205 / 448
第12章 旭日中学剣術部の恋愛事情 後編
ラブ・トレ・ミッション!恭弥と茜のゼログラ合宿① ~重力よりも強い気持ち、君に近づきたくて~
しおりを挟む
恭弥と茜は、それぞれ異なるバーチャル空間でトレーニングを続けていた。
恭弥は重力が増した状態で下半身の強化に集中し、茜は遠くの的を狙う長距離型の技に取り組んでいた。
(えっ、もしかして今、私……恭弥君と二人きりで練習してる? こんなこと……夢みたい。あ~……このまま時間、止まってくれないかな……)
重力空間のなか、茜は浮かれた気持ちを必死に抑えながらも、なかなかうまく動けない自分に苦戦していた。思うように前に出られず、いつも通りにフェンリルを振ろうとしても、腕が上がらない。
(それにしても……恭弥君、どうしてあんなに普通に動けるの? あんな重力の中で……)
遠くから咲が笹山と紺野の相手をしているのが見える。そんな様子を横目に、茜は自分の鈍さにため息をこぼしそうになった。
「茜、やっぱりきついか?」
突然、すぐそばから恭弥の声がした。
「えっ、う、ううん。大丈夫。……でも恭弥君って、本当すごいよね。なんでこんな重力の中でも動けるの? コツとかあるの?」
尋ねる茜に、恭弥は少し笑いながら答えた。
「コツってほどでもないけど……たぶん、慣れたんだと思う。何かひとつやるたびに、強くなってるって実感できるからさ。今がどんなに苦しくても、それが必ず力になるって思えるんだ。そう思うと、毎日が楽しくてさ。苦しさも、成長の一部に思えてくる。」
その言葉に、茜の胸がふわりと熱くなった。
(……この人、本当に……強いな。優しくて、まっすぐで。だから、憧れちゃうんだ……)
「恭弥君って、どうしてそんなに頑張れるの? なんで、いつも前を向いていられるの?」
茜の声は、少し震えていた。
「私は……ずっと“やらされて”ばかりだった。結果が出せなきゃ意味がない、って。『月華に勝てないなら辞めろ』とか、『レギュラーを逃したら、価値がない』とか。いつも誰かの言葉が重くのしかかってきて……でも、今だけは、違う気がしてる。」
目に涙を浮かべながら、それでもまっすぐに語る茜の姿を、恭弥は真剣なまなざしで受け止めていた。
「……そうだったんだ。だから、あんなに月華に強く当たってたんだな。」
恭弥は静かにうなずきながら続けた。
「剣術は、もちろん結果も大事だ。でも、辛さが全部になっちゃったら、もったいない。剣を持ったときの“わくわく”って、あっただろ?」
「わくわく……?」
恭弥に聞かれて、茜はハッとしたように目を見開いた。
「うん……あった。父様や兄様の姿に憧れて、私もやりたいって思って。……フェンリルをもらったとき、本当に嬉しくて、ずっと抱いて寝てたっけ。」
そう言って、茜はフェンリルを見つめた。
「俺も、朱星光月暁をもらったときはそうだったよ。すっごく嬉しくて、夜も手放したくなくて。寝るときも一緒だった。」
恭弥の言葉に、茜の顔に笑みが戻った。
「私と一緒だ……。私も、フェンリルを取り上げられそうになって、大泣きして……朝まで放さなかったっけ。」
「今の茜の顔、すごくいいと思うよ。その笑顔で訓練に取り組んだら、もっと良い結果が出せるはず。」
恭弥のまっすぐな言葉に、茜は頷いた。
「うん……ありがとう、恭弥君。なんか、元気出てきた。今日一日、頑張れる気がする!」
「無理はしすぎないでね。この重力ルーム、終わったあとに一気に反動がくるから。俺も前に咲とやった時、動けなくなって、めっちゃ迷惑かけたし。」
「えっ、そんなことあったんだ?」
「うん……だから、手伝えることがあれば遠慮なく言って。俺も手伝うから。」
そう言って、恭弥はふたたび自分のトレーニングに戻っていった。
(……恭弥君、やっぱり優しい。優しすぎるよ。こんなの、惹かれないわけないじゃない……)
茜はそう思いながら、少しだけ熱くなった顔を隠すようにフェンリルを構えた。
その後――
茜は基礎トレーニングを終えると、苦手な遠距離技の習得に集中した。
だが、距離が開くほどに命中率は落ち、フェンリルの刃も安定しない。何度も姿勢が崩れ、恭弥とは違って力の出力がうまく伝わらなかった。
(くっ……まだ、全然ダメ……でも、今日は……最後まで諦めたくない!)
握ったフェンリルに、自然と力が入る。重力に引かれながらも、それでも前へ進もうとするその姿に、確かな変化が生まれ始めていた。
恭弥は重力が増した状態で下半身の強化に集中し、茜は遠くの的を狙う長距離型の技に取り組んでいた。
(えっ、もしかして今、私……恭弥君と二人きりで練習してる? こんなこと……夢みたい。あ~……このまま時間、止まってくれないかな……)
重力空間のなか、茜は浮かれた気持ちを必死に抑えながらも、なかなかうまく動けない自分に苦戦していた。思うように前に出られず、いつも通りにフェンリルを振ろうとしても、腕が上がらない。
(それにしても……恭弥君、どうしてあんなに普通に動けるの? あんな重力の中で……)
遠くから咲が笹山と紺野の相手をしているのが見える。そんな様子を横目に、茜は自分の鈍さにため息をこぼしそうになった。
「茜、やっぱりきついか?」
突然、すぐそばから恭弥の声がした。
「えっ、う、ううん。大丈夫。……でも恭弥君って、本当すごいよね。なんでこんな重力の中でも動けるの? コツとかあるの?」
尋ねる茜に、恭弥は少し笑いながら答えた。
「コツってほどでもないけど……たぶん、慣れたんだと思う。何かひとつやるたびに、強くなってるって実感できるからさ。今がどんなに苦しくても、それが必ず力になるって思えるんだ。そう思うと、毎日が楽しくてさ。苦しさも、成長の一部に思えてくる。」
その言葉に、茜の胸がふわりと熱くなった。
(……この人、本当に……強いな。優しくて、まっすぐで。だから、憧れちゃうんだ……)
「恭弥君って、どうしてそんなに頑張れるの? なんで、いつも前を向いていられるの?」
茜の声は、少し震えていた。
「私は……ずっと“やらされて”ばかりだった。結果が出せなきゃ意味がない、って。『月華に勝てないなら辞めろ』とか、『レギュラーを逃したら、価値がない』とか。いつも誰かの言葉が重くのしかかってきて……でも、今だけは、違う気がしてる。」
目に涙を浮かべながら、それでもまっすぐに語る茜の姿を、恭弥は真剣なまなざしで受け止めていた。
「……そうだったんだ。だから、あんなに月華に強く当たってたんだな。」
恭弥は静かにうなずきながら続けた。
「剣術は、もちろん結果も大事だ。でも、辛さが全部になっちゃったら、もったいない。剣を持ったときの“わくわく”って、あっただろ?」
「わくわく……?」
恭弥に聞かれて、茜はハッとしたように目を見開いた。
「うん……あった。父様や兄様の姿に憧れて、私もやりたいって思って。……フェンリルをもらったとき、本当に嬉しくて、ずっと抱いて寝てたっけ。」
そう言って、茜はフェンリルを見つめた。
「俺も、朱星光月暁をもらったときはそうだったよ。すっごく嬉しくて、夜も手放したくなくて。寝るときも一緒だった。」
恭弥の言葉に、茜の顔に笑みが戻った。
「私と一緒だ……。私も、フェンリルを取り上げられそうになって、大泣きして……朝まで放さなかったっけ。」
「今の茜の顔、すごくいいと思うよ。その笑顔で訓練に取り組んだら、もっと良い結果が出せるはず。」
恭弥のまっすぐな言葉に、茜は頷いた。
「うん……ありがとう、恭弥君。なんか、元気出てきた。今日一日、頑張れる気がする!」
「無理はしすぎないでね。この重力ルーム、終わったあとに一気に反動がくるから。俺も前に咲とやった時、動けなくなって、めっちゃ迷惑かけたし。」
「えっ、そんなことあったんだ?」
「うん……だから、手伝えることがあれば遠慮なく言って。俺も手伝うから。」
そう言って、恭弥はふたたび自分のトレーニングに戻っていった。
(……恭弥君、やっぱり優しい。優しすぎるよ。こんなの、惹かれないわけないじゃない……)
茜はそう思いながら、少しだけ熱くなった顔を隠すようにフェンリルを構えた。
その後――
茜は基礎トレーニングを終えると、苦手な遠距離技の習得に集中した。
だが、距離が開くほどに命中率は落ち、フェンリルの刃も安定しない。何度も姿勢が崩れ、恭弥とは違って力の出力がうまく伝わらなかった。
(くっ……まだ、全然ダメ……でも、今日は……最後まで諦めたくない!)
握ったフェンリルに、自然と力が入る。重力に引かれながらも、それでも前へ進もうとするその姿に、確かな変化が生まれ始めていた。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる