恋も剣も本気です!青春剣士たちのラブ・グラディエーション ~気が付くとは~れむ状態!?~

てんちょう

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第12章 旭日中学剣術部の恋愛事情 後編

ラブ・トレ・ミッション!恭弥と茜のゼログラ合宿① ~重力よりも強い気持ち、君に近づきたくて~

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恭弥と茜は、それぞれ異なるバーチャル空間でトレーニングを続けていた。
恭弥は重力が増した状態で下半身の強化に集中し、茜は遠くの的を狙う長距離型の技に取り組んでいた。

(えっ、もしかして今、私……恭弥君と二人きりで練習してる? こんなこと……夢みたい。あ~……このまま時間、止まってくれないかな……)

重力空間のなか、茜は浮かれた気持ちを必死に抑えながらも、なかなかうまく動けない自分に苦戦していた。思うように前に出られず、いつも通りにフェンリルを振ろうとしても、腕が上がらない。

(それにしても……恭弥君、どうしてあんなに普通に動けるの? あんな重力の中で……)

遠くから咲が笹山と紺野の相手をしているのが見える。そんな様子を横目に、茜は自分の鈍さにため息をこぼしそうになった。

「茜、やっぱりきついか?」

突然、すぐそばから恭弥の声がした。

「えっ、う、ううん。大丈夫。……でも恭弥君って、本当すごいよね。なんでこんな重力の中でも動けるの? コツとかあるの?」

尋ねる茜に、恭弥は少し笑いながら答えた。

「コツってほどでもないけど……たぶん、慣れたんだと思う。何かひとつやるたびに、強くなってるって実感できるからさ。今がどんなに苦しくても、それが必ず力になるって思えるんだ。そう思うと、毎日が楽しくてさ。苦しさも、成長の一部に思えてくる。」

その言葉に、茜の胸がふわりと熱くなった。

(……この人、本当に……強いな。優しくて、まっすぐで。だから、憧れちゃうんだ……)

「恭弥君って、どうしてそんなに頑張れるの? なんで、いつも前を向いていられるの?」

茜の声は、少し震えていた。

「私は……ずっと“やらされて”ばかりだった。結果が出せなきゃ意味がない、って。『月華に勝てないなら辞めろ』とか、『レギュラーを逃したら、価値がない』とか。いつも誰かの言葉が重くのしかかってきて……でも、今だけは、違う気がしてる。」

目に涙を浮かべながら、それでもまっすぐに語る茜の姿を、恭弥は真剣なまなざしで受け止めていた。

「……そうだったんだ。だから、あんなに月華に強く当たってたんだな。」

恭弥は静かにうなずきながら続けた。

「剣術は、もちろん結果も大事だ。でも、辛さが全部になっちゃったら、もったいない。剣を持ったときの“わくわく”って、あっただろ?」

「わくわく……?」

恭弥に聞かれて、茜はハッとしたように目を見開いた。

「うん……あった。父様や兄様の姿に憧れて、私もやりたいって思って。……フェンリルをもらったとき、本当に嬉しくて、ずっと抱いて寝てたっけ。」

そう言って、茜はフェンリルを見つめた。

「俺も、朱星光月暁をもらったときはそうだったよ。すっごく嬉しくて、夜も手放したくなくて。寝るときも一緒だった。」

恭弥の言葉に、茜の顔に笑みが戻った。

「私と一緒だ……。私も、フェンリルを取り上げられそうになって、大泣きして……朝まで放さなかったっけ。」

「今の茜の顔、すごくいいと思うよ。その笑顔で訓練に取り組んだら、もっと良い結果が出せるはず。」

恭弥のまっすぐな言葉に、茜は頷いた。

「うん……ありがとう、恭弥君。なんか、元気出てきた。今日一日、頑張れる気がする!」

「無理はしすぎないでね。この重力ルーム、終わったあとに一気に反動がくるから。俺も前に咲とやった時、動けなくなって、めっちゃ迷惑かけたし。」

「えっ、そんなことあったんだ?」

「うん……だから、手伝えることがあれば遠慮なく言って。俺も手伝うから。」

そう言って、恭弥はふたたび自分のトレーニングに戻っていった。

(……恭弥君、やっぱり優しい。優しすぎるよ。こんなの、惹かれないわけないじゃない……)

茜はそう思いながら、少しだけ熱くなった顔を隠すようにフェンリルを構えた。

その後――

茜は基礎トレーニングを終えると、苦手な遠距離技の習得に集中した。
だが、距離が開くほどに命中率は落ち、フェンリルの刃も安定しない。何度も姿勢が崩れ、恭弥とは違って力の出力がうまく伝わらなかった。

(くっ……まだ、全然ダメ……でも、今日は……最後まで諦めたくない!)

握ったフェンリルに、自然と力が入る。重力に引かれながらも、それでも前へ進もうとするその姿に、確かな変化が生まれ始めていた。
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