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第23章 男子団体3回戦 レグルスを打ち倒せ
理と驕の大将戦――静かなる怒りと、愚かな支配者
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『会場の皆さま、大変長らくお待たせいたしました。
これより、旭日中学とノーヴィス・エイシィル学園中等部による大将戦を開始いたします。
なお、バーチャルシステムの安全性確保のため、この試合をもって本日の競技は終了とさせていただきます。第7試合・第8試合は、明日へ延期となります。ご理解とご協力をお願いいたします。』
アナウンスが終わると同時に、会場内のざわめきが一瞬止んだ。
観客たちは息を呑み、硬くなった椅子の背に身を預ける。
数分前まで響いていた歓声はすでに消え、今やその場を支配しているのは、ただ張り詰めた空気のみだった。
(……ついに、この日最後の決戦か。)
誰もがそれを理解していた。
副将戦での想定を超えた衝撃干渉、バーチャルシステムの緊急停止――
その“異常”が残した余韻が、今なお観客たちの中に生々しく残っている。
舞台中央の地面に、ほんのわずかだが先程の朱那紅蓮による焼き焦げの痕が残っていた。
照明の光を受けて、黒くうっすらと浮かび上がるその跡が、今度の一戦が“並では済まない”ことを物語っていた。
アナウンスが場内に響くと、主審と2人の副審が中央へと歩み出る。
恭弥とレグルスの視線が、互いに交錯した。
「それでは、大将戦を始めます。
旭日中学・綾野恭弥君、ノーヴィス・エイシィル学園・レグルス・エルバニア君、前へ。」
名を呼ばれた瞬間、恭弥は静かに立ち上がり、朱星光月・真打を握りしめる。
深く息を吸い、一歩、また一歩と舞台中央へ。
(いよいよだな……レグルス。これ以上、好きにはさせない。)
対するレグルスも、笑みを浮かべながら悠々と進み出る。
その視線は、完全に恭弥を「下」と見ていた。
(フッ……この瞬間を、待っていたぞ。俺の“力”を見せつける時がな。)
観客席のざわめきは一気に熱を帯びていく。
「聞いたか? “エルバニア”って……あの独裁国家の?」
「国王も家臣も全部クーデターでやられて崩壊したんだろ?主犯が七男……レグルスだって噂も……」
「マジかよ。父親を倒して国を乗っ取ったってことかよ……こわ……」
「それに、気に入った女は全部奪うって……下手に関わると人生終わるな。」
そんな声が飛び交う中でも、二人は微動だにしない。
主審から注意事項が伝えられた直後、レグルスが恭弥の正面で、口元にうすら笑いを浮かべる。
「これで終わりだ。お前が俺に歯向かった報い――しっかり味わえよ。
あの三人、どう“扱って”やろうか……お前の目の前で、たっぷりと楽しませてもらう。」
唇の端を持ち上げるようにして笑うレグルス。
だがその目には、底知れぬ冷徹さが宿っていた。
(……こいつ、女の子を本気で“所有物”としか見てない。
人の心を……どれだけ踏みにじれば気が済むんだ。)
恭弥は目を細め、ぐっと拳を握りしめる。
怒りを、悔しさを、全部飲み込んだうえで、冷ややかに言い返す。
「言いたいことはそれだけか?
約束は守ってもらう。俺が勝ったら――あの人たちを全員、解放しろ。」
「フン……俺に攻撃が“当たれば”な。」
レグルスは嗤う。
その挑発に、恭弥の瞳がわずかに鋭く光る。
(“当たらない前提”かよ……上等だ。
その慢心ごと、へし折ってやる。)
緊張が走るなか、主審が厳しい声を発した。
「君たちは少し言葉を慎みなさい。
この試合はあくまで“公式戦”であり、感情のままに相手を貶める場ではありません。
どれほど因縁があろうと、この舞台に立つ限り、君たちは“競技者”であるべきです。」
主審の声は、普段の試合とは明らかに違う硬さを帯びていた。
その言葉には、レグルスがまとっている異質な空気――“私闘”のにおいを制止しようとする、明確な意志が宿っていた。
「よって、この試合において相手への侮辱・威圧行為が認められた場合、
ポイントを減点します。持ちポイントは10点。
これが0になった瞬間、その場で試合を中断し、反則負けとする。
このルールは、両者に公平に適用されます。」
観客席が一瞬ざわつく。
それほどまでに、今回の対戦カードが“特例”として見なされていることを、誰もが感じ取っていた
(……やっぱり、いつもと違う。主審まで本気で警戒してる。
でも、いいんだ。俺たちの勝負は、もっと深いところにある。)
主審の「両者、礼」という声に、恭弥は丁寧に頭を下げた。
その動作一つにも、覚悟がにじんでいた。
一方、レグルスは目をそらし、微動だにしない。完全なる無視だった。
(頭を下げる? くだらん。 “上”が“下”に礼をする必要などない。)
その態度に、主審の眉がわずかに動いたが、何も言わずに次の段階へ進めた。
二人は同時に、バーチャル空間へと転移される。
