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第17章 聖奈の完全敗北と喜べない女子団体優勝
大将戦目前~それは聖奈の敗北を意味する~
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咲の勝利で逆転に成功した旭日中学女子メンバーたちは、このまま勝利を掴むものだと信じて疑わなかった。
それは――大将・綾野聖奈が控えているから。
これまで積み上げてきた連勝記録、その存在こそが、誰にとっても勝利の保証だった。
「そう言えば、綾野聖奈ってこの試合に勝てば、連勝が100勝だろ。……その瞬間を見れるなんて、俺ラッキーだな。」
観客席の一角からそんな声が上がると、周囲もざわめき立った。
だが、その熱気の中、ただ一人――綾野恭弥だけが、別の空気を纏っていた。
彼は最上階の席の手すりに両手を置き、ぎゅっと握りしめていた。だがその手は、聖奈の百勝に期待する声が飛び交うたびに、小刻みに震え出していた。
「どうしたんだ、恭弥。……お前がそんな顔をするのは、おかしいぜ。」
隣に座る月詠が異変に気付き、声をかける。
恭弥は目を伏せながら、ぽつりと呟いた。
「……今日、聖奈が負ける。」
その言葉は、まるで空気を凍らせるようだった。
「おいおい、冗談も大概にしろよ。あの綾野だぞ?」
影山が笑い飛ばそうとするが、恭弥の瞳を見て、言葉を飲み込む。
主将・氷堂凍夜が前のめりに身を乗り出した。
「怪我でもしてるのか? 綾野は万全じゃないのか?」
恭弥は首を横に振り、震える声で答えた。
「実力で負ける。……今日はもう、心が折れてるんだ。」
誰も、最初は信じられなかった。
「聖奈は、弱音を誰にも見せない。……でも、最近の試合、内容を見ていればわかる。
勝ってはいても、明らかに調子を崩していた。……今日は特に酷い。最初から、相手の圧に押されてる。まるで、自分を守るために戦ってるような顔だ。」
月詠は目を見開き、囁いた。
「……嘘だろ。」
少し離れた場所では、奏と朱璃がじっと聖奈の姿を見つめていた。
「奏さん……聖奈ちゃん、怯えてるように見える。あれって、作戦じゃないの?」
朱璃の問いに、奏は一瞬言葉に詰まったが、視線を逸らさず静かに言う。
「作戦なら、それでいい。でも、私は……どんな聖奈でも、最後まで見届ける。それが、今ツアー中の聖歌ちゃんの願いだから。」
聖奈の家族たちも、静かに彼女を見守っていた。
兄の聖夜、姉の恭歌――そして凪沙も、聖奈の異変を感じ取っていた。
「ねえ、朝陽姉ぇ……聖奈、なんかおかしくない? こんなに緊張してるの、見たことないよ……。」
凪沙の問いに、朝陽は答えなかった。
目を伏せたまま、ただ拳を握っていた。
その特別席――つぐみと恭介もまた、聖奈の様子に沈黙していた。
「恭介……何か、できないの? 聖奈ちゃんにアドバイスとか……」
つぐみが切なげに問う。
恭介はほんの僅かに首を振り、静かに言った。
「……昨日の夜、聖奈が俺の部屋に来たんだ。何か言いたげだった。でも、何も言わずに……帰っていった。
だから俺は、見守ると決めた。今は――それが、聖奈との約束だから。」
そして、会場が再び静寂に包まれる。
綾野聖奈の試合。
その始まりが、今、迫っていた。
それは――大将・綾野聖奈が控えているから。
これまで積み上げてきた連勝記録、その存在こそが、誰にとっても勝利の保証だった。
「そう言えば、綾野聖奈ってこの試合に勝てば、連勝が100勝だろ。……その瞬間を見れるなんて、俺ラッキーだな。」
観客席の一角からそんな声が上がると、周囲もざわめき立った。
だが、その熱気の中、ただ一人――綾野恭弥だけが、別の空気を纏っていた。
彼は最上階の席の手すりに両手を置き、ぎゅっと握りしめていた。だがその手は、聖奈の百勝に期待する声が飛び交うたびに、小刻みに震え出していた。
「どうしたんだ、恭弥。……お前がそんな顔をするのは、おかしいぜ。」
隣に座る月詠が異変に気付き、声をかける。
恭弥は目を伏せながら、ぽつりと呟いた。
「……今日、聖奈が負ける。」
その言葉は、まるで空気を凍らせるようだった。
「おいおい、冗談も大概にしろよ。あの綾野だぞ?」
影山が笑い飛ばそうとするが、恭弥の瞳を見て、言葉を飲み込む。
主将・氷堂凍夜が前のめりに身を乗り出した。
「怪我でもしてるのか? 綾野は万全じゃないのか?」
恭弥は首を横に振り、震える声で答えた。
「実力で負ける。……今日はもう、心が折れてるんだ。」
誰も、最初は信じられなかった。
「聖奈は、弱音を誰にも見せない。……でも、最近の試合、内容を見ていればわかる。
勝ってはいても、明らかに調子を崩していた。……今日は特に酷い。最初から、相手の圧に押されてる。まるで、自分を守るために戦ってるような顔だ。」
月詠は目を見開き、囁いた。
「……嘘だろ。」
少し離れた場所では、奏と朱璃がじっと聖奈の姿を見つめていた。
「奏さん……聖奈ちゃん、怯えてるように見える。あれって、作戦じゃないの?」
朱璃の問いに、奏は一瞬言葉に詰まったが、視線を逸らさず静かに言う。
「作戦なら、それでいい。でも、私は……どんな聖奈でも、最後まで見届ける。それが、今ツアー中の聖歌ちゃんの願いだから。」
聖奈の家族たちも、静かに彼女を見守っていた。
兄の聖夜、姉の恭歌――そして凪沙も、聖奈の異変を感じ取っていた。
「ねえ、朝陽姉ぇ……聖奈、なんかおかしくない? こんなに緊張してるの、見たことないよ……。」
凪沙の問いに、朝陽は答えなかった。
目を伏せたまま、ただ拳を握っていた。
その特別席――つぐみと恭介もまた、聖奈の様子に沈黙していた。
「恭介……何か、できないの? 聖奈ちゃんにアドバイスとか……」
つぐみが切なげに問う。
恭介はほんの僅かに首を振り、静かに言った。
「……昨日の夜、聖奈が俺の部屋に来たんだ。何か言いたげだった。でも、何も言わずに……帰っていった。
だから俺は、見守ると決めた。今は――それが、聖奈との約束だから。」
そして、会場が再び静寂に包まれる。
綾野聖奈の試合。
その始まりが、今、迫っていた。
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