──の花束は落ちていく 〜『あなた次第』IF〜

君影 ルナ

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五月

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 先程聞いた言い争いを思い出してはぁ、と溜息が漏れる。私が存在しているせいで争いが生まれてしまったということは、私が消えればそんなことはなくなるのだろうか……?

「じゃあ私は……存在してはいけないの……?」

 今までも幾度となく言われてきた。『お前なんか消えてしまえばいいのに。』と。やっぱりそれに従って消えた方がいいのだろうか。

 しかしマスター……育ての親に感謝しきれていない今死ぬのはいけない。親孝行してから死ななければ。

 何度も考えてきたが行動には移さなかった『自死』。しかし今はそれが一番身近に感じる。こんな世の中で生きるよりも、死んだ方が……。

 そんなことを考えていたその時。

「あれ、珍しいお客さんですね?」

 ジャリ、と砂を踏む音と共に声が聞こえた。ふっと目線を上げてその人を見ると、そこには一人の女の人がいた。ジャージを着て黒髪を一つに結い上げたその人は、私を見てにっこりと笑った。

「園芸部希望ですか? 花蘇芳 藍さん。」
「……何故私の名前を知っているのですか?」

 私はこの人を知らないのに。不安と恐怖で眉間に皺が寄る。

「音霧の転入生、花蘇芳 藍。有名ですよ?」
「……目立ちたくなんてないのに。」

 ふいっとその人から目線を外す。有名だなんて……そんなの要らない。ただ私は平穏な生活を送りたいだけなのに。

 心の中にあるそんなモヤモヤを晴らすようにぎゅっと手を握りしめる。

「意外ですね。」
「……何故?」

 意外ってなんのこと……? 訝しげにその人を見やると、その人は私の問いに答えてくれた。

「音霧の方々はそりゃあ目立つ目立つ。良い意味でも、悪い意味でも。それを彼等は黙認しているのですから、音霧の方々は目立ちたがり屋の集まりなのだと思っていました。」
「……。」
「でも、違うんですね。あなたは目立ちたくなんてない。」
「……。」
「ふふ、音霧のイメージが変わりました。もちろん、良い意味で。そして、あなたのことも。……そうだ、ここで出会ったのも何かの縁ということで、私達友達にならない?」
「……?」

 そう言ってふわりと笑うこの人。良い意味でイメージが変わった、とは……? そして、この人は私と友達になる、の……?

「私は空木 いちご。ねぇ、藍ちゃんって呼んでも良い?」

 そんな、友達になるのが当たり前のように言わないで。私に言い寄ってくるのは真紀のような人しかいないのだから、この人もきっと同じ……。怖い、よ……痛いのは嫌……

 そんな有り得る未来を予想してカタカタと体が震える。息も出来なくなる。

「ひゅっ、」

 サーッと血の気が引いた。
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