魔王様、勇者を育てる。

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第一章

5.魔王様、勇者を見つける。

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ーー現在、使い魔召喚つかいましょうかんで呼び出されたシャドー・ウルフを使い、勇者の捜索を行なっている。


「まさか、シャドー・ウルフにこんな力があるとは・・・」


今、キースとベルは人通りの多い中央広場に戻り、くつろいでいる。


召喚時に発せられた魔物の雄叫びを聞きつけ、野次馬が集まってきてしまったので、その人の波に乗って広場まで戻ってきたのだ。


その際、シャドー・ウルフにある変化が起きた。


「ーーもぐもぐっ・・・」


キースとベル、二人が長い椅子に腰かけ、寛ぐ間で、一心不乱に串焼きにかぶりつく小さな女の子がいる。


真っ黒い長い髪に真っ赤な瞳、まだ幼い顔立ちの少女。


頭の上には大きな三角形の黒い獣耳とお尻付近にはぶわっと膨れた尻尾がある。


「シャドー・ウルフが獣人化するとは聞いたことがないので、キース様の血の力ではないでしょうか」


そう、この少女は先程のシャドー・ウルフであり、騒ぎで身を隠す際に獣人化したのだ。


ベルの考えでは、シャドー・ウルフにそんな力はないといい、獣人化した理由は使い魔召喚に使用した魔王の血が何かしらの影響を与えたと推測している。


因みに、シャドー・ウルフの本体である少女はここにいるが、分身した影のシャドー・ウルフ達が勇者を捜索している。


「ーーご主人様・・・勇者見つけた・・・」


すると、少女が何かに反応したように立ち上がり、報告する。


まだ捜索範囲は広いというのに、早くも勇者を発見したようだ。


「さすがだな」


「でも、勇者・・・危ないかも・・・」


「どういうことだ?」


「強い魔物に・・・襲われている・・・」


勇者を見つけたがいいがピンチを迎えているようだ。


キースは使い魔として召喚した利点を生かして、少女が見ている映像を共有する。


「ーーあれは、キラー・タイガーだな。
この辺一帯に生息しているグリーン・ボアが好物で、時折現れるという。
しかし、まだ現れるような時期ではないはずだが・・・」


【キラー・タイガー】というのは、黒と白の虎柄模様をした肉食系の虎型の魔物。


長くて鋭い二本の牙を持っており、どんな魔物に対しても攻撃的で獰猛。


気性が荒いため、人間を襲うこともある。


「なぜ勇者は一人で戦っているんだ・・・」


キラー・タイガー一頭なら、チームを組んだ集団なら討伐は可能なはず。


しかし何故か、勇者は今一人で戦っていて、苦戦している。


「勇者に会う前に死なれては困るな・・・
手を貸してやることはできるか?」


キースは勇者のかんばしくない状況を確認しながら、シャドー・ウルフの少女に言った。


「グリーン・ボアの肉・・・おいしかった・・・
キラー・タイガー・・・敵・・・倒す・・・」


少女にとって勇者より、グリーン・ボアの天敵ということが攻撃理由になったようで、戦う気だ。


ーー屋台で買った10本もあった串焼きを一人で食べ尽くしているので、それだけ気に入ったのだろう。


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