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第23章 男子団体3回戦 レグルスを打ち倒せ
剛剣を穿つ、妖槍の閃光――月詠、秘奥義解禁! 暴かれた牙――朱那紅蓮、初陣の咆哮
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「それでは副将戦を始めます。両者、前へ。」
主審の合図に従い、静かに歩み出たのは旭日中学・高坂月詠。
その表情は冷静そのものだが、内側には鋭い集中力が満ちていた。
対するノーヴィス・エイシィル学園中等部のルキウスは、月詠より一回り大柄で、筋骨隆々の体格を誇っていた。
彼の手には、まさにその体にふさわしい重剣が握られている。
一方、月詠が手にしているのは、長く艶やかな槍――妖槍・朱那紅蓮。
互いの武器は正反対、力と技、剛と柔がぶつかり合う構図だった。
「副将、旭日中学・高坂君。ノーヴィス・エイシィル学園・ルキウス君。」
名を呼ばれた二人は、一礼のあと、同時にバーチャル空間へと転移する。
足元に広がるのは、大地のひび割れた荒野。空はどこまでも青く澄みわたり、風が静かに二人の衣を揺らしていた。
「始め!」
主審の掛け声と同時に、ルキウスが猛然と突っ込んできた。
重剣を振り抜くその動きは、巨体に似合わぬ鋭さと速さを持っていた。
しかし――。
月詠はわずかに後ろ足へ体重を移し、腰をひねって半歩外へ。
風を切る音を背に流しながら、冷静に間合いを維持する。
「ちっ、避けるだけか……!」
ルキウスは舌打ちしながら連撃を繰り出すが、月詠は攻め込まず、かわし続ける。
槍の柄を逆手に構え、小刻みに動きながら、流れるような足運びで舞うように回避。
(……この程度の圧なら問題ない。けど、こいつ、簡単に崩れないな。)
数分が経ち、どちらも決定打が出ない。観客たちも静かに息を呑みながら、動向を見守っていた。
(恭弥との戦いまで、出すつもりはなかった……けど、ここで負けるわけにはいかない。出し惜しみはここまでだ。)
月詠は、肩にかけていた槍――朱那紅蓮をくるりと回し、両手でしっかりと握り直した。
次の瞬間、槍が空気を割って走る。
これまでよりも明らかに遠い間合いから、槍の穂先がルキウスの頬をかすめた。
「っ……! この距離から届くのか!?」
ルキウスが一歩、思わず下がる。
観客席にもどよめきが広がる。
「やれやれ……やっぱり楽しいな。
こうして朱那を試合で、自由に振り回せるのは。」
月詠は嬉しそうに笑うと、ひと呼吸して突き出す。
朱那紅蓮がしなり、地面すれすれを這うように走った後、空へと跳ねる。
「格下だと、弱い者いじめになるって、父さんにクドクド言われるんだけどな。
でも、あんたは違う。容赦なく行かせてもらうぜ。」
そう言い放つと、朱那紅蓮が風を裂き、突き、舞い、弾ける。
リーチとスピードの両方を生かした変則的な攻撃に、ルキウスは防戦一方となっていた。
(こいつ、本気だ……俺の重剣じゃ、踏み込む隙すら見つけられねぇ!)
そして、試合時間が残り半分を切った頃――。
ルキウスが意を決して突進してきた。
読んでいた月詠は、一拍置いて後方に跳び、逆手で槍を構え直すと、膝をついて低く構える。
「初公開。これが朱那紅蓮の本当の力だ。」
月詠の声が澄んだ風に乗って響いた。
「我、高のの里・高坂月詠、妖槍朱那紅蓮に申し立てまつります。
大地にはびこる魔を、光もて祓わん。
光の神・天照よ、我に力を――
『大地光臨一輝牙突』!」
地面が一瞬揺れたかのように錯覚した次の瞬間、
月詠の身体がバネのように弾け、光の尾を引いた槍が一直線に突き出された。
「な、なに――」
その一閃は、神域に手を伸ばすかのような威力だった。
眩い閃光がルキウスを包み、そのまま――影も形もなく、光の奔流に飲まれて消えた。
瞬間、会場が凍りついた。
光が散ったあとに、ルキウスの姿はどこにもなかった。
観客たちは目を見開いたまま、誰一人として言葉を発せず、ただ沈黙だけが空間を支配する。
(……今、何が起きたんだ?)
