13 / 20
十一待十一本
しおりを挟む
「百一本さん、こんにちは。早速ですがここに来る前に街で色々に絡まれて襲われたので手当てしてください。それから撃退してきたので褒めてください」
とんだ挨拶ですねぇ、小坊主。座んな。
「導汐封です」
分かった分かった、導。座れ。薄い絹糸のれえすみたいな呪いが蜘蛛の巣みてえに絡まってら。効力は弱くとも、あぁたに見つからずに仕掛けられる呪いってえのを目指したんでしょうかねえ、でしょうがねえ。
「後をつけられたりGPSになる呪いを掛けられていると嫌なので、周囲を切り刻んでから来ました! どうです?」
うん、ざっくり途中で切れて追跡の糸も何も繋がっちゃいませんよ。酷ぇもんだ。何で切ったんです?
「前に百一本さんから教えてもらった、人の肝で釣れるかまいたちを使いました」
……色々間違ってやがるが、まあ良いでしょう。詳細は聞かねえぜ。で、戦利品がその荷物かい。
「はい! 色々持っていたので回収してきました。明らかに呪いや曰くがついているので、私が持っている方が安全ですから」
あっしが持ってればもっと安全ってわけだ。寄越しな。
「……危ない使い方はしないのに……」
そういうところだっつってんでしょうが。さぁて、ナイフにナイフに杭打ち機に杭に釘打ち機に釘に釘に釘に釘に鞭に旗に指輪に指輪に指輪に指輪に小瓶吊るした腰巻きにめりけんさっくに紡ぎ針。妙ですねえ。ほとんどが使いにくくても構わねえから、とりあえず呪いの重たい、高価なもんばっかりを集めたみたいに見えるが。
「素人の仕業ということですね?」
だったら素人集団が何でこんな呪いの品を持ってんのかって話になりやすがね。……。
おっと……こいつぁ重ぇな。流石のあっしでもこの量は持ちきれませんねえ。
「どれか私がお預かりしますよ」
悪いな、導。あっしの荷物はどれも飛び抜けた呪物でねぇ、あぁたに安心して預けられるもんが一つもありゃしないんですよ。
「一つも?」
ひとっつも。
よし、鷹っ子。断ち鋏だ。持ってな。
「危ない使い方はしないのに……」
『良いのか、焔先生』
勿論さ。留守番の間、持ってる事は誰にも言わずに、使うんじゃないぜ。
『分かったぞ!!』
さて、そんじゃ行くか、導。
「……百一本さんは都合良く私を使いますね」
飽き飽きしたかい?
「いいえ。遥々貴方の隣まで来た甲斐があったと思いますよ。愛おしくなりました」
そうかい。あぁたもぶれないねえ。
ととん、ととん、とととんっと。
さぁて、一里ほど軽く飛ばしてひと息。疲れちゃいないだろうがあぁたも休みな。情報共有といきやしょう。
「はい。とりあえず、ここ一年で『区域』内の不審死と神隠しは500件起きてました」
ぴったり500?
「人間1人を1件と数えてぴったり500です」
ははぁ、よく怪しまれないように隠したもんだ。そしてあぁたはいつの間に刑事のお友達こしらえたんだか。
「他県からの訪問者とか、他県に移動する途中での行方不明とかが多いみたいですよ。賢いですね」
この短い間にこんなに暴れんのは賢いのかねえ。次は?
「えーと、ここ1年の『区域』内での百鬼夜行の発生件数、3件。これ多いんですか?」
あっしの体感と同じですねぇ。少なすぎる。祭りに抗争、地震、派手な交通事故なんかで不意に始まるような騒ぎが3件だとよ。
「ああ、それは少ない。……てっきりこの界隈は物騒になっているのかと思っていたんですけど」
そうそ。特徴掴めてきたでしょう? 次。
「……導道祖教の近しい信者の中で、百一本さんに教えていただいた『踏み絵』に引っかかったのは五人です。全員死なないように気をつけて瞑想部屋に滞在頂いてます」
そんなもんか。
「拷問しますか?」
しねえ。現時点で分かってることは?
「あまり。一応喋った事は全て記録してありますが……うち一人は最初に『ソウサマ』と言ったっきり何も言いませんし」
ふっ、そうかいそうかい。他の奴は何て?