光に包まれながら、恭弥は静かに呟いた。
(ここで終わらせる。……俺たちの大切なものを、もう誰にも奪わせない。)
これより、旭日中学とノーヴィス・エイシィル学園中等部による大将戦を開始いたします。
なお、バーチャルシステムの安全性確保のため、この試合をもって本日の競技は終了とさせていただきます。第7試合・第8試合は、明日へ延期となります。ご理解とご協力をお願いいたします。』
アナウンスが終わると同時に、会場内のざわめきが一瞬止んだ。
観客たちは息を呑み、硬くなった椅子の背に身を預ける。
数分前まで響いていた歓声はすでに消え、今やその場を支配しているのは、ただ張り詰めた空気のみだった。
(……ついに、この日最後の決戦か。)
誰もがそれを理解していた。
副将戦での想定を超えた衝撃干渉、バーチャルシステムの緊急停止――
その“異常”が残した余韻が、今なお観客たちの中に生々しく残っている。
舞台中央の地面に、ほんのわずかだが先程の朱那紅蓮による焼き焦げの痕が残っていた。
照明の光を受けて、黒くうっすらと浮かび上がるその跡が、今度の一戦が“並では済まない”ことを物語っていた。
アナウンスが場内に響くと、主審と2人の副審が中央へと歩み出る。
恭弥とレグルスの視線が、互いに交錯した。
「それでは、大将戦を始めます。
旭日中学・綾野恭弥君、ノーヴィス・エイシィル学園・レグルス・エルバニア君、前へ。」
名を呼ばれた瞬間、恭弥は静かに立ち上がり、朱星光月・真打を握りしめる。
深く息を吸い、一歩、また一歩と舞台中央へ。
(いよいよだな……レグルス。これ以上、好きにはさせない。)
対するレグルスも、笑みを浮かべながら悠々と進み出る。
その視線は、完全に恭弥を「下」と見ていた。
(フッ……この瞬間を、待っていたぞ。俺の“力”を見せつける時がな。)
観客席のざわめきは一気に熱を帯びていく。
「聞いたか? “エルバニア”って……あの独裁国家の?」
「国王も家臣も全部クーデターでやられて崩壊したんだろ?主犯が七男……レグルスだって噂も……」
「マジかよ。父親を倒して国を乗っ取ったってことかよ……こわ……」
「それに、気に入った女は全部奪うって……下手に関わると人生終わるな。」
そんな声が飛び交う中でも、二人は微動だにしない。
主審から注意事項が伝えられた直後、レグルスが恭弥の正面で、口元にうすら笑いを浮かべる。
「これで終わりだ。お前が俺に歯向かった報い――しっかり味わえよ。
あの三人、どう“扱って”やろうか……お前の目の前で、たっぷりと楽しませてもらう。」
唇の端を持ち上げるようにして笑うレグルス。
だがその目には、底知れぬ冷徹さが宿っていた。
(……こいつ、女の子を本気で“所有物”としか見てない。
人の心を……どれだけ踏みにじれば気が済むんだ。)
恭弥は目を細め、ぐっと拳を握りしめる。
怒りを、悔しさを、全部飲み込んだうえで、冷ややかに言い返す。
「言いたいことはそれだけか?
約束は守ってもらう。俺が勝ったら――あの人たちを全員、解放しろ。」
「フン……俺に攻撃が“当たれば”な。」
レグルスは嗤う。
その挑発に、恭弥の瞳がわずかに鋭く光る。
(“当たらない前提”かよ……上等だ。
その慢心ごと、へし折ってやる。)
緊張が走るなか、主審が厳しい声を発した。
「君たちは少し言葉を慎みなさい。
この試合はあくまで“公式戦”であり、感情のままに相手を貶める場ではありません。
どれほど因縁があろうと、この舞台に立つ限り、君たちは“競技者”であるべきです。」
主審の声は、普段の試合とは明らかに違う硬さを帯びていた。
その言葉には、レグルスがまとっている異質な空気――“私闘”のにおいを制止しようとする、明確な意志が宿っていた。
「よって、この試合において相手への侮辱・威圧行為が認められた場合、
ポイントを減点します。持ちポイントは10点。
これが0になった瞬間、その場で試合を中断し、反則負けとする。
このルールは、両者に公平に適用されます。」
観客席が一瞬ざわつく。
それほどまでに、今回の対戦カードが“特例”として見なされていることを、誰もが感じ取っていた
(……やっぱり、いつもと違う。主審まで本気で警戒してる。
でも、いいんだ。俺たちの勝負は、もっと深いところにある。)
主審の「両者、礼」という声に、恭弥は丁寧に頭を下げた。
その動作一つにも、覚悟がにじんでいた。
一方、レグルスは目をそらし、微動だにしない。完全なる無視だった。
(頭を下げる? くだらん。 “上”が“下”に礼をする必要などない。)
その態度に、主審の眉がわずかに動いたが、何も言わずに次の段階へ進めた。
二人は同時に、バーチャル空間へと転移される。
光に包まれながら、恭弥は静かに呟いた。
(ここで終わらせる。……俺たちの大切なものを、もう誰にも奪わせない。)
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