【実話】私は人生を諦めた〜教育委員会の対応〜

美和

文字の大きさ
11 / 50

忙しくなる非常勤講師

しおりを挟む
何とか、教諭達の授業を参考にしながら、資料に目を通して懸命に授業をしていく。そんな日を数日過ごしていると、三田教諭から言われた事がある。

「何事も経験。部活動も見学でいいから行きなさい」

そんな時間はない。授業の指導案さえできていないのだから。

「はい。時間がある時に行きます」

当日の放課後には、帰る時間を2時間以上過ぎてからの部活動見学。実際に中学で行っていたソフトテニス部を見学させてもらったが、ラケットも持っていない私はやる事がない。

部活動は、顧問は職員室で仕事。生徒は指示された通り自主的に練習。生徒の自主練習の中で、アドバイスをするべきなのだが、中学で齧った程度。部員の方がレベルが高かった。

次の日には、安田教諭から

「私の○○の授業を見に来なさい。勉強になるから」

「はい。分かりました」

授業の合間の空き時間が失われていく。その授業を見学させてもらったが、用意したプリントを読み上げている事が基本だった。

私の理想の授業、安田教員の理想の授業。それは正反対のもの。そう理解した。

とにかく授業準備で忙しい。そんな中、経験だから、と様々な事を言われて、立場が違うので断れずにいる。時間が惜しい時に。

ある日、1時間目から授業があったので、授業開始前の職員室で行われる申し送りに参加をした。様々な情報を共有しており、参加してみた価値はあったと十分に思えるだった。

「ここで何をしている?」

突然、安田教諭が私に声をかける。

「申し送りを聞いていました」

「職員室には来るな。準備室にいろ」

「え…?」

「職員室には入るな。準備室にいたらいいだろ」

安田教諭は私にそう言い、職員室から追い出された。意味が分からなかった。しかし、4月の半ばから私は職員室に立ち入り禁止となった訳だ。

職員室のデスクには、確かに私の名前が書いてある。しかし、入るな。と言われたら、もう入れない。

勿論、絶対に職員室だけでしか行えない業務もある。彼の目を盗み、こっそりと急いで仕事をする日々を一年間続けた。

それ以降、私は学校内で孤立させられ、授業以外は準備室に隔離されていたのだった。パソコンがあるから何とか指導案の作成などはできる。しかし、完全に孤立していた。

ある日、メイン教員として授業が終わった後、準備室にて安田教諭に声を掛けられる。

「先生は、電話の発明者を知っているかな?」

「いえ、分からないです」

いきなり聞かれて、咄嗟に答えた言葉だった・

私は安田教諭が座るデスクの前に立ち、話を聞いていく。

「それくらい分からないでどうするんだ。ベルと言う人が…」

長い話は始めり、私は立ったまま1時間は過ごしただろう。

区切りの良いところで、私は去ろうとした。

「君の担当しているクラス、うるさいよね」

そして、別の話が始まった。特にうるさいクラスを担当していたのではなく、休み時間は賑やかに話をしているだけだった。授業が始まるとしっかりと静かに話を聞ける姿勢が作れる生徒達。

「もっと厳しく指導した方が良いんじゃないの?」

ネチネチと始まった話。そして、私は全部で2時間は立ちっぱなしだったのではないだろうか。

まぁ、上司に当たる教諭が言うなら指示通りに指導はしていこうと思っているが、内心では納得できないものだった。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

真面目な女性教師が眼鏡を掛けて誘惑してきた

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
仲良くしていた女性達が俺にだけ見せてくれた最も可愛い瞬間のほっこり実話です

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

処理中です...