恋も剣も本気です!青春剣士たちのラブ・グラディエーション ~気が付くとは~れむ状態!?~

てんちょう

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第3章 剣術部非常事態宣言発令中、蒼穹の罪

愛して欲しい、それだけで

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「朱里ちゃん、待たせてごめんね。奏ちゃんは今回は置いていくわ。だから、一緒に行こう。」
 聖歌がそう声をかけると、朱里は頷いて言った。

「うん。でもね、修輔兄も呼んであるの。晃介くんが絡んでるなら、絶対に必要だから。」
 その言葉に、聖歌は驚きつつも納得したように笑った。

「でも、あの忙しい修輔くんを、よく呼べたわね。」
 すると朱里はさらりと恐ろしいことを口にした。

「修輔兄は、私の命令は絶対なの。今日来なかったら家に入れないって、先に伝えておいたの。」
 それを聞いて、聖歌は心の中でため息をついた。

『やっぱり修輔くん、朱里ちゃんに完全に振り回されてるわね。なんだか不憫になってくる……。』

 そんな会話をしながら、ふたりはある部屋の前にたどり着いた。

「ここね……今、いるかしら。」
 朱里が気にするように呟くと、聖歌が静かに答える。

「今日は日曜日だから、ドローンは目的の相手の居場所を追跡してる。少なくとも、蒼穹ちゃんは中にいるはずよ。」

 そのとき、閉ざされた窓の隙間から、かすかに少女の声が漏れ聞こえてきた。

「先生……どうして私じゃダメなの? 私、先生のこと好きなのに……。私が来てから、全然、触れてくれないじゃない……。お母さんのこと、そんなに大事なの? 私、お母さんにそっくりな顔してるのに……先生が愛した霞朱里と、同じ顔なのに……。」

 その声に、聖歌も朱里も息を呑んだ。
 部屋の中で、蒼穹は誰かに――いや、おそらく片桐晃介に向かって想いをぶつけていた。朱里に慕っていた少年、そして過去に彼女と一度だけ関係を持った青年。

「蒼穹さん、私は……君をここに置いていること自体、大きなリスクを背負っているんだ。教師と生徒が一線を越えるなんてことになれば……取り返しがつかない。だから、君には帰ってほしい。」

 晃介の声も、間違いなくそこにあった。

「関係ない! 先生に迷惑がかかるなら、学校を辞める。そしたらもう、生徒じゃない。だから……お願い。先生を、私を愛して。先生じゃないと……私はもう、生きていけないの……。」

 次の瞬間、部屋の中で何かが乱れた音がした。服を脱ぐような気配。
「蒼穹さん、なにを……服を着なさい。そんなことをしても、私は君に応えることはできない。早く、服を……!」

 晃介の必死な声が、外にいる二人にもはっきりと届いた。

「いや。私は先生の子どもが欲しい。それが叶うなら、辞めたりしない。」

 そのとき、室内から重い物音が響き、朱里が素早くインターホンを鳴らした。

「誰か来た……! これを、早く着なさい!」

 ほどなくして、インターホン越しに晃介の声がした。

「ど、どちら様ですか……。」

 朱里は冷静に、けれど厳しい声で応えた。

「晃介君、朱里です。そこに、うちのバカ娘がいますよね。開けてください。」

 数秒後、玄関のカギが開き、中から現れたのは――まだ若さの残る、20代の晃介だった。

「朱里さん……すみません! 私は……誓って蒼穹ちゃんには手を出していません。信じてください!」

 彼は玄関を開けるなり、土下座して頭を下げた。

「分かってます。うちの蒼穹が迷惑をかけて、本当に申し訳ありません。」
 朱里の声は冷たく張り詰めていた。
「蒼穹、出てきなさい!」

 中から現れた蒼穹は、ぶかぶかのシャツを羽織っただけの姿だった。
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