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番外編
竜胆&茜バースデー(二年目)
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あれは随分昔のこと。当たり前だが俺がテラス現象を起こす前の話だ。
あの日は俺とりんの家庭教師が来て宿題を置いていったんだっけ。そしてそれを一瞬で終わらせた俺は、未だに宿題を終わらせていないりんを置いて部屋を出た。そしてフラッと何気なく台所へと立ち寄った。
「頭使ったから腹減ったなー」
ガチャ、と冷蔵庫を何の気もなしに開けるとそこにはプリンが二つ置いてあった。それもいつもよりちょっと良いやつ。
「そういえば母さん、勉強が終わったら食べていいって言ってたな……」
今日、朝食を食べている時に言われた言葉を思い出した。俺は今日の分の勉強も終わってるし、腹も減ってるし、これは食べて良いのでは。そう考えついた。
プリンを一つ取り、蓋をペリッと剥がす。引き出しに入っているスプーンでそれを掬って一口食べた。
「これは……美味い!」
さすがいつもより良いやつ! と、感動に震えながらパクパクと食べ進めた。
もちろん、食べればプリンは無くなるもの。それは当たり前のことなのだが。
「プリン……」
あまりの美味しさに、名残惜しくなってしまった。それがいけなかった。
「もう一つあったよなぁ……」
冷蔵庫を開け、残り一つとなったプリン。あのプリンに後光が差しているようにも見える。あの美味しさを知ってしまったが故に、我慢することが出来なくなってしまった。
周りをキョロキョロと見回して誰もいないことを確認した俺は、ソッとプリンに手を伸ばす。パッとそれを手に取ると、何故か分からないが急に両目が熱くなり、とある映像が見えた。
「ぐっ……」
『ねぇ、あかね。ぼくのプリン、たべたね?』
なんかめちゃくちゃ怖いりんの笑み──あれを笑みと言ってもいいものかすら分からないが──が見え、実際怒られたわけでもないのに背筋が凍る。
はて、今のは何だったんだろうか。目の熱も消え、変な映像もすぐ消えたことに疑問を持つ。
あれは白昼夢だったんだろう。そう納得させ、今一度りん用のプリンを手に取ってパクリと食べる。うん、美味い。
これがまさか能力の開花だったとは、この時知る由もなかった。
竜胆side
私の能力が開花したのは、茜の開花後すぐだった。宿題をなんとか終わらせ、楽しみにしていたプリンを取りに行った時だ。
冷蔵庫を開けてみるとそこに肝心のプリンは残っていなかった。だから私は近くにいた茜を捕まえて問いただした。茜の目の色が違うことに疑問を持ちながらも、今はそれよりもプリンが大事だと内心納得させて。
「プリン、知らない?」
「し、知らない。」
「そう。」
多分茜が食べたんだな、と思われる返答をしていたが決定打はなし。確信がなければ怒ることも出来ない。
どうしたものかと冷蔵庫の中、プリンが置いてあったであろう場所に手をペタリと置く。僕のプリン……と残念がりながら。
すると急に両目が熱くなり、映像が見えた。
「ぐっ……」
茜が残り一つのプリンを取るか取らないか悩み、なんか苦しみながらもプリンを手に取り食べた所を。
「ねぇ、あかね。ぼくのプリン、たべたね?」
あれは過去の映像なのではないかと推測した。今までこんなこと無かったし、何か特別な力でも使われたのだろうと思い込み、茜に断定する形で聞く。
「た、タベテマセン」
「嘘をつくんじゃないよ?」
ニコーッと一層笑みを深めて聞いてみれば、茜は素直に証言してくれた。目は泳ぎまくり、冷や汗ダラダラ垂らしながら。
「ハイ、スミマセン。タベマシタ。」
「……へぇ、食べたんだ。僕、楽しみにしてたのに。」
「トテモオイシカッタデス。」
「へぇ。じゃあ次あのプリンを食べる機会があったら、茜の分も貰おうかな?」
「ワカッタ。」
食べたのがバレたら怒られるって分かっているはずなのに。それでも食べたってことは、プリン、それだけ美味しかったのだろうな……
あの日は俺とりんの家庭教師が来て宿題を置いていったんだっけ。そしてそれを一瞬で終わらせた俺は、未だに宿題を終わらせていないりんを置いて部屋を出た。そしてフラッと何気なく台所へと立ち寄った。
「頭使ったから腹減ったなー」
ガチャ、と冷蔵庫を何の気もなしに開けるとそこにはプリンが二つ置いてあった。それもいつもよりちょっと良いやつ。
「そういえば母さん、勉強が終わったら食べていいって言ってたな……」
今日、朝食を食べている時に言われた言葉を思い出した。俺は今日の分の勉強も終わってるし、腹も減ってるし、これは食べて良いのでは。そう考えついた。
プリンを一つ取り、蓋をペリッと剥がす。引き出しに入っているスプーンでそれを掬って一口食べた。
「これは……美味い!」
さすがいつもより良いやつ! と、感動に震えながらパクパクと食べ進めた。
もちろん、食べればプリンは無くなるもの。それは当たり前のことなのだが。
「プリン……」
あまりの美味しさに、名残惜しくなってしまった。それがいけなかった。
「もう一つあったよなぁ……」
冷蔵庫を開け、残り一つとなったプリン。あのプリンに後光が差しているようにも見える。あの美味しさを知ってしまったが故に、我慢することが出来なくなってしまった。
周りをキョロキョロと見回して誰もいないことを確認した俺は、ソッとプリンに手を伸ばす。パッとそれを手に取ると、何故か分からないが急に両目が熱くなり、とある映像が見えた。
「ぐっ……」
『ねぇ、あかね。ぼくのプリン、たべたね?』
なんかめちゃくちゃ怖いりんの笑み──あれを笑みと言ってもいいものかすら分からないが──が見え、実際怒られたわけでもないのに背筋が凍る。
はて、今のは何だったんだろうか。目の熱も消え、変な映像もすぐ消えたことに疑問を持つ。
あれは白昼夢だったんだろう。そう納得させ、今一度りん用のプリンを手に取ってパクリと食べる。うん、美味い。
これがまさか能力の開花だったとは、この時知る由もなかった。
竜胆side
私の能力が開花したのは、茜の開花後すぐだった。宿題をなんとか終わらせ、楽しみにしていたプリンを取りに行った時だ。
冷蔵庫を開けてみるとそこに肝心のプリンは残っていなかった。だから私は近くにいた茜を捕まえて問いただした。茜の目の色が違うことに疑問を持ちながらも、今はそれよりもプリンが大事だと内心納得させて。
「プリン、知らない?」
「し、知らない。」
「そう。」
多分茜が食べたんだな、と思われる返答をしていたが決定打はなし。確信がなければ怒ることも出来ない。
どうしたものかと冷蔵庫の中、プリンが置いてあったであろう場所に手をペタリと置く。僕のプリン……と残念がりながら。
すると急に両目が熱くなり、映像が見えた。
「ぐっ……」
茜が残り一つのプリンを取るか取らないか悩み、なんか苦しみながらもプリンを手に取り食べた所を。
「ねぇ、あかね。ぼくのプリン、たべたね?」
あれは過去の映像なのではないかと推測した。今までこんなこと無かったし、何か特別な力でも使われたのだろうと思い込み、茜に断定する形で聞く。
「た、タベテマセン」
「嘘をつくんじゃないよ?」
ニコーッと一層笑みを深めて聞いてみれば、茜は素直に証言してくれた。目は泳ぎまくり、冷や汗ダラダラ垂らしながら。
「ハイ、スミマセン。タベマシタ。」
「……へぇ、食べたんだ。僕、楽しみにしてたのに。」
「トテモオイシカッタデス。」
「へぇ。じゃあ次あのプリンを食べる機会があったら、茜の分も貰おうかな?」
「ワカッタ。」
食べたのがバレたら怒られるって分かっているはずなのに。それでも食べたってことは、プリン、それだけ美味しかったのだろうな……
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