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一章
八十
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それぞれがそれぞれで話している間、私は特に何をするわけでもなくボーッとしていた。それこそ俯瞰でモノを見るように。
そんな私だから気がついた。アリーズのこめかみに幾つもの青筋が走るのを。顔は笑ってるけど、あれは絶対怒ってる。一緒にいた時間が短くとも、よく見れば分かる。
自分に飛び火しないようにパイシーズの横、つまりアリーズからは一番遠く隠れられる場所へと音もなく座る。パイシーズはかなりの長身だからね、隠れるのにもってこいなんだよ。
さてさて、アリーズのこめかみに気が付かない皆は未だやんややんやと騒いでいる。仲良いよなぁ。見てて微笑ましくなる。料理が運ばれている間、誰目線だと言われそうな感想を抱いていた。
「そうだ、今日はお休みだそうですが、マロンさんはどうされるんですか?」
いつから私に気が付いていたのか、驚くこともなくこちらに振り向いたパイシーズ。その動きに合わせてサラリと流れる綺麗な長髪に少し嫉妬しながら私は答える。
「そうだなぁ、暇だし街でも見に行こうかな?」
「お、マロンは今日、街に行くのか! それは良い! 俺様が案内してやろうか!」
あ、ちょっ! レオがクソデカい声でそんなことを言うから、皆の意識がこちらに向いた。もちろん、アリーズも。……ヒィッ! 怖いぃっ!
「えー! マロン! 街に行くなら僕も連れてってよー!」
「あたくしは別に行きたいわけじゃないけど、ついて行ってあげなくもないけど?」
ジェミニとアクエリアスを筆頭に、やんややんやと皆はまた騒ぎ出す。人数が多いからかな、なかなかの音量になるよ。
「あー、皆ちょっと待って!」
パンパン、と手を叩き己に注目させる手法を取るのはカプリコーン。なんだなんだ?
「今日はマロン本人を連れて、私服を見繕いに行きたいと思う。もっとマロンに似合う服を選びたくてね。大人数で行っても何だし、俺含めて女性陣三人とマロンで行こうか。」
服か……。正直周りから浮いてなきゃどうでも良いんだけど……まあ、街を見て回りたいっていう願望は叶うから良いか。
「あら、ワタシの服のセンスが良いから選ばれたのかしら~?」
「あたくしも個人的に買い物はしたかったし、まあ、ついて行ってあげても良いわ。」
スコーピオもアクエリアスも同意してくれた。……あれ?
「俺含めて女性陣三人……?」
「あれ、マロンに言ってなかったっけ? 俺、生物上は女だよ。」
キラッと輝く笑顔でカプリコーンはそう言う。サラッと爆弾を落とされた気分になり、胸中は複雑だ。
カプリコーンは所謂イケメンとか呼ばれる類いの顔や佇まいで──笑い上戸だけど──、まさか女性だとは思いもよらなかった。
「てことで、じゃあ朝食を頂いたら出かけようか!」
カプリコーンの合図に、皆朝食に意識を向け始めた。
そんな私だから気がついた。アリーズのこめかみに幾つもの青筋が走るのを。顔は笑ってるけど、あれは絶対怒ってる。一緒にいた時間が短くとも、よく見れば分かる。
自分に飛び火しないようにパイシーズの横、つまりアリーズからは一番遠く隠れられる場所へと音もなく座る。パイシーズはかなりの長身だからね、隠れるのにもってこいなんだよ。
さてさて、アリーズのこめかみに気が付かない皆は未だやんややんやと騒いでいる。仲良いよなぁ。見てて微笑ましくなる。料理が運ばれている間、誰目線だと言われそうな感想を抱いていた。
「そうだ、今日はお休みだそうですが、マロンさんはどうされるんですか?」
いつから私に気が付いていたのか、驚くこともなくこちらに振り向いたパイシーズ。その動きに合わせてサラリと流れる綺麗な長髪に少し嫉妬しながら私は答える。
「そうだなぁ、暇だし街でも見に行こうかな?」
「お、マロンは今日、街に行くのか! それは良い! 俺様が案内してやろうか!」
あ、ちょっ! レオがクソデカい声でそんなことを言うから、皆の意識がこちらに向いた。もちろん、アリーズも。……ヒィッ! 怖いぃっ!
「えー! マロン! 街に行くなら僕も連れてってよー!」
「あたくしは別に行きたいわけじゃないけど、ついて行ってあげなくもないけど?」
ジェミニとアクエリアスを筆頭に、やんややんやと皆はまた騒ぎ出す。人数が多いからかな、なかなかの音量になるよ。
「あー、皆ちょっと待って!」
パンパン、と手を叩き己に注目させる手法を取るのはカプリコーン。なんだなんだ?
「今日はマロン本人を連れて、私服を見繕いに行きたいと思う。もっとマロンに似合う服を選びたくてね。大人数で行っても何だし、俺含めて女性陣三人とマロンで行こうか。」
服か……。正直周りから浮いてなきゃどうでも良いんだけど……まあ、街を見て回りたいっていう願望は叶うから良いか。
「あら、ワタシの服のセンスが良いから選ばれたのかしら~?」
「あたくしも個人的に買い物はしたかったし、まあ、ついて行ってあげても良いわ。」
スコーピオもアクエリアスも同意してくれた。……あれ?
「俺含めて女性陣三人……?」
「あれ、マロンに言ってなかったっけ? 俺、生物上は女だよ。」
キラッと輝く笑顔でカプリコーンはそう言う。サラッと爆弾を落とされた気分になり、胸中は複雑だ。
カプリコーンは所謂イケメンとか呼ばれる類いの顔や佇まいで──笑い上戸だけど──、まさか女性だとは思いもよらなかった。
「てことで、じゃあ朝食を頂いたら出かけようか!」
カプリコーンの合図に、皆朝食に意識を向け始めた。
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