「あまり。私と百一本さんの事を罵倒したり、他の妖怪や物の怪を罵倒したり、連絡が無ければ組織が救出に来てくれるから閉じ込めても無駄だと笑ったり、月夜を待ってろと吠えたり。言葉で呪う能もないのに五月蝿いんですよね。ここ数日本部に彼らを助けるつもりがあるような襲撃は来てませんし、ここ数日ずっと月夜ですけど」
若いねえ。あっしは一言も喋らねえのと話がしてえかな。
「本当に一言も喋りませんよ。何をしても」
おい。拷問しねえって言っただろ。
「……もう何回かしてしまいました」
……ったく!
「あ、それから父が挨拶したいと」
はぁ?
「認めてもらう気は無かったのですが、自分に見破れる程度の雑魚に引っかかるのは止めろと五月蝿くて。一度会うのが話が早いと思うんですよね。父が雑魚なので適当に倒せます! 母は私に興味がないので大丈夫です」
……あぁたね。あっしは何かするときゃ筋を通したい方だが、この度は交際だのを認めてもらいに実家参りに行くんじゃあねえんですぜ。
「私もそんな気の早い事をと言ったんですが」
照れんな。休憩は終いだ、早く行かねえと情報源もあぁたの本拠地もとんでもない事になっちまう。
よく掴まってな。
とんっ、
っと。
「……………………来たぞ!」
「! かかれ!」
「汐封様、お許しを!」
命知らずがぞろりと並んでますねえ。面倒だ、あっしが先に行きますか。
あぁたら、その汐封に殺されたくなきゃあ早く退くが身のためですぜ!!!
「飛び込んできた!」
「刺したか?」
「速い! そっちに行ったぞ!」
「本当に頭が蝋燭の男よ!」
「汐封様は何しても死なないから気にせず攻撃しろー!」
「どこ? どっち? 何体?? 物理効く???」
「術の邪魔だから避けてよ!」
「えー、酷いなあ。大切にもてなして下さいって貴女方には言いましたよね?」
「! 汐封様! し、しかし、遠熾様が」
「罰として明日の昼の添い寝は無しですよ」
「そ、それは」
「貴女、そんな約束してたの?!」
「ちょっ、ちょっと待ってよ」
「今更誤魔化す気?」
「おいお前ら邪魔するな!」
「邪魔はそっちでしょ! 汐封様、後生ですう~~!」
「……汐封様、こいつらは放っておいてこちらに。あなた様を惑わす妖は私どもが退治いたします!」
「……五月蝿いなあ。何が起きているかも分からないのに、よくも私を守る気でいる」
「……え?! なんでここに汐封様が?!」
「は?」
「つい先ほど屋敷にお入りになったはずでは?」
「早くお戻りください!」
「どういう事? さっきからずっとここにいらしたのに」
「あれ? もしかして……」
「私の顔になった百一本さんは、さっき堂々と入っていきましたよ? ただただ庭を埋め尽くして、貴方達、何がしたいんですか?」
「遠熾様、報告です」
「ふん。汐封か?」
「はい、ご不満そうなお顔で屋敷にお戻りになりました。今は五人ほど付けて青浪の間に確保をば」
「本物か確かめたか?」
「はい?」
「ふん! 儂が行く。お前、代わりに外を見張れ」
「いえしかし……」
「ふんっ」
呪術に長けた者は痩せている事が多い。この導遠熾という男もそうで、浮かせた笹の葉に足を乗せて空を駆けるという特技を持っていた。体重の多い人間にはまずできない術だ。最近は屋敷の奥に籠りがちだが、遠い昔は列車の屋根とこれとで、誰よりも疾く商売敵を潰して回った。その経験が言っている。あの青二才の愚息は何か浅知恵を回している。
「ふん」
男は滑るかに屋敷を駆け抜け、青浪の間に着く。予想通り、障子戸の隙間からは得体の知れない匂いがした。この程度を見破れないうちは好き勝手させるわけにはいかないのだ。男は再び、「ふん」と息をつく。
さて、汐封に成り済ました蝋燭頭の奴をひっ捕まえてやらなければ。中で身構えているかもしれないが、そんなものに遅れを取りはしない!
