恋も剣も本気です!青春剣士たちのラブ・グラディエーション ~気が付くとは~れむ状態!?~

てんちょう

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第9章 恭弥争奪戦!

友情と恋の嫉妬の狭間で(2)――もう友達と呼べない――

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視線が泳ぎ、語尾がかすれ、決定的な否定を口にしない――その様子を見た瞬間、聖奈の中で、疑念は確信へと変わった。

「……咲……、そっか、もう“咲”って呼び捨てで呼ぶほど仲良しになったんだね。こないだ恭弥のメールで、咲って名前を見たときから、嫌な予感はしてたの。」

聖奈の目がじわりと細まり、唇がわなわなと震える。裏切られたことへの悲しみと、言葉にできないほどの苦しさが滲み出たものだった。それと同時に押し殺した怒りと、こみ上げる悔しさが、目の奥で冷たく光っていた。

そんな聖奈に向かって、咲は一歩踏み出し、あえて開き直るように言った。

「聖奈って、そう言うところは、ほんと鋭いよね。恭弥の気持ちにはまったく気づかなかったくせに。そうね……。恭弥との距離は、もう“友達以上”の関係になっちゃったかも。……ほんの少しだけ、その“ちょっと”を踏み込むことが大事なんでしょ?まあ、そう言うことよ。よく分かった?」

その言葉を聞いた瞬間、聖奈の表情が歪んだ。目の奥に怒りと悔しさが込み上げ、唇がわずかに震える。しばらく黙ったまま、冷たい空気が二人の間を満たしていた。

「……咲。あなた、自分が何をしたか分かってるの?」
聖奈の声は低く、まるで鋭い刃のように切り裂けるようだった。

「私がどれだけ恭弥を想ってきたか、知ってるでしょ? それなのに、あんたは……!」

その言葉には、長い間抱えてきた感情が一気に爆発したかのような激しいものが込められていた。恭弥との絆を壊される恐怖と、自分の気持ちが無視されたことへの苛立ちが、彼女の言葉からにじみ出ていた。

咲の冷静な答えが、聖奈の心に鋭く突き刺さる。

「ええ、知ってるわよ。でも……これまで、好きって気持ちを伝えられないまま、ずっと恭弥を放置してたじゃない。
それで今さら、“気持ちを伝えました”とか、“だから私のこと大事にして”なんて言っても、“ただそばにいられればそれでいい”なんて、そんなの――恋人じゃない。
それって、ただのわがままでしょ?」

その言葉が、聖奈の胸を強く締めつけた。怒りの奥底で、抑え込んでいた不安や疑問が次々に顔を出し、心のバランスが崩れていく。どうしようもない動揺が胸の内を満たしていく。

「私も先に一歩踏み出しただけ。それで恭弥の気持ちを掴んだの。……それの、どこが悪いの? 私は素直に気持ちを伝えたの。それだけよ。聖奈がどう思ってたとしても、言葉にしなきゃ伝わらないでしょ? 私は……ただ、恭弥にちゃんと向き合った。それだけのこと。」

 その言葉が、聖奈の胸を容赦なく突き刺した。
 咲の声は静かだったけれど、その静けさがかえって聖奈の心をかき乱した。

 ──私は……恭弥と、やっと想いが通じ合ったばかりなのに。

 幼い頃から、ずっと一緒にいた。笑って、喧嘩して、何でも分かり合えると思ってた。でもそれは「家族」としての距離でしかなくて。
 恋としての気持ちを意識したのは、ほんの一、二ヶ月前のこと。勇気を出して告白して、やっと付き合うことができて。二人で少しずつ、大切に関係を育てていこうって……そう思ってたのに。

 たった二週間で、こんなにも簡単に壊れてしまうの……?

 胸の奥で何かがきしむ音がした。信じたい気持ちと、目の前の現実に挟まれて、心がズタズタになっていく。

 「……ふざけないで……私が、どれだけ勇気を出して、どれだけ恭弥を想ってきたか……!」

 聖奈の声は震えていた。それは怒りからじゃない。どうしようもなく溢れそうな、不安と、悲しみと、悔しさからだった。

「咲っ……!」

怒りが限界に達し、聖奈が声を荒げかけたその瞬間――
重い沈黙を破るように、恭弥が口を開いた。

「咲、なんでそんなこと言うんだよ!違うだろう!」

恭弥の言葉は、咲を守ろうとするような必死さを感じさせた。その姿に、聖奈の目がわずかに細まった。
(恭弥……あなた、何も分かってない。どうしてそんなに必死なの? どうして私じゃダメだったの?)

「……そうか。じゃあ、恭弥の方から……。そうだよね。だって、私たちは“姉弟”なんだから……。」
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