誰もがそう思った。
あまりにも一瞬で、あまりにも鮮やかで――まるで、現実が一瞬だけ“置き去り”にされたかのようだった。
そして、ようやく遅れてやってきたのは、重く圧し掛かるような静寂だった。
誰もが呆然と立ち尽くしていた。
主審さえも口を開けたまま、コールを忘れていた。
「七瀬さん、コールを! 聞こえますか!」
インカムの指示で主審がようやく我に返る。
「しょ……勝者、旭日中学・高坂君!」
ようやく告げられた結果に、場内がどよめいた。
ベンチに座っていたレグルスも、目を細めて呟く。
(……なんだ、あの技は。神の領域に、あと一歩……いや、半歩届いていたか……)
月詠は静かに息を吐き、ガッツポーズを掲げてベンチへ戻る。
「勝ってきたぞ。恭弥、どうだった?」
どや顔で近寄ってきた月詠に、恭弥はニヤリと笑って力強くハイタッチを返す。
「隠してたな、ずっと……凄かったぞ。でも、俺にはまだ勝てねーけどな?」
「ははっ、強がるねぇ。でも、俺は約束を果たしたぜ。
さあ次は、お前の番だ。会場中の度肝、抜いてやれ!」
「もちろん。」
恭弥は拳を軽く握り直し、月詠と再び手を合わせる。
「さあ……行くぞ、十二天将達。」
その一言とともに、恭弥は静かに大将戦の舞台へと歩み出していった――。
主審の合図に従い、静かに歩み出たのは旭日中学・高坂月詠。
その表情は冷静そのものだが、内側には鋭い集中力が満ちていた。
対するノーヴィス・エイシィル学園中等部のルキウスは、月詠より一回り大柄で、筋骨隆々の体格を誇っていた。
彼の手には、まさにその体にふさわしい重剣が握られている。
一方、月詠が手にしているのは、長く艶やかな槍――妖槍・朱那紅蓮。
互いの武器は正反対、力と技、剛と柔がぶつかり合う構図だった。
「副将、旭日中学・高坂君。ノーヴィス・エイシィル学園・ルキウス君。」
名を呼ばれた二人は、一礼のあと、同時にバーチャル空間へと転移する。
足元に広がるのは、大地のひび割れた荒野。空はどこまでも青く澄みわたり、風が静かに二人の衣を揺らしていた。
「始め!」
主審の掛け声と同時に、ルキウスが猛然と突っ込んできた。
重剣を振り抜くその動きは、巨体に似合わぬ鋭さと速さを持っていた。
しかし――。
月詠はわずかに後ろ足へ体重を移し、腰をひねって半歩外へ。
風を切る音を背に流しながら、冷静に間合いを維持する。
「ちっ、避けるだけか……!」
ルキウスは舌打ちしながら連撃を繰り出すが、月詠は攻め込まず、かわし続ける。
槍の柄を逆手に構え、小刻みに動きながら、流れるような足運びで舞うように回避。
(……この程度の圧なら問題ない。けど、こいつ、簡単に崩れないな。)
数分が経ち、どちらも決定打が出ない。観客たちも静かに息を呑みながら、動向を見守っていた。
(恭弥との戦いまで、出すつもりはなかった……けど、ここで負けるわけにはいかない。出し惜しみはここまでだ。)
月詠は、肩にかけていた槍――朱那紅蓮をくるりと回し、両手でしっかりと握り直した。
次の瞬間、槍が空気を割って走る。
これまでよりも明らかに遠い間合いから、槍の穂先がルキウスの頬をかすめた。
「っ……! この距離から届くのか!?」
ルキウスが一歩、思わず下がる。
観客席にもどよめきが広がる。
「やれやれ……やっぱり楽しいな。
こうして朱那を試合で、自由に振り回せるのは。」
月詠は嬉しそうに笑うと、ひと呼吸して突き出す。
朱那紅蓮がしなり、地面すれすれを這うように走った後、空へと跳ねる。
「格下だと、弱い者いじめになるって、父さんにクドクド言われるんだけどな。
でも、あんたは違う。容赦なく行かせてもらうぜ。」
そう言い放つと、朱那紅蓮が風を裂き、突き、舞い、弾ける。
リーチとスピードの両方を生かした変則的な攻撃に、ルキウスは防戦一方となっていた。
(こいつ、本気だ……俺の重剣じゃ、踏み込む隙すら見つけられねぇ!)
そして、試合時間が残り半分を切った頃――。
ルキウスが意を決して突進してきた。
読んでいた月詠は、一拍置いて後方に跳び、逆手で槍を構え直すと、膝をついて低く構える。
「初公開。これが朱那紅蓮の本当の力だ。」
月詠の声が澄んだ風に乗って響いた。
「我、高のの里・高坂月詠、妖槍朱那紅蓮に申し立てまつります。
大地にはびこる魔を、光もて祓わん。
光の神・天照よ、我に力を――
『大地光臨一輝牙突』!」
地面が一瞬揺れたかのように錯覚した次の瞬間、
月詠の身体がバネのように弾け、光の尾を引いた槍が一直線に突き出された。
「な、なに――」
その一閃は、神域に手を伸ばすかのような威力だった。
眩い閃光がルキウスを包み、そのまま――影も形もなく、光の奔流に飲まれて消えた。
瞬間、会場が凍りついた。
光が散ったあとに、ルキウスの姿はどこにもなかった。
観客たちは目を見開いたまま、誰一人として言葉を発せず、ただ沈黙だけが空間を支配する。
(……今、何が起きたんだ?)
誰もがそう思った。
あまりにも一瞬で、あまりにも鮮やかで――まるで、現実が一瞬だけ“置き去り”にされたかのようだった。
そして、ようやく遅れてやってきたのは、重く圧し掛かるような静寂だった。
誰もが呆然と立ち尽くしていた。
主審さえも口を開けたまま、コールを忘れていた。
「七瀬さん、コールを! 聞こえますか!」
インカムの指示で主審がようやく我に返る。
「しょ……勝者、旭日中学・高坂君!」
ようやく告げられた結果に、場内がどよめいた。
ベンチに座っていたレグルスも、目を細めて呟く。
(……なんだ、あの技は。神の領域に、あと一歩……いや、半歩届いていたか……)
月詠は静かに息を吐き、ガッツポーズを掲げてベンチへ戻る。
「勝ってきたぞ。恭弥、どうだった?」
どや顔で近寄ってきた月詠に、恭弥はニヤリと笑って力強くハイタッチを返す。
「隠してたな、ずっと……凄かったぞ。でも、俺にはまだ勝てねーけどな?」
「ははっ、強がるねぇ。でも、俺は約束を果たしたぜ。
さあ次は、お前の番だ。会場中の度肝、抜いてやれ!」
「もちろん。」
恭弥は拳を軽く握り直し、月詠と再び手を合わせる。
「さあ……行くぞ、十二天将達。」
その一言とともに、恭弥は静かに大将戦の舞台へと歩み出していった――。
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