメンツの問題だ
舐められたままで終わる訳には行かなかった
けど、皆には悪いが、これは最早種族の存亡を掛けた事態だ
あれが人の街に逃げ帰れば、今度こそ本気の討伐隊が来かねない
倒さなければならない
自分がみんなを巻き込んだ。それは分かっている
だから、責任を持って自分がケリをつけなければならない
ゴブリンは駆けた。今の自分の本気で草原を駆けた
あと少しで人間の街、倒すのはここがラストチャンス
奴の匂いは確実にこちらからしている。あと少しで追いつく
頼む、間に合え
草原を超え、地平線の彼方が見えて
このゴブリンが抱いた感情は、絶望でも、安堵でもなく
哀れみだった
「がっ、あっ、あぁぁぁぁ、ひぐっ、あっ、いでぇ、あっ、っぎっ!?あっ、ああああああああぁぁぁ……」
先程まで戦っていた……否、一方的な蹂躙であったが、だからこそ……人間の男が、最早その男は、戦士ではなかった
いや、そもそも、こうして近くで見ているからわかる事だが、彼は戦士ではなかった
魔法を使う同胞からこんな話を聞いたことがある
異世界からの転生者はあまりにも強力で、まともに戦っては絶対に勝てない
見たら逃げ出すか、転生したてで実力が出せないうちに殺さなければならないと
見分け方として、転生者はこの世界の人間と比べてあまりにも弱く映ると
柔らかい肌
筋肉がほとんどない腕、足
目に見える範囲に傷一つない
彼は、転生者が最初に手に入れる能力とやらで、一時的に戦士になっていたのだろう
そして、時間か、ダメージか、その一時的に戦士にする力は消えてしまったのだろう
折れた両腕に苦しむその姿は、もはやこれ以上見るに忍びなかった
ゴブリンは、腰の刀を抜いた
小さいが、人の首程度なら一撃で両断できる
ゴブリンは、少年の頭を押さえつけ、狙いを定めた
まるで人間が、まな板の上の魚の首を切り落とそうとするかのように
折れぬ心を失った少年への、慈悲の一撃
その一撃は
「ああ、待ってくれないか?」
膨大な魔力を放ち、現れた男に掴まれた
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