「ふ、ん?」
……中には誰もいなかった。小さな小さな蝋の折り鶴が6羽、こてんと首を傾げて溶けた。
そりゃあね。だぁれがこんな面倒臭い汐封の策略に乗るかってんですよ。あぁたの父でしょうよ、憂さが雲に溜まって満々ってんならあぁたが雨でも雷でもぶちまけて晴らしな。ひとを使うんじゃねえ。……あっしが説教できた義理じゃないがね。
さて瞑想の間の、ここか。蝋燭頭が会いに来やしたぜ。
「っ!」
おいおい、無口って聞いてたんですがねえ? 目が随分物言ってんじゃありやせんか。なあ、「ソウ様」の信者どの。こんな若いとは聞いてなかったな。
「ぁ……」
道義だ何だを考えないとしたって、拷問なんざ気楽にするもんじゃないんですよ。何に怯えてんだかの区別がつきゃしねえ。
ま、あっしはあぁたの命の灯から心を読めますんでね。あぁたが単なる我慢強いのじゃないってのは知ってますぜ。
うっかり主人の名前喋っちまって。
その後ずうっと情報漏らしちまった事への制裁が怖くって黙ってただけだってのも、ようく分かってますぜ。
「! …………しに、死にたくない」
あぁはいよ、あぁた一人くれぇなら「ソウ様」から守ってやることもできますけどねぇ。
あぁた、代わりに何喋ってくださるんで?
「お、おれは……」
「百一本さん!!!」
……早ぇよ汐封。まだ話聞いてんでしょうが。
「父が邪魔で邪魔で、私がやってしまいました……」
最初っからそうしろ。ったく、こいつ運ぶの手伝いな。仕方がねぇから安全な所に置いてやる。
「百一本さんの家は駄目です!」
うるせ。あんな所じゃねえ。本当の安全な所さ。
さ、抱えて掴んでひとっ飛び。汐封、行きやすいように少し上へ扇ぎな。ああ、そうそう。笹の葉なんざ要りませんねえ。
「ど、どこに……」
託児所さ。
あぁた、子供で良かったですねぇ?
とんだ挨拶ですねぇ、小坊主。座んな。
「導汐封です」
分かった分かった、導。座れ。薄い絹糸のれえすみたいな呪いが蜘蛛の巣みてえに絡まってら。効力は弱くとも、あぁたに見つからずに仕掛けられる呪いってえのを目指したんでしょうかねえ、でしょうがねえ。
「後をつけられたりGPSになる呪いを掛けられていると嫌なので、周囲を切り刻んでから来ました! どうです?」
うん、ざっくり途中で切れて追跡の糸も何も繋がっちゃいませんよ。酷ぇもんだ。何で切ったんです?
「前に百一本さんから教えてもらった、人の肝で釣れるかまいたちを使いました」
……色々間違ってやがるが、まあ良いでしょう。詳細は聞かねえぜ。で、戦利品がその荷物かい。
「はい! 色々持っていたので回収してきました。明らかに呪いや曰くがついているので、私が持っている方が安全ですから」
あっしが持ってればもっと安全ってわけだ。寄越しな。
「……危ない使い方はしないのに……」
そういうところだっつってんでしょうが。さぁて、ナイフにナイフに杭打ち機に杭に釘打ち機に釘に釘に釘に釘に鞭に旗に指輪に指輪に指輪に指輪に小瓶吊るした腰巻きにめりけんさっくに紡ぎ針。妙ですねえ。ほとんどが使いにくくても構わねえから、とりあえず呪いの重たい、高価なもんばっかりを集めたみたいに見えるが。
「素人の仕業ということですね?」
だったら素人集団が何でこんな呪いの品を持ってんのかって話になりやすがね。……。
おっと……こいつぁ重ぇな。流石のあっしでもこの量は持ちきれませんねえ。
「どれか私がお預かりしますよ」
悪いな、導。あっしの荷物はどれも飛び抜けた呪物でねぇ、あぁたに安心して預けられるもんが一つもありゃしないんですよ。
「一つも?」
ひとっつも。
よし、鷹っ子。断ち鋏だ。持ってな。
「危ない使い方はしないのに……」
『良いのか、焔先生』
勿論さ。留守番の間、持ってる事は誰にも言わずに、使うんじゃないぜ。
『分かったぞ!!』
さて、そんじゃ行くか、導。
「……百一本さんは都合良く私を使いますね」
飽き飽きしたかい?
