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朝
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「妻はアバズレじゃなかった」
「――それはようございました」
一人でとる遅い朝食の席で、オリフィエルは必要も無いのに家令に報告した。
リサは処女だった。自分の勘違いで少し痛い思いをさせてしまった事を、オリフィエルは反省していた。
(素晴らしい体だった……! 思えば修道院にいたのだ。アバズレのはずがない。エリックとの事は……恐らく世間知らずで、人の好意と素直に受け取ってしまっていたのだろう)
都合の良い頭の中身をしているが、これでも彼は軍部のお偉いさんだ。
「本来なら休暇を取って頂くところですが、急なご結婚でしたので、本日の予定で変更の難しいものと、それから奥様への対応ですが」
「ああ。外せないものは仕様がないが、三日後からは休暇を取れるようにしたい」
家令は奥様への対応を察した。
「――大分詰め込みますが」
「構わない」
「休暇の期間はどのくらいですか」
「勿論一ヶ月だ。蜜月だからな」
ここからホレスト家使用人と軍部で過酷な調整が始まる事となる。
オリフィエルがフワフワと足取り軽く出勤した後、リサはのっそりと起き出した。
朝の早い修道女も流石に疲れて目がショボショボする。
暫く室内を睨んでいたが、女子力高いリサは目元のシワ発生の危機に気付いて顔を緩める。
身支度を整えようとして、もう専属のメイドがいる事を思い出しベルを鳴らした。
少し経って、家政婦のダナとワゴンを押したアニタがやってきた。
気怠げなリサを見てダナは眉を顰めた。
(ふふ。なってない家政婦さんね~)
嫌ならアニタに任せれば良いと思うのだが、人手が足りないのか尊重されているのか、はたまたアニタが余り役に立たないのか。
体は怠いが少し楽しくなってくる。
裸のリサと事後のベッドに、アニタは赤くなりながらも清拭の準備をする。シーツを剥ぎ取るダナの手付きは荒い。
リサと背中合わせなので分からないと思っているのだろうが、鏡に映っているのだ。時折渋面も見える。
(あら? という事はベッドの上から鏡が見えると言う事?)
これは後で要確認と頭にメモする。なにせ耳年増なので。
経験を済ませたからには“耳年増”ではなく“年増”になってしまったのだろうかとどうでも良い事を考えている内に身支度は整った。
出来上がりは中々のものだった。中天に掛かろうという日差しを浴びて、緩く結い上げられた髪にアレキサンドライトが配置されたの小振りな髪飾りが輝いている。
アレキサンドライトにある、この日中の緑がかった青色がリサの瞳の色と似通っている。態々探してくれた……訳はないか。偶々だろう。
スッキリとしたデイドレスも良い。
「ありがとう。アニタはセンスがあるわ」
「あ、ありがとうございます……!」
小さな声で「やった」と拳を握りしめている。可愛らしいが、侯爵家としてどうだろう。リサは気にしないが、ダナはどうでるかと見ていると
「アニタ」
と一言で黙らせた。
(うふふふふ。掌握してるのねえ。何もしてこないなら構わないけど、どうしようかなあ)
「――それはようございました」
一人でとる遅い朝食の席で、オリフィエルは必要も無いのに家令に報告した。
リサは処女だった。自分の勘違いで少し痛い思いをさせてしまった事を、オリフィエルは反省していた。
(素晴らしい体だった……! 思えば修道院にいたのだ。アバズレのはずがない。エリックとの事は……恐らく世間知らずで、人の好意と素直に受け取ってしまっていたのだろう)
都合の良い頭の中身をしているが、これでも彼は軍部のお偉いさんだ。
「本来なら休暇を取って頂くところですが、急なご結婚でしたので、本日の予定で変更の難しいものと、それから奥様への対応ですが」
「ああ。外せないものは仕様がないが、三日後からは休暇を取れるようにしたい」
家令は奥様への対応を察した。
「――大分詰め込みますが」
「構わない」
「休暇の期間はどのくらいですか」
「勿論一ヶ月だ。蜜月だからな」
ここからホレスト家使用人と軍部で過酷な調整が始まる事となる。
オリフィエルがフワフワと足取り軽く出勤した後、リサはのっそりと起き出した。
朝の早い修道女も流石に疲れて目がショボショボする。
暫く室内を睨んでいたが、女子力高いリサは目元のシワ発生の危機に気付いて顔を緩める。
身支度を整えようとして、もう専属のメイドがいる事を思い出しベルを鳴らした。
少し経って、家政婦のダナとワゴンを押したアニタがやってきた。
気怠げなリサを見てダナは眉を顰めた。
(ふふ。なってない家政婦さんね~)
嫌ならアニタに任せれば良いと思うのだが、人手が足りないのか尊重されているのか、はたまたアニタが余り役に立たないのか。
体は怠いが少し楽しくなってくる。
裸のリサと事後のベッドに、アニタは赤くなりながらも清拭の準備をする。シーツを剥ぎ取るダナの手付きは荒い。
リサと背中合わせなので分からないと思っているのだろうが、鏡に映っているのだ。時折渋面も見える。
(あら? という事はベッドの上から鏡が見えると言う事?)
これは後で要確認と頭にメモする。なにせ耳年増なので。
経験を済ませたからには“耳年増”ではなく“年増”になってしまったのだろうかとどうでも良い事を考えている内に身支度は整った。
出来上がりは中々のものだった。中天に掛かろうという日差しを浴びて、緩く結い上げられた髪にアレキサンドライトが配置されたの小振りな髪飾りが輝いている。
アレキサンドライトにある、この日中の緑がかった青色がリサの瞳の色と似通っている。態々探してくれた……訳はないか。偶々だろう。
スッキリとしたデイドレスも良い。
「ありがとう。アニタはセンスがあるわ」
「あ、ありがとうございます……!」
小さな声で「やった」と拳を握りしめている。可愛らしいが、侯爵家としてどうだろう。リサは気にしないが、ダナはどうでるかと見ていると
「アニタ」
と一言で黙らせた。
(うふふふふ。掌握してるのねえ。何もしてこないなら構わないけど、どうしようかなあ)
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