××の十二星座

君影 ルナ

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一章

四十二

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 話がサクサク進んでいき過ぎて私は置いてけぼりを食らう。即処刑されると思っていたので拍子抜けだ。ぽへらっと顔を呆けさせる。

 その間に皆はくじ作りの話へと移ったので私は聞き耳を立ててみる。紙を切る担当はキャンサーに決まったらしいことは分かった。

「じゃあ紙を……」

 キャンサーは紙を上に放り投げたらしい。バサバサっと紙が舞う音が聞こえ、そしてその直後にジャキジャキジャキンと紙を切る(?)音が聞こえた。

「ふふふ……鋏を使う事においてボクの右に出る者はいないよネっ」

 キャンサーはとても自慢げな声色。楽しそうで何よりだ。

「さて、数字を二組ずつ書いてしまいましょう。」
「ぼくも!」
「せ、拙も手伝う……」
「じゃあ我輩はここに残ってマロンに教える人の分を、っと……『はずれ』とか書いておけばいいか。」
「アリーズ、それよりも王冠とかの絵にしたら? マロンと一緒に居られる当たり役ってことで。」
「はぁ……我輩はまだマロンを認めたわけではない。だからはずれで良いだろう?」
「いや、当たりだね。」

 やいのやいの、アリーズとカプリコーンの言い合いが始まった。

「お、落ち着いて……二人とも……」
「「あぁん!?」」
「ヒイッ!」

 あー、ヴァーゴが仲裁に入ったけれど、アリーズとカプリコーンが威嚇したらしくヴァーゴが怯えてしまった。

 ヴァーゴっておどおどしているけど仲裁しようとしたりしていて、なんというか、その……苦労人枠に入りそう。ガンバです。私は傍観に徹する。





「さぁ、くじを引こうじゃないか!」
「ぼくこれー!」

 皆それぞれくじを引き、ガサゴソと音を立てる。多分くじを開けているのだろう。

「はぁ……」

 溜息をついたのはサジタリアス。なになに、どしたよ。

「面倒くさい役についたものだな。マロン、自分がマロンの教師役になった。自分が教師役となったからには、厳しく行くからな。」
「うっ……ガンバリマス。」

 十二星座の中で一番厳しそうなサジタリアスが教師か……。あ、アリーズもなかなか厳しそうだけれども。

 まあ、厳しい方が早く学習を終えられて、結果的に早く働きに出られるだろうから良いのか。

「サジタリアス、よろしく!」
「ああ。決まってしまったことは仕方がないからな。面倒は見てやる。」

 面倒くさいとか言いながらも、やる気に満ち溢れた声色だった。
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