「いいえ。遥々貴方の隣まで来た甲斐があったと思いますよ。愛おしくなりました」
そうかい。あぁたもぶれないねえ。
ととん、ととん、とととんっと。
さぁて、一里ほど軽く飛ばしてひと息。疲れちゃいないだろうがあぁたも休みな。情報共有といきやしょう。
「はい。とりあえず、ここ一年で『区域』内の不審死と神隠しは500件起きてました」
ぴったり500?
「人間1人を1件と数えてぴったり500です」
ははぁ、よく怪しまれないように隠したもんだ。そしてあぁたはいつの間に刑事のお友達こしらえたんだか。
「他県からの訪問者とか、他県に移動する途中での行方不明とかが多いみたいですよ。賢いですね」
この短い間にこんなに暴れんのは賢いのかねえ。次は?
「えーと、ここ1年の『区域』内での百鬼夜行の発生件数、3件。これ多いんですか?」
あっしの体感と同じですねぇ。少なすぎる。祭りに抗争、地震、派手な交通事故なんかで不意に始まるような騒ぎが3件だとよ。
「ああ、それは少ない。……てっきりこの界隈は物騒になっているのかと思っていたんですけど」
そうそ。特徴掴めてきたでしょう? 次。
「……導道祖教の近しい信者の中で、百一本さんに教えていただいた『踏み絵』に引っかかったのは五人です。全員死なないように気をつけて瞑想部屋に滞在頂いてます」
そんなもんか。
「拷問しますか?」
しねえ。現時点で分かってることは?
「あまり。一応喋った事は全て記録してありますが……うち一人は最初に『ソウサマ』と言ったっきり何も言いませんし」
ふっ、そうかいそうかい。他の奴は何て?
「あまり。私と百一本さんの事を罵倒したり、他の妖怪や物の怪を罵倒したり、連絡が無ければ組織が救出に来てくれるから閉じ込めても無駄だと笑ったり、月夜を待ってろと吠えたり。言葉で呪う能もないのに五月蝿いんですよね。ここ数日本部に彼らを助けるつもりがあるような襲撃は来てませんし、ここ数日ずっと月夜ですけど」
若いねえ。あっしは一言も喋らねえのと話がしてえかな。
「本当に一言も喋りませんよ。何をしても」
おい。拷問しねえって言っただろ。
「……もう何回かしてしまいました」
……ったく!
「あ、それから父が挨拶したいと」
はぁ?
「認めてもらう気は無かったのですが、自分に見破れる程度の雑魚に引っかかるのは止めろと五月蝿くて。一度会うのが話が早いと思うんですよね。父が雑魚なので適当に倒せます! 母は私に興味がないので大丈夫です」
……あぁたね。あっしは何かするときゃ筋を通したい方だが、この度は交際だのを認めてもらいに実家参りに行くんじゃあねえんですぜ。
「私もそんな気の早い事をと言ったんですが」
照れんな。休憩は終いだ、早く行かねえと情報源もあぁたの本拠地もとんでもない事になっちまう。
よく掴まってな。
とんっ、
っと。
「……………………来たぞ!」
「! かかれ!」
「汐封様、お許しを!」
命知らずがぞろりと並んでますねえ。面倒だ、あっしが先に行きますか。
あぁたら、その汐封に殺されたくなきゃあ早く退くが身のためですぜ!!!
