【実話】私は人生を諦めた〜教育委員会の対応〜

美和

文字の大きさ
14 / 50

地獄の二学期

しおりを挟む
二学期が始まってしまった。憂鬱な気分のまま、仕事が再開。

再び授業が始まっていく。しかし、そこで私の負担は増える事件が起きる。

「みゆき先生は未熟なので、私の担当しているクラスの授業も任せる」

安田教諭は、自分がメインで授業をしているクラスを私に放り投げた。

彼は、私を本当に成長させたかったのか、嫌がらせなのか、安田教諭自体が楽をしたい気持ちがあったのか。それは本人にしか分からない。

私が担当するクラスが一つ増えた。それは大きな負担だった。初めての教員生活で、右も左も分からない。誰も教えてくれない中で、仕事の量だけが増える。

そうして、よりハードな生活が始まった。以前よりも、徹夜で仕事に向かう頻度は増えていた。

通勤時、思う事があった。

「ここで飛び出して車に轢かれたら楽になれるかな」

「電車に飛び込んだら、どうなるだろう」

もう、この時点で完全に壊れて、応急処置すら遅い段階だったのだろう。私の心は、6ヶ月程度で破壊された。

毎日の通勤で、そのような事を考えながら、それでも周囲に迷惑は掛けられない。そう考えて実行に移す事はなかった。

罵倒されて、立ちっぱなしで、堂々と仕事ができない環境で。それでもよく耐えてきたと思う。それは、大人が無責任に仕事を投げ出す姿を生徒に見せたくなかった。そのような思いがあったからだ。

ある日、私は授業準備も終えて、帰宅をしようとしていた。

「おい。まさか帰るのか?明日の授業で使う教材を準備しろよ」

「いや、それは明日の授業と授業の合間で十分にできるので」

「今しろよ。この後、授業もないだろ」

安田教諭は私に仕事を強制する。立場が違う故に、断る事ができないサービス残業。

大人しく、翌日の教材準備を始める私。30分も掛からない作業だった。準備が終わった事を安田教諭に報告するために、彼を探すが見つからない。会議のために、夕方までは報告ができないそうだ。

ついでに私は、翌日以降の授業準備も行っていた。会議が終わる時間に職員室の教員に安田教諭の居場所を聞くが、会議が長引いているとの事。

そのまま私は、学校に残って授業準備をしながら会議が終わる事を待った。そして、やっと安田教諭が教科準備室に現れた。そして、報告をしようとする前に私に言った。

「どうしてここにいる?お前がいると準備室が閉めれないだろう。迷惑だ」

そう、彼は私に残業を強いた事を覚えていなかった。そして、まだ罵倒は続く。

私は急いで帰り支度をする。そして、仕事が終わった事を報告して、謝罪をした後に早歩きで学校を後にした。

涙を堪える事に必死だった。どうしてこんな目に遭うのか。罵倒されているのか。

帰宅後は、食事をしないで布団の中で泣いた。自分が惨めだった。反論できない立場にある事。毎日の罵倒。仕事環境すら与えられない事。

それでも、講師と言う役割を投げ出す事はできなかった。それは、前述した通りの理由があるからだ。そして、生徒にとっては一生一度の授業。私達、教員にとっては毎年繰り返される事ではあるが、生徒は違う。

心は壊れても、人間としての気持ちを持っていた事は今でも誇りに思う。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

真面目な女性教師が眼鏡を掛けて誘惑してきた

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
仲良くしていた女性達が俺にだけ見せてくれた最も可愛い瞬間のほっこり実話です

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

処理中です...