──の花束は落ちていく 〜『あなた次第』IF〜

君影 ルナ

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四月

2

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 住む場所通う場所が変わったからといって、これまでの生活が変わるわけでもなく。

 私は自室で勉強をしていた。ただ今の時刻、午前二時半を過ぎた辺り。全く眠くはない。

 私は睡眠時間が極端に少ない。少ないことによって睡眠不足で倒れたりはするが、まあそれが私の普通なのでもう苦しさも何も感じない。基本的に週一ペースで倒れていたりするので、度々学校を無断欠席する。

 そうなると成績も悪くなるわけで、テストでより良い点数を叩きださないといけないということなのだ。

 他の人が眠る時間も使って勉強をする──他にすることもないから勉強をしているだけ──ので、前いた学校ではまあまあ高い順位だった。

 まあ、テストの日に倒れる確率も無くはないので、テスト前は仮眠を無理矢理取ったりするが。これがまあ眠れない。普段から寝ていないから目が覚めてしまうのだ。

 まあそれはいいとして。

「目がゴロゴロする……」

 そろそろ外しても良いだろうか。もう誰も酸漿さん来ないよね?

 コンタクトを外した時、鏡に自分の姿が映る。

 もうこれも外そうか、と頭に手をやる。パサリと取れたウィッグから現れたのは……

「気持ち悪い。」

 肩に付くくらいの白髪に、灰色の目。生まれつき私はこの見た目なのだ。

 さらにいえばこの白髪、染料で髪を染めても全く色が染まらない。まさにミステリー。

 何色にも染まれない白。それが私なのだ。何色でもいいから白ではない色にならないかなあ、といつも考えている。まあ、無理なものは無理なのだろうが。もう諦めた。

「はあ……」

 さらにもう一つ、私には隠さなければならないものがある。




 視界に入る鉛筆を力を使ってふわりと浮かせる。手を使わずに。そう、私は一般人ではない。エートスなのだ。

 私も詳しくは知らないが、エートスは特殊な能力を持つ人の総称であり、それぞれ違った能力を持っているらしい。そして言わずもがな少数派である。

 ちなみに私は視界に入れたモノを動かしたり浮かせたり出来る能力を持っている。

 エートスであること、生まれつきの容姿がこれであること。それらが私を異質たらしめる所以だ。

「普通の人間になりたいなあ……」

 そんな願いは叶わないのだろうか。
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