「飛び込んできた!」
「刺したか?」
「速い! そっちに行ったぞ!」
「本当に頭が蝋燭の男よ!」
「汐封様は何しても死なないから気にせず攻撃しろー!」
「どこ? どっち? 何体?? 物理効く???」
「術の邪魔だから避けてよ!」
「えー、酷いなあ。大切にもてなして下さいって貴女方には言いましたよね?」
「! 汐封様! し、しかし、遠熾様が」
「罰として明日の昼の添い寝は無しですよ」
「そ、それは」
「貴女、そんな約束してたの?!」
「ちょっ、ちょっと待ってよ」
「今更誤魔化す気?」
「おいお前ら邪魔するな!」
「邪魔はそっちでしょ! 汐封様、後生ですう~~!」
「……汐封様、こいつらは放っておいてこちらに。あなた様を惑わす妖は私どもが退治いたします!」
「……五月蝿いなあ。何が起きているかも分からないのに、よくも私を守る気でいる」
「……え?! なんでここに汐封様が?!」
「は?」
「つい先ほど屋敷にお入りになったはずでは?」
「早くお戻りください!」
「どういう事? さっきからずっとここにいらしたのに」
「あれ? もしかして……」
「私の顔になった百一本さんは、さっき堂々と入っていきましたよ? ただただ庭を埋め尽くして、貴方達、何がしたいんですか?」
「遠熾様、報告です」
「ふん。汐封か?」
「はい、ご不満そうなお顔で屋敷にお戻りになりました。今は五人ほど付けて青浪の間に確保をば」
「本物か確かめたか?」
「はい?」
「ふん! 儂が行く。お前、代わりに外を見張れ」
「いえしかし……」
「ふんっ」
呪術に長けた者は痩せている事が多い。この導遠熾という男もそうで、浮かせた笹の葉に足を乗せて空を駆けるという特技を持っていた。体重の多い人間にはまずできない術だ。最近は屋敷の奥に籠りがちだが、遠い昔は列車の屋根とこれとで、誰よりも疾く商売敵を潰して回った。その経験が言っている。あの青二才の愚息は何か浅知恵を回している。
「ふん」
男は滑るかに屋敷を駆け抜け、青浪の間に着く。予想通り、障子戸の隙間からは得体の知れない匂いがした。この程度を見破れないうちは好き勝手させるわけにはいかないのだ。男は再び、「ふん」と息をつく。
さて、汐封に成り済ました蝋燭頭の奴をひっ捕まえてやらなければ。中で身構えているかもしれないが、そんなものに遅れを取りはしない!
「ふ、ん?」
……中には誰もいなかった。小さな小さな蝋の折り鶴が6羽、こてんと首を傾げて溶けた。
そりゃあね。だぁれがこんな面倒臭い汐封の策略に乗るかってんですよ。あぁたの父でしょうよ、憂さが雲に溜まって満々ってんならあぁたが雨でも雷でもぶちまけて晴らしな。ひとを使うんじゃねえ。……あっしが説教できた義理じゃないがね。
さて瞑想の間の、ここか。蝋燭頭が会いに来やしたぜ。
「っ!」
おいおい、無口って聞いてたんですがねえ? 目が随分物言ってんじゃありやせんか。なあ、「ソウ様」の信者どの。こんな若いとは聞いてなかったな。
「ぁ……」
道義だ何だを考えないとしたって、拷問なんざ気楽にするもんじゃないんですよ。何に怯えてんだかの区別がつきゃしねえ。
ま、あっしはあぁたの命の灯から心を読めますんでね。あぁたが単なる我慢強いのじゃないってのは知ってますぜ。
うっかり主人の名前喋っちまって。
その後ずうっと情報漏らしちまった事への制裁が怖くって黙ってただけだってのも、ようく分かってますぜ。
「! …………しに、死にたくない」
あぁはいよ、あぁた一人くれぇなら「ソウ様」から守ってやることもできますけどねぇ。
あぁた、代わりに何喋ってくださるんで?
「お、おれは……」
「百一本さん!!!」
……早ぇよ汐封。まだ話聞いてんでしょうが。
「父が邪魔で邪魔で、私がやってしまいました……」
最初っからそうしろ。ったく、こいつ運ぶの手伝いな。仕方がねぇから安全な所に置いてやる。
「百一本さんの家は駄目です!」
うるせ。あんな所じゃねえ。本当の安全な所さ。
さ、抱えて掴んでひとっ飛び。汐封、行きやすいように少し上へ扇ぎな。ああ、そうそう。笹の葉なんざ要りませんねえ。
「ど、どこに……」
託児所さ。
あぁた、子供で良かったですねぇ?
0
あなたにおすすめの小説
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる