恋も剣も本気です!青春剣士たちのラブ・グラディエーション ~気が付くとは~れむ状態!?~

てんちょう

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第13章 全力勝負、テストも恋も、頭脳バトルで異状あり!

後日談②~夜を越えて、また剣を交わす――それぞれの一歩~

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月華と月詠の部屋は、他の部屋に比べて妙に静かだった。

窓から入る月明かりがベッドの端を照らし、白いカーテンがエアコンの風にふわりと揺れている。月詠は部屋の片隅で着替えを終えると、視線をそっと月華に向けた。

「……月華、こっち来いよ。ベッド、狭いけどさ。」

「あ……うん。ありがと。」

小さな声で返事をして、月華はベッドへと近づいた。並んで座ると、自然と距離が詰まり、月詠が気まずそうに頭を掻く。

「……別に、無理に喋らなくていいけどさ。なんか、こうやって向き合うの、久しぶりだな。」

「そうだね。家だと、つい……それぞれのことに夢中になっちゃって。」

それ以上は言葉にせず、二人は並んだまま天井を見つめた。カーテンの隙間から見える星が、少しずつ形を変えていく。

「……月詠。」

「ん?」

「今日は、一緒に寝ても……いい?」

「ああ、もちろん。」

静かに言葉を交わすと、二人はそっと布団を引き寄せて並んで横になった。触れるか触れないかの距離を保ちながらも、お互いの呼吸が心地よいリズムを刻んでいた。



日下部と香織の部屋では、もっと静かな時間が流れていた。

ギリギリのサイズのベッドに横並びで座りながら、香織はタオルを両手で握りしめていた。その手の甲は、ほんのり赤い。

「……ベッド、せまいね。」

香織がぼそりとつぶやいた。

日下部は少し黙ったあと、静かにうなずく。

「ああ。でも……文句はない。」

香織はその一言に、ふっと笑みを浮かべる。こうして並んでいるだけなのに、胸が少しだけ高鳴っていた。

「……ありがと。優しいね、やっぱり。」

「別に……普通だろ。」

顔をそむけながらも、その頬はわずかに紅潮していた。香織も、安心したように目を閉じる。そっと並んで横になり、静かな夜に包まれていった。



そして、朝。

恭弥が目を覚ましたとき、視界いっぱいに見えたのは――ふわりと広がった金色の髪だった。

「……せ、聖奈……?」

「……んん……おはよ、恭弥……。」

小さく寝返りを打った拍子に、今度は背中側からぴとりと寄り添う感覚。咲だった。

「うーん……まだ寝てたい……。」

そして――足元からそっとくすぐるような感触。

「……茜も、いるのか……」

ぎゅっとベッドの端に追いやられながらも、心地よい体温に包まれている。幸せという名の重圧。それが、今の恭弥の朝だった。

(……俺、今日起きたら一人になってるとか、そういう展開だと思ってたのに……。)

諦めたような、でもどこか満ち足りた笑みを浮かべて、恭弥はもう一度目を閉じた。

――7月の朝の陽射しがカーテンの隙間から差し込む頃、姫香の部屋にはほんのりと甘い空気が漂っていた。

「……おはよう、冬季。」

柔らかく微笑む姫香が、すぐ隣で目を覚ました冬季の顔を覗き込む。ふと見下ろせば、腕と腕が自然と絡み合っていて、どちらが先に触れたのかもわからないくらい、距離が近かった。

「……お、おう……なんか……近いな。」

頬を染めて目を逸らす冬季に、姫香はくすりと笑いながら、もう少しだけ、その距離を保つ。

一方その頃、笹山と沙良の部屋では、やや緊張感のある沈黙が続いていた。

「……おはよう。」

ぽつりと沙良が呟く。その声に反応した笹山も、小さく頷いた。

「うん……おはよう。」

ベッドは二人でギリギリのサイズ。お互いを気遣って身体をずらすたびに、微かな温もりが伝わってきて、言葉にならない感情が胸の奥をくすぐった。

月詠と月華はというと、いつも通りの落ち着いた朝を迎えていた。

「……もう朝だな、月華。」

「うん。……静かだね。」

普段から一緒に暮らしている二人にとって、この朝の空気も、特別ではないけれど、どこか心地よい。軽く言葉を交わしながら、ふたりは自然と視線を交わす。その一瞬が、何よりの安心感だった。

そして、日下部と香織の部屋では――

「……うふふ、日下部くんの寝相、意外と可愛いんだよね。」

布団から顔を出した香織が、そっと日下部のほうに体を向けた。無表情に見えて、どこか優しげな寝顔に、彼女の頬がふんわり染まっていく。

「……おはよう。今日も、いい日になるといいね。」

小さく囁いたその声は、朝の光の中に、そっと溶けていった。

朝の気配が全ての部屋にゆっくりと広がり、参加者それぞれが少しずつ日常のリズムを取り戻していく。

練習着の袖を通す音が廊下のあちこちから聞こえてくる頃――
再び、剣術部の練習が始まった。

幻想の夜を越えて、心も体も少しだけ成長した仲間たちが、また一歩前に進み出す。

今日も、それぞれの剣が交わる。

その刃先には、昨夜よりもほんの少し、確かな決意の光が宿っていた――。
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