9 / 36
一章 五月の日常
8
しおりを挟む
「やっぱり私がシスイ様の携帯を準備しますよ!」
珈夜さんが我先にと提案してくれた。しかし私の家の事情というものもある。多分携帯を持ったとしても、あの人達にすぐバレて没収されるだろう。なんたってあの自室には監視カメラが設置されているのだから。
そんなこともあるのでここは断ろう。
「これからはちゃんと伝言します。遅れた分はきちんとこなします。なので大丈夫です。」
「……次やらかしたら即携帯だからな。」
紅蓮さんは私の雰囲気から何かを感じ取ったのか、一つ溜息を零して妥協してくれた。深く聞かれなかったことにも安堵する。
さすが紅蓮さんだ。この生徒会メンバーの中では紅蓮さんが一番空気も読め、世渡り上手だ。
「紅蓮さんありがとうございます。」
「……ふん。ちゃんとしてくれれば問題は無いからな。」
深く聞かず流してくれてありがとう。その意味も込めて感謝の言葉を述べると、それすらもきちんと汲んでくれたらしい。その言葉を聞けて再度感謝し、安心した私は生徒会の仕事に取り掛かることにした。
書類の山を見て、集中すれば最終下校時間には間に合う量だと当たりをつけてペンを待った。
皆はどうやら作業をしながら雑談しているらしい。所々こちらにも声が聞こえてきた。まあ、私はあの中に割り込んで行く勇気はないので無言に徹するのだが。
「あはは~紅蓮くんってもしかしてツンデレ~?」
「そんなわけないだろう? この俺が? 優等生と言ってくれ。」
「アハハー、グレンの癖にそんなことあるわけないデスヨー」
「おい珈夜。棒読みで言うな。せめて感情込めろ。……というか何故毎回毎回そこまで俺に楯突こうとする?」
「……なんか気に食わないんデスよ。」
「はぁ……」
「紅蓮くんと珈夜さんは仲がいいんだね~」
「「どこが!?」」
「え~、だって嫌いな人とはそもそも言い合いすらしたくないでしょ~? だけど二人は素直に言い合ってるじゃ~ん」
「それはそうだが……」
「この人は……グレンは私に無い物をたくさん持っていて妬ましい。」
「おぅおぅ、随分素直に白状したな? 珈夜サンよォ。」
……これ以上放っておくのはいけない気がする。言い争いの気配を感じ取り、その直感に従い、書類に落としていた視線を他の生徒会メンバー三人へと向けてニッコリ笑ってみせた。
すると驚くことに三人とも私の視線に気がついて一瞬のうちに黙り込んでしまった。ああ、そこまで怯えさせるつもりは無かったんですけど……
「も、申し訳ありませんシスイ様……」
「……五月蝿くしたのは謝る。」
「お二人さん、喧嘩する程仲がいいとは言うものですが、ほどほどに。」
私は一言だけ、なるべく威圧を感じないような声色を意識して仲裁する。
珈夜さんが我先にと提案してくれた。しかし私の家の事情というものもある。多分携帯を持ったとしても、あの人達にすぐバレて没収されるだろう。なんたってあの自室には監視カメラが設置されているのだから。
そんなこともあるのでここは断ろう。
「これからはちゃんと伝言します。遅れた分はきちんとこなします。なので大丈夫です。」
「……次やらかしたら即携帯だからな。」
紅蓮さんは私の雰囲気から何かを感じ取ったのか、一つ溜息を零して妥協してくれた。深く聞かれなかったことにも安堵する。
さすが紅蓮さんだ。この生徒会メンバーの中では紅蓮さんが一番空気も読め、世渡り上手だ。
「紅蓮さんありがとうございます。」
「……ふん。ちゃんとしてくれれば問題は無いからな。」
深く聞かず流してくれてありがとう。その意味も込めて感謝の言葉を述べると、それすらもきちんと汲んでくれたらしい。その言葉を聞けて再度感謝し、安心した私は生徒会の仕事に取り掛かることにした。
書類の山を見て、集中すれば最終下校時間には間に合う量だと当たりをつけてペンを待った。
皆はどうやら作業をしながら雑談しているらしい。所々こちらにも声が聞こえてきた。まあ、私はあの中に割り込んで行く勇気はないので無言に徹するのだが。
「あはは~紅蓮くんってもしかしてツンデレ~?」
「そんなわけないだろう? この俺が? 優等生と言ってくれ。」
「アハハー、グレンの癖にそんなことあるわけないデスヨー」
「おい珈夜。棒読みで言うな。せめて感情込めろ。……というか何故毎回毎回そこまで俺に楯突こうとする?」
「……なんか気に食わないんデスよ。」
「はぁ……」
「紅蓮くんと珈夜さんは仲がいいんだね~」
「「どこが!?」」
「え~、だって嫌いな人とはそもそも言い合いすらしたくないでしょ~? だけど二人は素直に言い合ってるじゃ~ん」
「それはそうだが……」
「この人は……グレンは私に無い物をたくさん持っていて妬ましい。」
「おぅおぅ、随分素直に白状したな? 珈夜サンよォ。」
……これ以上放っておくのはいけない気がする。言い争いの気配を感じ取り、その直感に従い、書類に落としていた視線を他の生徒会メンバー三人へと向けてニッコリ笑ってみせた。
すると驚くことに三人とも私の視線に気がついて一瞬のうちに黙り込んでしまった。ああ、そこまで怯えさせるつもりは無かったんですけど……
「も、申し訳ありませんシスイ様……」
「……五月蝿くしたのは謝る。」
「お二人さん、喧嘩する程仲がいいとは言うものですが、ほどほどに。」
私は一言だけ、なるべく威圧を感じないような声色を意識して仲裁する。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
【3月中――完結!】
積み上がった伏線の回収目前!!
夫にも子どもにも、私は選ばれなかった。
長年の裏切りを抱え、離縁状を置いて家を出た――。
待っていたのは、凍てつく絶望。
けれど同時に、それは残酷な運命の扉が開く瞬間でもあった。
「夫は愛人と生きればいい。
今さら縋られても、裏切ったあなたを許す力など残っていない」
それでも私は誓う――
「子どもたちの心だけは、必ず取り戻す」
歪で、完全な幸福――それとも、破滅。
“石”に翻弄された者たちの、狂おしい物語。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~
山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」
母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。
愛人宅に住み屋敷に帰らない父。
生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。
私には母の言葉が理解出来なかった。
6年前の私へ~その6年は無駄になる~
夏見颯一
恋愛
モルディス侯爵家に嫁いだウィニアは帰ってこない夫・フォレートを待っていた。6年も経ってからようやく帰ってきたフォレートは、妻と子供を連れていた。
テンプレものです。テンプレから脱却はしておりません。
許すかどうかは、あなたたちが決めることじゃない。ましてや、わざとやったことをそう簡単に許すわけがないでしょう?
珠宮さくら
恋愛
婚約者を我がものにしようとした義妹と義母の策略によって、薬品で顔の半分が酷く爛れてしまったスクレピア。
それを知って見舞いに来るどころか、婚約を白紙にして義妹と婚約をかわした元婚約者と何もしてくれなかった父親、全員に復讐しようと心に誓う。
※全3話。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる